2024年の“世界時計祭”は4月9日から15日まで。「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024」最新情報

FEATURE役に立つ!? 時計業界雑談通信
2023.11.11

2024年4月9日の開催まで約6カ月となった2023年9月28日、スイスの「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(以下W&WG)2024」の事務局からプレスリリースが配信された。
それによって2024年のW&WGの概要が明らかになったので、時計関係者や時計愛好家の方々にその内容と「2023年と何が変わるのか?」をお伝えしておこう。出張や取材、観覧を予定されている皆様に、少しでもお役に立てれば幸いだ。

W&WGの公式サイトのトップ動画。ご興味のある方はぜひアクセスを。
https://www.watchesandwonders.com
渋谷ヤスヒト:取材・文 Text by Yasuhito Shibuya
[2023年11月11日公開記事]


開催は4月第2週に。一般公開日が3日間に

 2022年から、かつてのバーゼルワールドに代わって「スイスで開催される世界最大の時計フェア」となった「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」。2023年は来場者も2022年から倍増し、時計業界の史上空前の好景気を受けて大盛況だった。来年2024年も大盛況は疑いのないところ。すでに日程や参加ブランド、内容のハイライトが事務局から発表されているので、時計業界の関係者や同業者のために「2023年と何が変わるのか?」をお伝えしよう。

©Yasuhito Shibuya 2024
2023年開催のW&WGの会場入口。この前にIDカードによるIDチェックや所持品のセキュリティチェックがある。主催者が発表した2023年の来場者数は4万3000人。2022年は2万2000人だった。2024年はさらに増えることは間違いない。

 まず最大の変更は開催日程の変更だ。開催期間は2024年も2023年と同じ1週間。だが、2023年は3月27日(月曜日)から4月2日(日曜日)という「月をまたいで」の開催だったが、2024年はそれより約1週間後、4月の第2週、4月9日(火曜日)から15日(月曜日)までの開催と、後ろにずれている。

 会場であるジュネーブ・コアントラン空港に隣接する国際見本市会場「Palexpo(パレクスポ)」のスケジュールをチェックしてみたが、100周年を記念して(?)復活するジュネーブ・モーターショーは2月末から3月初めと1カ月以上も間が空いているし、直前に大きなイベントも予定されていない。これは後述する「開かれたイベント」の準備のためと考えた方が良さそうだ。

©WWGF/KEYSTONE/Pierre Albouy
入場券が早期に売り切れるなど、予想を超える大盛況だったW&WG 2023の一般公開日は2日間。2024年には、これがさらに1日増える。2023年、筆者は1日のみ取材した。

 そして、時計愛好家の皆さんにとって2024年のW&WGに関していちばん大事で見逃せないこと、私からまずお伝えしたいこと、それは一般公開日が2日間から3日間に増えたことだ。

 後述するが2024年のW&WGは2023年以上に「一般の人に開かれた、子供から大人まで誰もが楽しめる」「スイス時計の発祥地という歴史と伝統を持つ国際都市ジュネーブの魅力をアピールする」イベントを目指している。だから時計愛好家、時計コレクターにとってもより魅力的になるはずで、これまで以上に訪れる価値があるものになるからだ。


出展ブランドは48から55に!

 また、出展ブランドが7ブランド増えて、48ブランドから55ブランドになることも発表されている。新たに参加すると発表されているのは、“1971年のスミス以来、50年ぶりのメイド・イン・イングランドのマニュファクチュール・ムーブメント”を開発したことで注目されているイギリスの「ブレモン」。バーゼルワールドの常連だった「エベラール」と「レイモンド・ウェイル」。故ジェラルド・ジェンタが最後に立ち上げた「ジェラルド・チャールズ」。ドイツ・グラスヒュッテの「ノモス・グラスヒュッテ」。そして新進ブランドの「ノルケイン」である。

「55メゾン、3日間の一般公開日」を謳う公式サイトのトップ動画の最後には「ジュネーブ 時計製造の地」というテロップが出る。これこそ、このフェアの裏テーマだ。

 現時点で「出展するのでは?」と噂されていたビッグブランドの名はない。今後、増減する可能性があると思われるし、どこまで増えるのかも注目したいところだ。また、スウォッチ グループやジュネーブ・ウォッチ・デイズの出展ブランドが、このフェアに対してどのようなポジションを取るのかも、これまで以上に見逃せない。


The LABが展示の「目玉」に

 そして、筆者が個人的に「これは素晴らしい」と思っているのが「The LAB」である。これは時計業界の最新技術を、各社や関連企業が展示するコーナー「new dimension at the heart of salon(サロンの中心に新風を吹き込む)」と表現して、この段階からわざわざ記載していることだ。

この展示が始まったのは2019年で、筆者はそのときに感銘を受けたことをすでにこのコラムで記事にしている。このThe LABは2022年にはオーディトリアムやプレスルームの隣の、それなりに目立つ場所にあったものの、2023年は会場の2階フロアという残念ながらかなり目立たない場所にあったため、見逃した方がほとんどだろう。

2023年の「The LAB」は場所が2階フロアに移設されたうえ、アクセスルートがここだけだったため、見逃した人も多かったと思われる。写真は「EXHIBITION」と「The LAB」の展示会場の入り口。2024年は会場の中心に配置換えか?

 だが2023年のThe LABで展示されたように、リシュモン グループがスタートさせた盗難や不正な中古品取引を抑制するための時計の国際的なデジタルプラットフォーム「ENQUIRUS(インクワイアス)」、時計ひとつひとつに特殊技術でIDを埋め込む「DNA WATCH」やグラン・フー・エナメルの鉛フリー化、ケースの新素材開発の取り組みのように、こうしたThe LABの展示内容は高級時計業界にとってますます重要なものになっている。おそらく2024年はもっと目立つ場所、もしかしたらフェアのいちばん中心のスペースにこのブースが設営されるかもしれない。




©Yasuhito Shibuya 2024
W&WG 2023でのThe LABの展示の様子(一部)。デジタル技術と新素材が展示の中心であることが見て取てる。


シティ・イベントも2024年4月11日に開催

 また、ジュネーブ市が関与する「一般の人々に開かれたイベント」として2023年に初めて開催された「シティ・イベント」が、2024年も4月11日に予定されている。そして会場周辺のジュネーブの高級ブティック街では出展ブランドのブティックを中心に「新しい時計のヴィレッジ(村)」が作られることになっている。こちらにも新しい趣向が採り入れられる可能性が高い。

©WWGF/KEYSTONE/Pierre Albouy
2023年の「シティ・イベント」は、時計ブティックのドアオープン(見学)とストリートイベント(1日のみ)であった。2024年はさらに拡充されるはずだ。

 つまり、時計業界の人間には当然のことながら、時計愛好家やコレクターにとっても2024年のW&WGは2023年以上に魅力的なものになるに違いない。一般公開日のチケットは2024年2月初旬にオンラインで発売が開始される予定とのことなので、関心のある方、特に観覧をご希望の方はどうぞWWGのオフィシャルページをお見逃しなく。

【WWGのオフィシャルページ】
https://www.watchesandwonders.com/


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