ピアジェの切削技術の向上を象徴する “オリジナル ポロ”は進化を感じさせる意欲作

FEATURE本誌記事
2024.02.06

創業150周年、そして「ピアジェ ポロ」の誕生から45周年の節目となる2024年。今年最初の1本として発表された「ピアジェ ポロ 79」はウォッチメイキングにおける外装製造の進化を感じさせる意欲作だ。

ピアジェ ポロ 79

ピアジェ ポロ 79
ピアジェ ポロの初作をオマージュしたモデル。ピアジェの言葉を借りるなら「スポーティーなエレガントウォッチ」だ。初作に同じく、2ピースの18KYGケースと一体型ブレスレットを採用する。自動巻き(Cal.1200P1)。25 石。2 万1600 振動/ 時。パワーリザーブ約44時間。18KYG(直径38mm、厚さ7.45mm)。5気圧防水。予価1060万円(税込み)。9月発売予定。
Edited & Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年3月号掲載記事]


“オリジナル ポロ”の進化

 2016年にステンレススティールをまとって復活を遂げた「ピアジェ ポロ」。コレクションのリローンチに際しては1970〜80年代のオリジナルデザインを基調としながらも、より立体感を強調したスポーティーな意匠が取り入れられた。そんな新生ピアジェ ポロは、再登場後のラグジュアリースポーツウォッチブームが追い風となり、今や「ピアジェ アルティプラノ」を凌ぐほどのポジションをブランド内で獲得している。

ピアジェ ポロの広告ビジュアル

オリジナルモデル発表時の広告ビジュアル。「in gold only」というキャッチコピーとともに、防水性能をうたっていることからも、当時のピアジェ ポロの立ち位置が「スポーティーなドレスウォッチ」であることが伝わってくる。後に、ラウンド型のケースなど、さまざまなバリエーションが追加された。

 そんなコレクションの勢いを象徴するのが、創業150周年、そしてピアジェポロ45周年の節目を飾る「ピアジェ ポロ79」である。同作は搭載ムーブメントこそ当時のクォーツムーブメント、キャリバー7Pからマイクロローター自動巻きのキャリバー1200P1に変更されているが、その名の通り、1979年発表の初代モデルをオマージュした意欲作だ。

搭載ムーブメントは自社製クォーツのCal.7Pから、マイクロローター自動巻きのCal.1200P1に変更された。ムーブメントの変更でプロポーションが崩れることを心配する声もあるかもしれないが、実は7Pよりも1200P1の方が薄い(それぞれ厚さ3.1mm、2.35mm)。加えて1200P1はケースに直に固定されている。2ピース構造と相まって、同作は薄型に仕上がった。

 ピアジェ ポロ79で見るべきは凝った製造工程によって実現した外装である。具体的には、まず切削で18KYGケースの端々に隙間ができるように成形し、その後、各角をポリッシュで仕上げていく。こうして出来上がったケースの隙間に、別体の18Kゴールドパーツをはめ込んでいるのだ。一見すると磨けそうもない箇所に至るまで、見事な鏡面を与えられたのはこの手法によるものである。オリジナル以上にかっちりと立てられたケースの各面は、高い切削技術の象徴だ。

ピアジェ ポロ 79は、ケースの端々に隙間を作りながら切削したのち、角をポリッシュしていく。そこに別体の18KYGパーツを埋め込むことで、特徴的なゴドロン装飾を腕時計全体に与えた。ケースのポリッシュとサテンの境目がダレていない点に注目。

 なお、ピアジェ ポロ79のケース厚はわずか7.5mmながら、5気圧防水を実現している。これはオリジナルと同じくネジ留めの2ピース構造を採用し、加えて中枠を用いずにムーブメントを直接ケースに固定することで可能としている。

 驚くべき手間をかけ、メゾン随一の外装を伴って進化を遂げたピアジェ ポロ79。2針自動巻きながら1000万円超えという価格もやむなしだ。



Contact info: ピアジェ コンタクトセンター Tel.0120-73-1874


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