ハイテクセラミックスの先駆者 ラドーの系譜

FEATURE本誌記事
2017.03.09

1991
クポール

ホワイトハイテクセラミックスを採用した最初のモデル。白い素材にもかかわらず、汚れたり、傷が付いたりする心配がなく、審美性にも優れた独創的なデザインは、腕時計の素材に新たな可能性を拓いた腕時計として注目を集めた。

1993
シントラ

プラチナカラーを実現した初のハイテクセラミックス製の腕時計。金属を使用していないにもかかわらず、輝くメタルのような光沢をセラミックスに与えることに成功。プラズマ照射によって2万℃になった活性ガスがセラミックス表面の組成を変化させ、メタリックカラーを発色する。


 ラドーがセラミックケースの時計を発表したのは1986年、ブラックハイテクセラミックスを採用した「インテグラル」であった。当時、ハイテクセラミックスは工業用素材として注目されていたが、硬いという素材特性ゆえに、小さく、立体的な造形物である腕時計のケースに採用するには加工の難しさがあった。同時期に、IWCもセラミックケースのダ・ヴィンチを発売しているが、あくまでも数量限定であったのは加工の困難さと、その結果としての高いコストが原因だろう。ラドーが成し得た快挙は、この困難な加工技術を開発し、量産化を確立したことにあった。

2002
V10K

ヴィッカース硬さ1万の硬度を誇る世界で最も硬い腕時計として認定される「V10K」。ナノテクノロジーによって開発された、天然ダイヤモンドと同じ組成と特性を持つハイテクダイヤモンドをまとうことで可能になった。モデル名は「ヴィッカース硬さ1万」を記号で表記したもの。

2011
D-スター

一般的には「サーメット」として知られるハイテクセラミックスとメタルの合金だが、これはラドー独自のレシピで開発された「セラモス」を採用した最初の腕時計。ハイテクセラミックス90%とメタル10%で構成される合金。ほかにイエローゴールドとローズゴールドのカラーも有する。


2011
トゥルー シンライン

厚さ5mm以下という薄型のセラミックス製腕時計。この薄さを実現するため、ムーブメントを構成するすべてのコンポーネントが十分に統合されているか、徹底的に見直された。機械式だけでなく、厚さわずか1mm以下のクォーツムーブメントも同様に見直しされた。