ノルケイン「ワイルド ワン」を編集部が好き勝手に討論! 優れたサプライヤーと作る次世代スポーツウォッチ

FEATUREその他
2023.11.10

『クロノス日本版』の編集部員が話題のモデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は、ノルケインの「ワイルド ワン」を好き勝手に論評する。気鋭の新ブランドが2022年に発表した、独自開発のケース素材と耐衝撃構造を備えた次世代のスポーツウォッチである。

沖田一真:写真 Photographs by Kazuma Okita
阿形美子:文 Text by Yoshiko Agata
2023年11月10日公開記事

ノルケイン ワイルド ワン

ノルケイン「ワイルド ワン」
5000Gの耐衝撃性を備えながら総重量84gを実現した新時代のスポーツウォッチ。独自素材のノルテック製ベゼルと裏蓋の間に、ラバー製のショックアブソーバーを挟んだサンドイッチ構造のケースを採用した。自動巻き(Cal.NN20/1)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ノルテック×ラバー製ケース(直径42mm、厚さ12.3mm)。200m防水。各76万6700円(税込み)。


時計業界のレジェンドとのタッグで生まれた次世代のスポーツウォッチ

細田「ノルケインは2018年にスタートした若いブランドで、“スイス時計の未来を拓く”というミッションを掲げています。」

広田「去年、ビバーさん(ジャン・クロード・ビバー)が経営顧問になったことでも注目されましたね。」

ノルケイン ワイルド ワン

ラバー製のショックアブソーバーにネジ止めされたプレートはパーソナライズが可能。記念日やメッセージなどを刻印するユーザーが多いという。

細田「はい。今回着用したのは、ビバーさんがジョインして最初に発表されたワイルド ワンです。その特徴は大きくふたつで、まず、サンドイッチ構造のケースを採用していること。NORTEQ(ノルテック)というカーボン系の独自素材のベゼルと裏蓋で、ラバー製のショックアブソーバーを挟むことで、耐衝撃性を高めています。もひとつが、軽いこと。このノルテックはチタンの1/3の重量なので、総重量が84gと超軽量なんですね。そして、搭載ムーブメントはケニッシ製のCal.NN20/1。」

広田「このプロジェクトは、CEOのベン・カッファーさんがビバーさんと会ったことで始まったと聞いています。その経緯はクロノスの本誌に書きましたけど、このケースを製造しているBIWIというメーカーは、ビバーさんがウブロで最初に「ビッグ・バン」を作った時のケースメーカーなんです。サンドイッチのケース構造然り、ビバーさん色が強いモデルになってると思います。」

土井「当初、ウブロでは樹脂系の素材を金属で挟んでいましたよね。」

広田「うん。あれを上手く転用したなと思います。しかも、搭載するムーブメントがケニッシだから、ガチガチに使える。気兼ねなく使えるスポーツウォッチに仕上がったという印象ですね。」

細田「ノルケインは、スイスの時計産業を未来に継承するために、昔ながらのスイス時計の水平的な分業を重視していて、しかも、全てのサプライヤーの名前を出しているのが珍しいですよね。特に面白いと思ったのは、公式のPR動画で各サプライヤーが製造している様子を見せているところ。オフィシャル動画で隠さないというのは、着用者にどう還元されるかは別にしても、時計業界としては面白い取り組みだと思います。」

土井「今まで、ここまで明確にサプライヤーを掲載したブランドってあるんでしょうか?」

広田「確かに、ないですね。」

細田「記憶に新しいところでは、パネライがリサイクルベースの素材「eスティール™」を発表した時に、素材をどこから調達したかなどを公開していましたけど、それでも文字盤のサプライヤーなどの情報までは踏み込んでいませんでしたね。」

鈴木「作り手が見えてるっていうのは、今っぽくて良いですよね。信用にも繋がるし。これもいわゆるトレーサビリティーなのかな。」


総重量84g! 軽くて取り回しの良いケース

ノルケイン ワイルド ワン

短めのラグやストラップの角度により、装着感を高めている。カーボン系の独自素材ノルテックは、ラバーストラップ製造で知られるBIWI社との共同開発によるもの。

細田「では、実際に着けてみてどうでしたか?」

土井「装着感は非常に良かったです。ストラップがケースに対して斜めに付いていて、しかもラグが短いので、細い腕にもしっかり載りました。ベルト穴の数が多いのも細い腕にはありがたいです。」

細田「ケースサイズはしっかり42mmあるから、それに対して全長が短いということですね。」

広田「カーボン系のケース素材だからねじ込みができないので、はめ込みにしてあるじゃないですか。だから結果として、裏蓋を薄くできた。ラグも今風に短く切ってあるから、取り回しが良かったですね。実に今らしいスポーツウォッチで、想像以上に軽快で使える時計になってると思いました。」

鈴木「そうだね。すごく軽いから長時間つけていられるし。」

細田「バックルにもノルテックが使われていて、重いパーツがないのも軽さに繋がっているように思いました。」

広田「あと、ノルテックはなんか目が詰まった感じがして、意外と高級感があるんだと感じましたね。」

細田「確かに。触った感じだけで言えば、普通のカーボン素材よりも靭性が高そうに思いました。簡単には割れなそう。」


玄人好みな手の込んだ文字盤

ノルケイン ワイルド ワン

文字盤にはノルケインのブランドロゴをパターン化して彫り込んだ。ブランドのDNAである冒険やチャレンジ精神を込めて、ふたつのNで山の頂きを表現している。レーザーカットで0.05mmずつの3層構造にすることで、黒の中に豊かな表情を生み出した。

広田「文字盤にはノルケインマークを入れていますね。」

細田「あ、これロゴなんですね。」

土井「このパターンは、レーザーカットで3層構造に刻まれているんですよね。」

鈴木「こういうディテールを入れると今っぽくなりますよね。繊細な仕上がりで、ちゃんとしたサプライヤーに作ってもらっていることも伝わってきます。」

広田「全体的にツヤを落としたトーンでまとめているので、分かりやすい高級感はないけど、ある意味では通向けに仕上がってる。」

鈴木「でも、インデックスや針はポリッシュにしてコントラストを高めているから、見やすかった。」

土井「ただ、インデックスは蓄光塗料の面積が小さいからか、あまり光らなかったですね。」

細田「そうですね。もともと暗所では時分針から大体の時間を見るくらいの想定なのかもしれないですね。」

ノルケイン ワイルド ワン

ショックアブソーバーと同色のパッキン。防水性を高めながら、見た目のアクセントの効果もある。ブラック✕カーキのほか、・ブラック✕ブルーのモデルもレギュラー展開している。

細田「それから、デザインに関して言うと、ショックアブソーバーのラバーや防水パッキンの色を揃えて、あえて見せてるじゃないですか。こういうのって、いわゆる若者向けのデザインっていうことなんですかね?」

広田「うーん、機密性と耐衝撃性を高める意味ももちろんあるけど、着彩しているのはアクセントですよね。」

鈴木「あえて差し色にしてお洒落な感じだし、ここにラバーが使われているんだなってわかると、見るからに耐衝撃性がありそうで説得力があるよね。」

土井「見た目だけではなく、このケースを上下で持って押すと若干動いたので、確かに耐衝撃性があるんだなと実感できました。」

細田「ムーブメントをチタン製のインナーケースに収めた上からラバーとノルテックでケーシングしているから、より安心ですよね。」

土井「公式のPVでは、このモデルを着けてマウンテンバイクで山道を走っています。」

細田「そうそう。ノルケインにはノルケイナーというアンバサダーがいるけど、登山家や山岳ランナーやプロ冒険家が多い。時計がそれだけのタフさを持っているという売り出し方も明確ですよね。」

鈴木「説得力があります。」


ライバルの多い価格帯でも際立つキャラクター

ノルケイン ワイルド ワン

トランスパレントバックから覗くのはケニッシ製のCal.NN20/1。ノルケインとケニッシがパートナーシップを結んだのは、創業してわずか2年目の2020年のこと。信頼できるマニュファクチュールムーブメントもノルケインの魅力のひとつだ。

鈴木「着用精度は僕が調べたところだと、T24で+5秒、T48で+11秒、T72で+15秒。日較差+5秒くらいってことですね。」

細田「日較差が変わらないのは優秀ですね。」

鈴木「ベースが安定してるので、さらに追い込めばもっと精度が出ると思います。ところでこれはおいくらなんだっけ?」

細田「76万6700円ですね。アラウンド80万円って、結構ライバルの多い価格帯ですよね。例えば、タグ・ホイヤーの今年のカレラは80万円切ってるし、探せば良いものがいっぱいある価格帯で勝っていかなくちゃいけないのは大変なことだと思います。その意味では、タフなイメージに振り切ったのは、正解なのかな。」

鈴木「機能性に加えて、このモダンなデザインもあるし。ビバーさんがウブロで"フュージョン"を掲げて異素材を組み合わせたのを、この価格帯でうまくやれてるのが良いですよね。かといって、マーケティング一辺倒という感じじゃないのも好感が持てます。サプライヤーをちゃんと見せてるのは、今の時代らしいストーリーテリングだし。それから、ここはCEOも社員もサプライヤーも若いので、まさにスイス時計業界の新風ですよね。」

広田「今後、ツールウォッチの新しい選択肢の一つとして期待できますよね。」


Contact info: ノルケインジャパン Tel.03-6864-3876
https://www.norqain.com/


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