知られざる 時計大国 ドイツ(前編)

FEATURE本誌記事
2019.10.31

MÜHLE-GLASHÜTTE 〈ミューレ・グラスヒュッテ〉

創立年: 1869年
所有者: ミューレ家
価格帯: 1100~1万6000ユーロ(13万~95万円)
年産本数: 約9000本
主要モデル: S.A.R.、テラ、トイトニア
正式名称: Mühle-Glashütte GmbH nautische Instrumente und Feinmechanik
本社所在地: Altenberger Str. 35, D-01768 Glashütte
ウェブサイト: www.muehle-glashuette.de

S.A.R.レスキュータイマー

S.A.R.レスキュータイマー
リファレンスナンバー:M1-41-03
機能:日付表示
ムーブメント:Cal.SW200-1(セリタ製、
独自のローターを使用、自動巻き)
ケース:ステンレススティール
(ラバーベゼル付き)、直径42mm
価格:20万円

【沿革】 1869年、ドイツ時計学校の創設者のひとりであるカール-モリッツ・グロスマンの工房で、時計製作工具類作りを学んだロベルト・ミューレが独立、グラスヒュッテの地でマイクロメーターをはじめとした各種測定機器の製造業を息子と共に開始する。グラスヒュッテの各時計メーカーに機器類を供給し、時計産業の発展に大いに貢献した。1920年代にはダッシュボードクロックやタコメーターなどの車両用計測器も製造、戦車や軍艦にも製品が採用され、軍需メーカーとしても重要な地位にあった。第2次世界大戦後、グラスヒュッテの他の時計メーカー同様に、国家による接収・統合のために、瓦解の憂き目に遭うが、東西ドイツ統一後の1994年、船舶用機器および腕時計のメーカーとして新生スタート。数年間の経営不振の時期を乗り越え、現在はスイス製ムーブメントを搭載したクロノメーターを中心に商品を展開している。再興20周年の2014年には、4分の3プレートなどのグラスヒュッテ様式を継承した自社ムーブメントを発表。クラシックデザインのモデルを充実させている。


TUTIMA 〈チュチマ〉

創立年: 1927年
所有者: Tutima Uhrenfabrik GmbH
価格帯: 2200ユーロ~(29万円~)
年産本数: 約1000本
主要モデル: サクソン ワン、M2、グランド・フリーガー、パトリア
正式名称: Tutima Uhrenfabrik GmbH
本社所在地: Altenberger Str. 6, D-01768 Glashütte
ウェブサイト:https://tutima.com/

グランド・フリーガー・クラッシック・オート

グランド・フリーガー・クラッシック・オート
リファレンスナンバー:6102-01
ムーブメント:Cal.330(ETA2836-2ベース、自動巻き)
ケース:ステンレススティール、直径43mm
価格:29万円
M2 パイオニア

M2 パイオニア
リファレンスナンバー:6451-03
機能:クロノグラフ(60分・12時間積算計)、 24時間表示針、
スモールセコンド、日付表示
ムーブメント:Cal.521(ETA7750ベース、自動巻き)
ケース:チタン、直径46mm
価格:72万円

【沿革】 1927年、グラスヒュッテに創業したグラスヒュッター ウーレンファブリーク(UFAG)と、連動操業を行ったエボーシュ供給元のウーレン ローヴェルケ ファブリーク(UROFA)が、メーカーのルーツ。1930年に製造を開始した腕時計がチュチマ銘で販売された。第2次世界大戦後、接収により両社の一部が国営企業のGUBになったが、1960年代に、かつての従業員がブレーメン近郊のガンダーケッセでブランドを再興。近年ようやく“里帰り”を果たして本拠地が再びグラスヒュッテになり、現在は同地製造を示す地名が文字盤に入るようになった。エルンスト・クルツ博士がブランドを創設した当初から、モットーは「最高峰の時計技術水準による革新性」。軍用時計を多く製造していたことからミリタリー色が強かったが、このところクラシックなラインも加わっており、完全自社開発ムーブメントによるミニッツリピーターも登場した。