魚雷型ロケットと時計の未来を真剣に考えてみた

2017.04.17

ムーブメントはレペ 1839が新規設計・開発した多段式垂直構造。大きな緩急針とテンプが際立つレイアウトだ。水平型の円盤には、ユーモラスな穴開き加工が施され、オープンワークの魅力をより引き立てている。時刻は上部に見えるインデックスを配したSS製のディスクと流線型のダブルエンドポインターで示される。

 現実世界からの華麗なる逃避、あるいは幼年期の憧憬をそのまま具体化しようとする強い意思の力。

 MB&Fが発表したばかりの新作クロック「デスティネーション・ムーン」を見ていると、コンセプチュアルアートのような肌感で時計を作り続ける同社のファウンダー、マキシミリアン・ブッサーの複雑にしてピュアな人間性や創造性が垣間見えてくる。

 テーブルの上に置かれているのは、高さ40㎝以上のロケット模型。それも、実際に宇宙空間へ飛び出す円筒形のロケットではなく、1960年代に一世を風靡したSF映画に登場してくるような、子供の視点で考える最も〝ベタな〟魚雷型だ。しかしよくよく見てみると、これは子供の玩具ではなく、精密な機械仕掛けであることが即座に理解できる。内部には垂直型のムーブメントが格納され、ガラスごしに脱進機が見える。そのうえには、数字を羅列したディスクがはっきりと自己を主張している。