魚雷型ロケットと時計の未来を真剣に考えてみた

2017.04.17

搭乗用のはしごに見えるのは、宇宙飛行士のニールくん。ソリッドシルバーのボディにSSのヘルメットで身を包んだ60年代風のいでたち。はしごには磁石で取り付けられており、取り外しが可能。

MB&Fのマキシミリアン・ブッサー(左)とレペ 1839のCEO、アルノー・ニコラス。子供心を決して失わないふたりの創造者を中心にして、SFロケット型置き時計「デスティネーション・ムーン」が誕生した。


 そう、これはMB&Fお得意の宇宙空間をイメージした置き時計なのだ。

 まるで幼少期の冒険心に満ちた夢を守るかのように、ロケットからはリアリズムが削ぎ落とされ、結果としてフォルムは魅力的なオープンワーク構造になっている。ムーブメントへの動力供給は、基部に配置された大型のリュウズを巻き上げることによって行われる。その基部からロケット上方に向かって梯子を懸命によじ登っているのは、いかにも60年代SF映画タッチの宇宙服に身を包んだ飛行士ニールくん。その姿はとてもコミカルでほほえましいが、ボディはソリッドシルバーで鋳造され、ヘルメットはステンレススティールで成形されている、実に本格的なフィギュアだ。

 ムーブメントを設計したのは、MB&Fと数々の〝スターフリート・マシン〟を創造するクロック専業メーカーのレペ 1839。同社のムーブメントデザイナーにしてSFロケットマニアのニコラ・ブランゲが週末の大半を費やして設計したこの垂直型のムーブメントがMB&Fに委ねられ、この創造性の産物のようなロケット型クロックが完成を見たわけだ。

 3点の着陸用ポッドに支えられた軽やかな(しかし実際は4㎏という堂々たる重量)魚雷型ロケットは、毎時1万8000振動の低振動で、緩やかに時を刻んでいく。