ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ　ラグジュアリースポーツウォッチの新定義

　さらに第３世代のオーヴァーシーズでは、ラグが一体式に改められた。分割ラグを採用した第２世代では、〝プロ〟と呼ばれるセンターピンを設けてラグを接続し、さらにこのセンターピンとボリューム感を揃えるために、リュウズの台座部分にも同様のデザインを施していた。しかしブレスレット仕様では目立たないが、レザーストラップを装着した際には、このセンターピンがデザインの流れを断ち切ってしまうのだと言う。第３世代のオーヴァーシーズでは、センターピンを廃したことで、リュウズ回りのデザインも整理されている。

　ここで改めてベゼルデザインに着目してみると、リュウズと重なる３時〜９時のラインに、マルテーゼクロスの頂点が来るよう、ボリューム感が調整されていることが分かる。８葉から６葉への変容はこうしてもたらされた訳だが、まったく違和感を覚えないのは、それがデザインの出発点ではなく、帰結点であったからだろう。また、デザインの初期段階から３Ｄレンダリングを多用したことも、陰影の織りなすボリューム感のコントロールに大きく貢献したことは疑いようもない。ラグデザインの変化で実現された流麗なケースフォルムは、第３世代のオーヴァーシーズに新たな楽しみを加えることになった。ブレスレットがインターチェンジャブル式に改められ、付属のレザー／ラバーストラップに簡単に交換できるのだ。第３世代オーヴァーシーズの美しいフォルムは、いかなるストラップを装着しても破綻しないという自信の表れではないか。