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雫の音 が時を奏でる日常を愉しむコンプリケーション(2/2) 2016年05月号(No.64)

カンパノラ「AH7060-53A」
シルバーダイアルにステンレススティールブレスレットを組み合わせ、爽やかなルックスに。パーペチュアルカレンダーや24時間表示も搭載し、表示はかなり複雑だが、針を細くすることで視認性を確保する。クォーツ(Cal.6762)。平均月差±20秒。電池寿命約2年。SS(直径42mm、厚さ15.5mm)。日常生活防水。37万円。

水の原風景 が織り成す日本の心

 個々の好みは別として、価格を鑑みると、数あるハイコンプリケーションの機構の中でも、ミニッツリピーターのステイタスは高い。

 難解機構ゆえに製造できるメーカーは限られてくるが、ここ数年は〝とにかく鳴ればよい〟というレベルではなく、いかに美しい音色を響かせるかという段階に入りつつある。例えば、オーデマ ピゲでは音響の専門家と共同開発を行うことで澄んだ音色を大きく響かせることに成功し、ジャガー・ルクルトはクリスタルゴングを考案した。どちらも非常に高価な技術だが、そういう技術進化を面白いと考える時計愛好家は少なくない。

 しかし、日本にも優れたミニッツリピーターが存在している。それが、シチズンの「カンパノラ」だ。機械式ムーブメントを使用しないミニッツリピーター付き腕時計としては世界でも唯一の商品であり、シチズンがムーブメントを提供したシェルマン製のミニッツリピーター付き腕時計が、ラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館に収蔵されているほど、スイス時計業界でも認められた存在である。

 機械式ミニッツリピーターがハンマーでゴングを叩いて音を鳴らすのに対し、シチズンのミニッツリピーターは電子音式。しかし、電子音だからこそできることがある。既存のムーブメントを基に、新しいカンパノラでシチズンがテーマとしたのは、「水琴窟(すいきんくつ)」の音である。水琴窟というのは、地中に伏瓶(ふせがめ)を埋めて空洞を作り、そこに滴り落ちる水滴の音を反響させて琴のような音色を響かせる装置。江戸時代に庭師が考案したとされるが、単なる水滴を音に変換して楽しむという優雅な日本文化を、シチズンでは電子音を組み合わせた音の響きに見立てたというわけだ。

 ミニッツリピーターは、2時位置のプッシュボタンで起動させるが、それ以外にアラーム機能にもこだわった。アラーム音には4つのモードがあるが、「デイリーアラーム」を選択すると朝昼夜で音の響き方が変化する。例えば、昼であれば音を連続させて躍動感を演出し、夜の場合は余韻を生かした音にしているが、これも機械式ではできない芸当だ。

 時計業界では〝機械式時計=文化の継承者〟、〝クォーツ式時計=実用性を重視〟という二元論で語られがちである。確かにそのような面があることは否定しないが、シチズン「カンパノラ」はその枠外にある。水を楽しむ優雅な文化を継承する時計と見なしてもいいだろう。

 さらに、電子式ゆえに、頻繁に音を鳴らしても容易に壊れることがないというのも、機械式にはない大きなメリットと言える。日常的に優雅な気分に浸ることができると考えれば、むしろリアリティのある選択肢なのかもしれない。

カンパノラ「AH7061-00E」
ブラック×ゴールドカラーで華やかに仕上げたドレッシーなモデル。カンパノラのデザインの柱である“宙空の美”も巧みに表現。幾重にも重なる金属パーツによって、奥行きのあるビジュアルを作り上げている。クォーツ(Cal.6762)。平均月差±20秒。電池寿命約2年。SS(直径42mm、厚さ15.5mm)。日常生活防水。34万円。
 
ダイアルとインダイアルに合計5つの精緻なパターンを表現している。これは水滴が水面に落ちて生まれる波紋をイメージしており、電気鋳造という精密な加工方法を使って美しい模様を成形したものだ。製造方法は違えども、高級機械式時計にも通じるこだわりを感じさせ、“最高峰”であるミニッツリピーターモデルにふさわしい仕上がりとなっている。
Contact info: シチズンお客様時計相談室 70120-78-4807
campanola.jp/
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