2024時計見本市1日目 シャネル発カルティエ行き【ジュネーブ日記】

FEATURE2024年新作時計
2024.04.10

4月9日(火)から15日(月)にかけて、スイスのジュネーブで開催される時計の見本市ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024。この時計業界のビッグイベントをクロノス日本版編集長、広田雅将が日記形式でゆる〜くレポートする。フェア初日である4月9日は、カルティエやパテック フィリップ、ショパールなどを回った。

ウォッチズ&ワンダーズの会場内。始まったばかりなので人は少なめだ。
広田雅将(本誌):文・写真
Text & Photographs by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
[2024年4月10日公開記事]
過去のレポートはこちらから!
「『クロノス日本版』編集長の広田雅将による、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024日記」


https://www.webchronos.net/blog/113426/


4月9日、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2024初日

 4月9日、朝起床。ミグロで買ってきたヨーグルトを食べる。ホテルはウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024の会場から1キロほど離れている。歩けなくはないけど止めた。

朝食。受け狙いではありません。ホテルで朝食を食べる時間がないわけです。

 8時半に会場着。いきなり混んでいるが、30分で会場内に入れる。昨年に比べて人数が減った理由は、リテーラーの参加者を絞ったため。商談日以外は来られないようにした、と聞いた。もっとも、一般公開日を3日間に増やしたので、トータルの参加者は昨年以上になるんじゃないか。

会場前。コミケのようですねようですね。ただしマナーはそんなに良くない。

 9時45分からシャネルのアルノー・シャスタン氏に話を聞く。今年はシャネル愛好家に受けそうなプロダクトを打ち出したが、彼の個人的なシャネル愛が前面に押し出されていて、むしろすがすがしい。「なんでシザーをモチーフに選んだのですか?」「僕が好きだから笑」。それにその質は、多くの時計好きに訴求するだろう。

シャスタン氏の指向が炸裂する、シャネルの新しい「スーパーレッジェーラ」。軽い、硬い、かっこいい。

 喫煙所でいろんな人と会う。結構な人たちと会えるので、時間を見つけては顔を出している。今年からは、なんと喫煙所にローラン・ペリエがブースを出してやがる。11時のオープンから酒を飲む人多数。僕は真面目なのでギリギリ飲まなかった。残念。

喫煙所にできた、ローラン・ペリエのブース。11時から酒が飲めるらしい。真面目な広田は飲みませんでした飲みませんでした飲みませんでry。

 その後、ローラン・“ペリエ”じゃなくって、ローラン・“フェリエ”で新作を見る。クリスチャン・フェリエ氏に加えて、ローラン・フェリエ氏も参上。説明を聞く。ムーンディスクのカバーはなんとエナメル製。プリカジュールのようなものだが、厳密には違うとのこと。いろいろ試したが、発表直前でこれに切り替えたらしい。ディテールの厳密さはいかにもローラン・フェリエ。あとこれは、ムーブメントの文字盤側(日の裏側)の出来が本当に素晴らしい。

ロレックスブースの隣には謎の展示ルームがある。2024の展示はGMT。コレはブレスレットの作り方を記すものだ。

 そのままカルティエのプレゼンテーション。言うまでもなく、トーチュのクロノグラフは傑出している。あまり書きすぎると食い扶持を失うので控えめにしておくけど、シンメトリーを強調したムーブメントの造形はお見事。ここまで作り込むなら、個人的には緩急針をもう少し凝って欲しかった。もっとも、整備性を考えたらエタクロン風で良いのかも。

カルティエの「トーチュ モノプッシャー クロノグラフ」。トーチェじゃなくってトーチュだわ。たぶん秒で完売する。

 個人的に刺さったのは、「パンテール LM」。デザインだけでなく、膨らんだデザインは微妙にレトロ感がある。また、これだけさまざまなブレスレットに取り組む点で、カルティエに比肩するメーカーはなさそうだ。しかもそれぞれ味付けが違う。

 ショパールにも顔を出す。そもそもショパールは推しなんだが、2024年の「L.U.C」コレクションはヤバい。昨年の「XPS 1860」に続いて、今年の「カルテ フルリエ」には震えた。あんな普通っぽいのにカルテ フルリエってのがいい。地味メガネ子が実は美形だった、みたいな驚きがある。

カリテ フルリエ!!!!!!!!めちゃくちゃ欲しいです!!!!!!

 ちなみにショパールという会社を尊敬する理由に、万事にケチくさくない点がある。飲食は大変に豪奢で、ショパールのキウイジュースは、たぶん、見本市会場随一だ。

ショパールというメゾンは飲食が傑出している。キウイジュースは毎回楽しみにしております。

 その後、パテック フィリップ。基本的にはカラバリの追加に留まったが、ディテールは相変わらず秀逸だ。特に文字盤。傘下に文字盤メーカーのフルッキガーがあればこそ、だ。記事に書きたいので詳細はここまで。

パテック フィリップの「カラトラバ 5396」ダイヤモンドインデックス入りはことのほかお気に入り。

 ジャガー・ルクルトのCEOである、カトリーヌ・レニエさんとも話をする。新しい「デュオメトル」いいじゃないですか。値段は安くないですけど。「実際のプロダクトが届いたのは、見本市1週間前だったのよ。期待より出来が良くて良かったわ」とのこと。同社は膨大な設備投資を続けてきて、それが実を結んだか。価格は上がっちゃいましたけど。

ジャガー・ルクルトのデュオメトル。これは超大作のトゥールビヨン。ケースの造形が立体的で、厚みを感じ得ない。

ここまでたどり着いたお友達へのご褒美だ。新しいデュオメトルのムーブメントは、文字盤側こそ面白い。

 ヴァシュロン・コンスタンタンを経て会食。同社のプロダクトは明日改めてみる予定。会場内で多くの関係者と話す。個別の時計がどうだったのかを初日から聞くのは野暮というか、素人と笑われるのでそんなことはしない。お互い、あくまで感想の交換に留める。2024年は地味という声が多かったのは、各社とも、大作の発表を延期したからか。理由は想像できるけど、また別の機会に書くつもり。代わりに外装には力が入っている印象だ。

今年のジャガー・ルクルトは火祭りです(謎

 その後、某社と会食。めちゃくちゃ面白かった氏、ワインも美味しゅうございました。12時にホテルに戻る。珍しく働いたので、夕食まで飯を食えなかった。痩せるだろう、痩せるといいなあ(予定

夜のジュネーブ市街。旧市街は雨に濡れると格別です。