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[2016年新作詳報Part2] 創造性奪還に懸けるバーゼルの命運(4/5) 2016年07月号(No.65)

バーゼルワールド2016編集部注目モデル
Chronos Japan Recommends #3

パテック フィリップ ワールドタイム・クロノグラフ Ref.5930
パテック フィリップのヒストリカルピースとしても名高いルイ・コティエ式のワールドタイムに自社開発の自動巻きクロノグラフムーブメントを組み合わせた新作。古き良き伝統と近年の開発の成果が融合された未来へ贈る名機と言える。手彫りギヨシェが施された文字盤を清新なブルーで彩るあたり、伝統を抱きつつも常に躍進を遂げる同メゾンの流儀を象徴しているようだ。自動巻き(Cal.CH 28-520 HU)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KWG(直径39.50mm)。3気圧防水。予価828万円。

僕はまだその美しさの秘密を知らない

 今年の4日間のバーゼルワールド取材。その最終日のほぼ最後の枠にパテック フィリップの取材をもってきたのは、ただの偶然だったが、結果的に大正解であった。

 毎年、意匠はもちろん、外装やムーブメントの細部に至るまでの仕上げ、アーカイブにさかのぼっての引き出しの多さに、必ずと言っていいほど一本取られるのがこのメゾン。今年もクロノグラフや永久カレンダーなど、コンプリケーションが際立ち、一段とレベルが上がった文字盤やケースの質感を目の当たりにして、このクォリティを取材初日に見なくてよかった……むしろ感謝したほどだ。

 その中で最も心に残ったのは、レトログラード日付表示にマイクロインデックスを採用した永久カレンダー5496P。とにかく微細な植字とその〝キャンバス〟とも言える文字盤の色気、そして、極小の植字を文字盤に植え付ける職人の執念に舌を巻くしかなかった。

 ただし、ここで選ぶのは、あえて別のモデルにした。理由は、ワールドタイムが好きで、クロノグラフが好きという、単純なもの。でも、これは本質だ。どのモデルの仕上げにも死角がないほどの〝横綱相撲〟は、いつもならかえって遠ざけていたかもしれない。理由をあれこれつけて。だが、それすらできないくらい、圧倒的な完成度を前にすると、もはや素直になるしかないことを悟った。

 そして、誓った。

 何故パテック フィリップは美しいのか? その秘密を、いつか論理的に突き詰めたい、と。(鈴木幸也:本誌)

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