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ショパール×クロノス日本版 「ショパール・アカデミー第2弾」 誌上レビュー(3/4) 2016年03月号(No.63)

  
長持ちする優れた設計と製法に加え、卓越したムーブメントの仕上げも真の高級品であるショパールの魅力だ。それはL.U.Cのムーブメントを見れば一目瞭然。地板のペルラージュと受けのコート・ド・ジュネーブの輝きがその証し。
  
ジュネーブ時計学校の教材用に設計された懐中時計のムーブメント(上の写真の右の時計)を基に腕時計用に再設計されたCal.63.01-Lを搭載するL.U.C 1963。ジュネーブ・シール取得だけあって、洋銀製の地板と受けには手作業による面取りに加え、ペルラージュとコート・ド・ジュネーブが施される。2013年、ショイフレ家がショパールの経営に携わってから50周年を迎えたことを祝して製造された限定モデル。このプラチナモデルは50本限定。476万円。

 次に、優れた品質。その前に高級品の条件とは何かについてお話しします。値段が高いことが決して高級品の条件ではありません。高級品の条件とは長持ちすること、つまり、世代を超えて受け継いでいけることです。これは資産価値があるということです。それをかなえるために、すでに述べた長く使えることに加え、優れた品質が重要になってきます。具体的に言うと、ショパールのLUCというコレクションのムーブメントに使われている部品は非常に硬い点が挙げられます。通常は歯車の素材に真鍮を使用しますが、LUCではベリリウム銅という硬い合金を採用しています。これも5年や10年ではなく、30年や50年以上という単位で使う高級品には必要な要素です。部品を硬くした上で、LUCでは長持ちする設計を採り入れています。一例が、LUCの巻き上げ機構に採用されるマイクロローター。他社ではマイクロローターに片方向巻き上げ式を合わせるのが定石ですが、LUCでは耐久性を考慮して、ツメで巻き上げるラチェット式を採用しています。加えて、ローターの回転をそのツメに伝えるローラーの内側にベアリングを埋め込むなど、入念かつ重厚に設計されています。これはコストをかけられる証しでもありますが、メンテナンスの重要性を理解している設計者でなければ、そもそもこういう配慮は施しません。

 すなわち、ショパールでは万全のメンテナンス体制が敷かれているのです。長持ちするケースの製法やコストをかけた頑強な設計も、このメンテナンスを考慮したものです。ケースを長く使って破損してしまっても、金型が残っているから作り直せる。ムーブメントに至っては、そもそも耐久性を考慮した設計がなされている。ショパールの時計、とりわけLUCは、これらの点からも本当の意味での高級品、長く使える資産価値のある高級機としての配慮が、素材、設計、メンテナンスに反映されているのです。確かに、LUCは安くはありません。しかし、高級機としてこれだけの条件を備えているLUCは、決して高額品ではなく、むしろ、買う価値の高い高級品なのです。

 面白いエピソードがあります。ショパールがLUCを発表したのは1996年のことです。それを先導したのが現在の共同社長のカール-フレドリッヒ・ショイフレ氏ですが、彼は自社開発ムーブメントの製造にあたって、最初にフルリエに工場を造ってしまった。他社の場合は逆で、最初にサプライヤーから部品を買ってきてムーブメントを作り、うまくいくようになってから工場を造ります。これが可能なのは、冒頭に述べたように、ショパールがオーナー企業だからです。そして、カール-フレドリッヒ・ショイフレ氏をはじめとするショイフレ家の人々が異例の一流好みで、真の〝高級品〟とは何かを熟知し、それをかなえるために決してコストを惜しまないからです。

 ショパールとその代表コレクションのLUCがなぜ〝高級〟であるのか。駆け足の説明でしたが、そこには揺るぎない、これだけの核心的な理由があるのです。

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