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[アイコニックピースの肖像 33] ブライトリング エアロスペース(3/3) 2016年05月号(No.64)

AEROSPACE
[Ref. 56062]
初期エアロスペースを大成させた大型液晶モデル

エアロスペース
[Ref.E56062]
ケースの形状と仕上げを改善し、下段の液晶を拡大した通称“エアロスペースII”。1994年初出だが、その2年後には、ミニッツリピーターを搭載した「レペティション・ミニッツ」に進化する。クォーツ(Cal.56)。7石。Ti(直径40mm)。100m防水。参考商品。

1985年にリリースされた初代エアロスペース。その完成形が94年に発表された、通称〝エアロスペースⅡ〟ことリファレンス56062である。高性能デジアナムーブメント、キャリバー56をチタンケースに収める手法は同様だが、外装面の試行錯誤には決着が付けられている。

 具体的な相違点を述べたい。リファレンス80360から56061まで、チタンケースは共通だった(詳細は110〜111ページを参照)。回転ベゼルを支えるチムニー(煙突)に刻みはなく、ケースサイドの形もフラットだ。しかし56062以降、チムニーには5分ごとのスリットが入り、回転ベゼルの位置決めがしやすくなった。またラグが裏ブタ方向に曲げられ、装着感が改善されている。ベゼルとケースの隙間も、以前に比べるとはるかに小さい。中身はそのままに、外装を大幅に改善したモデルが、エアロスペースⅡと言えるだろう。
 こうした進化をもたらしたのは、ブライトリングのケースサプライヤーであったMRPである。「プルトン」のチタンケースを製造した同社は、ブライトリングとの取引を拡大。やがてブライトリング向けチタンケースの製造を請け負うようになった。同社が得意とするのは、精密な鍛造(当初は冷間鍛造、現在は時計業界でも珍しい温間鍛造)。エアロスペースⅡの回転ベゼルや裏ブタに施された深い刻印は、MRPならではのものだ。
 また同時期には、搭載するキャリバー56の品質も安定してきた。56が採用したTN液晶は、スイスでは新しい試みだった。そのため当初は品質にばらつきがあった。しかし液晶の表示ムラが収まった結果として、下段の液晶表示を拡大できた。外装と機能のブラッシュアップを果たしたエアロスペースII。以降エアロスペースは、この方法論を継承しながら、モデルチェンジを繰り返していく。

Ref.80360からRef.56061まで、12時位置のマーカーは長方形と三角の2種類があった。しかしRef.56062以降マーカーは三角形に統一された。文字盤(正しくは文字盤カバー)上のインデックスは、12、3、6、9がエンボス仕上げ。Ref.56061まではプリントも混在していたが、以降エンボスが標準となる。アプライドにしなかった理由は、インデックスを取り付けるための“脚”が、液晶を傷つけるためか。5分ごとに数字が刻まれた回転ベゼル。ベゼルを支えるチムニー(煙突)にも、やはり5分ごとにスリットが刻まれた。そのためベゼルの時間合わせが容易になっている。回転ベゼル側面にあるBの刻印は、スプリングを内蔵した回転ベゼルの意味。加工精度の高さは、回転ベゼルとチムニー、そしてケースとの小さなクリアランスが示す通りだ。側面を大きく絞ったケースサイド。筆者の知る限り、初期シーマスター300のケースはユグナン・フレール製、62年の第3世代以降は、多くがセントラル・ボワテ製のケースを備えていた。このモデルもケースはユグナンによるもの。MRP製ならではの仕上がりを見せるケースバック。刻印の深さや精密さは、Ref.56061までとは大きく異なる。Ref.56061と共通する標準的なバックル。パイロットスーツの上から装着できるよう、バックル内にはエクステンションリンクが内蔵されている。

つづきは雑誌『クロノス日本版』でお楽しみください。

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