「腕時計のある人生 Channel」RYが心から欲しい!【2023年発表の時計ベスト5】

FEATUREその他
2023.12.29

日本、そして世界を代表する著名なジャーナリストたちに、2023年に発表された時計から、ベスト5を選んでもらうこの企画。今回は、人気YouTubeチャンネル「腕時計のある人生 Channel」を運営するRYが選んだ5本の傑作を紹介する。


1位:セイコー クレドール「クオン GCLX997」

 2023年の新作時計の中で最も心惹かれた時計。みずみずしい磁器ダイヤルが美しく、滑らかな曲面で構成されたケースとブレスレットは腕なじみが良い。せせらぎ模様の手巻スプリングドライブは見て良し、精度良しの優れもの。気品がありながらも優しくフレンドリーな万能系ドレスウォッチに仕上がっていると感じた。

セイコー クレドール Kuon

セイコー クレドール「クオン GCLX997」
手巻きスプリングドライブ(Cal.7R31)。30石。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39mm、厚さ10.8mm)。日常生活用防水。132万円(税込み)。


2位:パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ」

 W&W2023後にもこの時計をピックアップしたが、1年を通して見ても傑出した時計。
トンダPFの持つ、腕と一体化するようなフィット感や、いつどこで見ても美しいと感じる細部までの完璧な作り込みに加えて、世界初の複雑機構(しかも日常で使いやすい)“ミニッツ・ラトラパンテ”を涼しい顔で搭載。筆者憧れのデイリーウォッチ。

パルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ」
自動巻き(cal.PF051)。35石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.7mm)。60m防水。438万9000円(税込み)。


3位:オメガ「シーマスター プラネット オーシャン ウルトラディープ 6000M サマーブルーコレクション」

 地球最深部であるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵の海底部のパターンを文字盤に施し深海の神秘と厳しさを感じる本作。しかしUVライトを当てると潜水世界記録である10,935mと「OMEGA WAS HERE!(オメガはここにいたよ!)」という文字が現れる。
この手書き感とひっそりアピール感が堪らなくかわいいのだ。強さと可愛さを兼ね備えたダイバーズウォッチ。

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」

オメガ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ 6000M サマーブルーコレクション」
自動巻き(Cal.8912)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。O-MEGAスティールケース(直径45.5mm、厚さ18.1mm)。6000m防水。200万2000円(税込み)。


4位:ブルガリ「アルミニウム グランツーリスモ 限定モデル」

 近年様々なコラボウォッチが話題を呼んでいるが、このコラボは筆者的に激アツである(PS2のグランツーリスモ4で車好きになり、車から時計好きへとなったため)。
ブルガリのセンス、スタイリッシュさとグランツーリスモのスポーティさ、疾走感の融合。業界を超えた夢のコラボに心が躍ったクロノグラフ。

ブルガリ アルミニウム グランツーリスモ 限定モデル
自動巻き(cal.B381)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。アルミニウムケース(直径41mm)。100m防水。世界限定500本。69万3000円(税込み)。


5位:G-SHOCK「DW-H5600-1JR」

 3年程前に自身のブログで「G-SHOCKはアイコニックなスクエア型でスマートウォッチを出すべし」と書いたのだが、まさか本当になるとは。比較的歴史の浅いスマートウォッチのジャンルにあって、歴史あるデザインを踏襲していることに心揺れる時計愛好家は多いはず。(物理的に)最強のスマートウォッチが誕生したと言っても過言ではない。

DW-H5600-1

G-SHOCK「DW-H5600-1JR」
クォーツ。樹脂ケース(縦51.1mm、横41.5mm、厚さ17.4mm)。20気圧防水。4万1800円(税込み) 。


総評

 今年も筆者が心から欲しい!と思う時計を自由にピックアップさせていただいた。振り返ってみると、ドレスウォッチ、(ラグスポ的)デイリーウォッチ、ダイバーズウォッチ、クロノグラフ、スポーツウォッチ(スマートウォッチ)と綺麗にジャンルが分かれる結果となった。

 順位付けは非常に迷ったが、ドレッシーな時計が上位にくる形となった。今年の時計界のトレンドとしても、小径化やクラシック回帰など徐々にドレッシー寄りになりつつあるように感じる。我が道を行くブランドも中にはあるが、やはりトレンドを追うブランドが大半だと思うので、各ブランドの提案するドレッシーなモデルの発表が非常に楽しみだ。

 また、個人的に嬉しかった時計関連のニュースといえば、6月に開催された「パテック フィリップのウォッチアート・グランド・エキシビション東京 2023」だ。筆者も行ってみたのだが、非常に貴重な時計の数々を、広さ2500を超える会場で、しかも無料で開催してしまうのだから凄いなと感じたし、時計界全体のプレゼンスを高めてくれているような気がしてなんだか嬉しかったのである。

 来年はどんな一年になるのだろうか。新作発表はもちろん、各ブランドの動向もとても楽しみだ。



選者のプロフィール

腕時計のある人生 RY

1990年生まれ。本業は外国船の“船長”。初めて購入した機械式時計をきっかけに腕時計の魅力に取り憑かれる。腕時計好きの人口を増やすため、2019年にブログ「腕時計のある人生」を開設。20年にはYouTube「腕時計のある人生Channel」を開設した。webChronosへのインプレッション記事の寄稿やForza Stayleの人気動画シリーズ「ロック福田の腕時計魂」への出演なども行う。


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