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[ブレゲ・マニュファクチュール探訪]冷静と情熱が出会うところ(4/6) 2016年09月号(No.66)

組み立て
ASSEMBLING

時計の完成度を大きく左右するのが、ムーブメントの組み立ての工程である。
ブレゲ・マニュファクチュールが他社と大きく異なる点は、ムーブメントの組み立てそのものよりも、
針やリュウズといった外装部品の取り付け方法にある。
普通、こういった工程は、ほとんど規格化されていない。とりわけ、ブレゲクラスの高級時計ではなおさらだ。
対して、同マニュファクチュールでは、ねじの締め込みや針を固定するトルク、
そしてリュウズの固定方法などが完全に規格化されている。

 加工と仕上げを施された部品は、やはり新棟の2階にある組み立て部門に回される。ここで目を引くのは、部品の製造現場と同じ厳格さだ。「信頼性を破壊するのは個人主義」というモットーの下、あらゆる作業が完全に規格化されていた。例えば、ムーブメントを組み立てるドライバー。ねじ山を傷めないよう、ブレゲではトルクドライバーを使うことが必須である。その本数は2000本というから、他社とは桁が違う。加えて、ねじ頭を破損しないよう、ドライバーの先端には特殊な形状が与えられている。針の取り付け台も、正確なトルクで針を固定できるように下に圧力計を内蔵したもの。この機械は他社にも普及しつつあるが、開発したのはブレゲである。特許が切れたため、ブレゲはいち早く内蔵する圧力計を機械式から電子式に改めたという。

 関係者いわく、「時計に起こる問題の多くは、ねじの外れ、針の外れ、リュウズの外れに起因する。この3つを規格化すると、問題はほとんどクリアになる」。例えば、リュウズの取り付け方法も完全に規格化されていた。巻き真にポリマーを塗布した後、100℃の温度で焼成し、巻き真とリュウズを完全に固定させるという手法は初めて見た。高級時計では、しばしば緩さも味と見なされるが、機能に関してブレゲはそれをまったく許さないのである。なるほど多くのリテーラーが、ブレゲの時計に信頼を寄せるはずだ。

(左)ケーシングの工程。それぞれの作業机の上には、InterTec社製の空気清浄機が取り付けられている。上から空気が出るため、埃は自動的に排出される。また、室内の温度は23℃±2℃に保たれている。現場の責任者いわく「オープンスペースになっているため、作業者間のコミュニケーションが取りやすくなった」とのこと。(右)ブレゲには、さまざまな加工・検査機械がある。その多くは、ブレゲのR&D部門やスウォッチ グループが、外部のメーカーと共同開発したもの。これもそのひとつである。
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