カレンダー表示進化論

FEATURE本誌記事
2017.04.06

ユリス・ナルダン「パーペチュアル・マニュファクチュール」
カレンダーの調整は、リュウズ操作だけで可能。左右のプッシュボタンで主時針を前後に動かせるデュアルタイムも搭載し、6時位置の数字でホームタイムを示す。自動巻き(Cal.UN-32)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。Pt(直径43mm)。30m防水。750万円。問DKSHジャパンTel.03-5441-4515

Cal.UN-32
左側に位置する入れ子状の歯車ユニットが、プログラミングホイール。大枠の日車の内側には、遊星歯車が駆動する歯数が異なる2枚の歯車が重ねられている。大枠の日車と内側の2層の歯車とが、月の大小や閏年の2月末に合わせ、右側の24時間車にそれぞれ噛み合い、正しく日送りする。


 デイトジャストやデイデイトでスタンダードとなった窓表示カレンダーは、1990年代後半には、それまで指針式が主流であった永久カレンダーにも用いられるようになる。表示数が多い永久カレンダーにとって、省スペース化が可能な窓表示はより有利であり、また外観を一層モダンにする。加えて、機構的にも優れていたのが、ユリス・ナルダンが1996年に発表した「パーペチュアル ルドヴィコ」であろう。日付表示は2枚のディスクを用いて大型化し、月・曜日も窓表示とした各カレンダーは、早送りはもちろん、逆戻しも可能としているのだから。それまであった永久カレンダーは、メインレバーによって、各カレンダー表示を切り替える歯車を動かす仕組みだった。レバーは水平運動で歯車を〝押し回す〟ため、逆戻しができない。一方、ユリス・ナルダンの永久カレンダーは、レバーではなく遊星歯車の組み合わせによって大小の月や閏年をプログラミングした。結果、すべてが回転運動のみで制御・駆動されるようになり、逆戻しを可能としたのだ。