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[2016年新作詳報Part2] 創造性奪還に懸けるバーゼルの命運(2/5) 2016年07月号(No.65)

バーゼルワールド2016編集部注目モデル
Chronos Japan Recommends #1

オメガ スピードマスター ムーンフェイズ クロノグラフ マスター クロノメーター
質感向上に努めるオメガ。象徴するのが本作だ。1万5000ガウスという超耐磁性に加えて、精緻なPVD仕上げの文字盤、ブルーセラミックス製のベゼルを持つ。月齢表示は10年に1度の調整のみ。2016年のベスト。自動巻き(Cal.9904)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SS(直径44.25mm)。100m防水。予価113万円。

文字盤の仕上げが語るオメガの変化

 世界的な景気減退の中開催された2016年のバーゼルワールド。しかし、興味深い新作が多く並んだ。おしなべて共通するのは商品力を高め、一方では価格を抑えるというアプローチだ。

 オメガの「スピードマスター ムーンフェイズ クロノグラフ マスター クロノメーター」は、キャリバー9300をマスター クロノメーター化し、ムーンフェイズとポインターデイトを加えた新作だ。見どころは多いが、今年の傾向に沿うならば、語るべきは青文字盤だろう。

 かつて、オメガの青文字盤はラッカー仕上げが定石だった。メッキに比べて発色が安定し、製造コストも低いラッカー仕上げの文字盤は、そこそこ高級な大量生産品にはうってつけだった。もちろん、ラッカー仕上げでも、ロレックスやグランドセイコー、F.P.ジュルヌやIWCのように、コストをかけたものはある。対して、オメガは精細な下地処理を省くためか、ラッカー文字盤に一貫して単調な仕上げを与え続けてきた。

 しかしオメガは、生産性から見た目にかじを切り直した。例えば青文字盤。ラッカーからPVD仕上げに変更された結果、鮮やかな発色と薄い膜の両立に成功した。その仕上がりは、上の写真が示す通りだ。

 この10年、消費者への訴求ポイントは主にムーブメントだった。しかし、今や優れた外装と説得力のある価格が加わろうとしている。他社に先んじて、その流れに乗るオメガ。

 本作を2016年の1本に挙げた理由である。(広田雅将:本誌)

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