オメガのオールセラミックケース

2017.04.04

セラミックスの原料となるペレット。セラミックスの原料には種類や用途によって、アルミナやジルコニア、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなど、さまざまな種類があるが、オメガが原料の主成分に使用するのは二酸化ジルコニウム、すなわち、ジルコニアである。

原料は、ケースを削り出す前のブランクに成形された後、炉の中で1400℃の高温で焼結される。セラミックスは焼結によって縮小するため、ブランクはそれを考慮した大きめのサイズに設定されている。


 セラミックス最大の利点である硬いという特徴は、同時に最大の障害にもなる。すなわち、加工が難しく、精密な切削を施すには多大な手間と時間、換言すれば、コストがかかるのだ。したがって、多くのメーカーはセラミックケースの内部にスティールのインナーケースを内包し、ここにムーブメントや風防、裏蓋などを組み付けることで、セラミックス自体に複雑な加工を施すことを回避しているのだ。

「セラミックウォッチの開発にあたって、まず、ケースの素材として、質の高い医療用のセラミックスを選び出し、プロトタイプを57個試作しました。製造は、同じスウォッチ グループ傘下のケースメーカー、コマデュールに依頼しました」

焼結後のセラミックスのブランクはダイヤモンドツールで切削される。ジルコニアはファインセラミックスの中でも、最も高い強度と靭性を備えた高品質のセラミックスとして知られる。

セラミックスの塊であるブランクからダイヤモンドのバイトによって削り出されたケースの原形は、次に研磨工程に回される。研磨材のアルミナの粒子とともにボウルに入れられ、このボウルを回転させることで、内部で撹拌され、硬いセラミックケースは研磨される。