SIHH2017 詳報 パート2

FEATURESIHH2017
2017.02.13
月の影で表示する新しいムーンフェイズは、かのクルト・クラウス氏が考案した。このムーンフェイズが置かれたクロノグラフ用のサブダイアルにはホワイトゴールドの粒子が吹きつけられている。実に精緻な作りだ。

 

IWC

 1980年代、90年代という比較 的近しい年代へと回帰する傾向は、ファッションの世界に限った話ではない。ファッションと親和性の強い高級時計市場においてもその傾向は同様だ。その代表的な存在といえるのが、今年のIWCだろう。同社は1月のジュネーブにおいて、既存コレクション「ダ・ヴィンチ」のリニューアルモデルを発表。ケースデザインのソースになっているのは、85年に発表された同名モデルのラウンドケースだ。象徴的な可動式のラグ、ツーステップのベゼルなど、32年前のエッセンスをスマートにリデザインしたその手法はお見事。加えて、ダ・ヴィンチ専用のアラビックインデックス、ランセット(槍)型の時分針、バタフライバックルを装着したオールポリッシュのブレスレットなど、新しいデザイン要素は極めて洗練されている。「男のための時計」をかつて謳っていたIWCだが、台頭する女性ユーザーに向けた配慮にも今は余念がない。直径36㎜のミッドサイズで「ダ・ヴィンチ・オートマティック 36」と「ダ・ヴィンチ・オートマティック・ムーンフェイズ 36」をリリース。各社ともレディス市場へのさらなる訴求へ注力しているが、可憐なムーンフェイズを12時位置に置いた後者は女性メディアからの評価が極めて高かった。もちろん、複雑時計の開発もさらに進化している。伝統的なクロノグラフのキャリバー89000に、永久カレンダーと月の影(陰と陽)で表示する新しいムーフェイズを統合。さらにひとつのサブダイアルで、アワー、ミニッツのクロノグラフレジスターとムーンフェイズを同軸表示することに成功したのだ。視認性と機能性のバランスの妙味が楽しめる複雑時計として、大いに市場を賑わすに違いない。

ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフ
かのクルト・クラウスが設計した永久カレンダー・クロノグラフキャリバー89000を後進のエンジニアたちが改良、12時下にクロノグラフのアワーとミニッツカウンター、ムーンフェイズを同軸配置するキャリバー89630を完成させた。永久カレンダーの表示誤差は577.5年にわずか1日分という高精度を誇る。自動巻き(Cal.89630)。2万8800振動/ 時。約68時間のパワーリザーブ。SS(直径43㎜)。3気圧防水。338万円(税別)。

ダ・ヴィンチ・クロノグラフ“ローレウス・スポーツ・フォー・グッド”
2006年から支援を続けているローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団の特別限定モデル。11作目となる本作は、鮮やかなブルー文字盤を持つシンプルな造形のフライバッククロノグラフだ。IWCではおなじみとなったアワーカウンターとミニッツカウンターを同軸配置するレジスターは計測時の判読性が極めて高い。肉厚なベゼル、リュウズと同軸配置されたような印象を醸すクロノグラフのプッシュピースなど、側面からケースを見ると立体感に富んでいることが分かる。自動巻き(Cal.89361)。2万8800振動/ 時。約68時間のパワーリザーブ。SS(直径42㎜)。3気圧防水。142万5000円(税別)。


ダ・ヴィンチ・オートマティック
可動式ラグとツーステップのベゼルが特徴的な新しいラウンドケースでリリースされた新型ダ・ヴィンチのシンプルな3針モデル。こちらも新しいフォントのダ・ヴィンチ専用インデックスとランセット型の針がオーセンティクな表情を醸す。自動巻き(Cal.35111)。2万8800振動/ 時。約42時間のパワーリザーブ。SS(直径40㎜)。3気圧防水。59万円(税別)。



   

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