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[ブレゲ・マニュファクチュール探訪]冷静と情熱が出会うところ(5/6) 2016年09月号(No.66)

ギヨシェ彫り
GUILLOCHAGE

ブレゲ・マニュファクチュールのハイライトが、手作業によるギヨシェ彫りだ。
現在、多くのメーカーが、プレスによるギヨシェやCNCで自動的に彫るギヨシェを採用する。
機械の進歩により、そういった手法でもギヨシェの仕上がりは格段に良くなった。
しかし、それらは、ブレゲの個性的なギヨシェ彫りに比べると、明らかに見劣りするのも事実である。
2015年以降、ブレゲはギヨシェの機械と職人をロリエントにまとめるようになった。
27台ものギヨシェマシンを持つ工房は、世界広しといえどもブレゲだけだろう。

ブレゲが自作した最新のギヨシェ彫りマシン。構造は昔の機械を踏襲しているが、カムの素材が違うほか、回転軸にはベアリングが採用された。ヘッドに振動が伝わらないため、ギヨシェの仕上がりはさらに改善された。また、机の手前には、作業者の疲労を軽減すべく、手を置くためのクッションが設けられている。

「ブレゲのギヨシェは、プレスでもCNCの自動加工によるものでもありません。すべて職人がローズエンジンを使って手作業で彫っています。文字盤の素材は18金」。かつてブレゲのギヨシェ彫りはジュウ渓谷の各所で行われていた。だが、2015年以降、ブレゲはすべての設備と職人をロリエントに集約した。世界広しといえども、ギヨシェの機械を27台も擁する工房は他にはないだろう。責任者は次のように説明してくれた。「以前は昔の機械を直して使っていました。しかし6年前から機械を内製するようになりました。昔との違いは、作業台に手を置けること、またカムを支える軸にベアリングを埋め込んだ点ですね。そのため、加工時の振動が文字盤に伝わりません」。

 機械は最新になったが、ギヨシェ彫りの作業は200年前とまったく同じだ。円盤の模様をなぞり、それを手の力だけで18金の素材に転写していく。「手で押す加減を間違えたり、途中で途切れたりするとおしまいだね。とりわけMOP文字盤にギヨシェを彫る場合、一気に完成させないとダメになる」。ギヨシェ彫りを与えられた文字盤は、検査兼仕上げの工程に回されて完成だ。ここでは職人が、木の棒でひとつひとつ、ギヨシェのバリを取り除いていた。

 最新の工作機械や合理的なプロセスを誇る工場が増える中、機能性に対する冷徹さと、審美性に対する情熱を両立させたブレゲ・マニュファクチュールの異質さは際立っていた。こういう工房が作る時計には、当然ながら、相応の性能と美を期待して良いだろう。

新棟の2階にあるギヨシェ彫り部門。文字盤だけでなく、ローターに施すギヨシェ彫りなどもここで行われる。手前の男性は「マリーン」の18Kゴールドローターにギヨシェ加工を施していた。

(左)仕上げの工程。完成したギヨシェ文字盤を顕微鏡で確認しながらバリなどを丁寧に取り除いていく。バリ取りの工程かと尋ねたところ「これは仕上げです」と即答された。(右)ギヨシェ彫りの原理を説明する部門責任者。「職人の技量を高めるべく、毎年新しい模様に挑戦しています」と言う。毎年のようにブレゲが新しいギヨシェ文字盤を採用できる理由だ。
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