デジタル日付表示の最進化形

2017.04.18

IWC「スピットファイア・パーペチュアル・カレンダー・デジタル・デイト/マンス」
ふたつのインダイアルは、上は分・時同軸の積算計で下は小秒針。ベースとなる自社製クロノグラフは、フライバック機構も備える。裏側から見られる自動巻きローターは名機スピットファイアをかたどる。自動巻き(Cal.89801)。51石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。18KRG(直径46mm)。6気圧防水。536万5000円。

Cal.89801
自社製クロノグラフにふたつのデジタル表示を持つ永久カレンダーモジュールを積む。そのモジュールの輪列は、カレンダー先送りリングの上に円形に構築される。円形の輪列の12時位置に月の大小を判別する月カムを置き、その情報は3時と8時位置にある月と日付の各プログラム歯車に伝達されて、それぞれ2枚のディスクを正確に送る。


ディスクで力を蓄えてディスクを動かす

 堂々たる46㎜径のケースは、開口部も広く、ゆったりとしたダイアル上に、ふたつの大きな2桁表示窓が余裕を持って配置されている。右側は月表示、左側が日付表示。さらに6時位置にはリープイヤー表示の小窓があって、このモデルが永久カレンダーを搭載しているのだと分かる。

 1985年に登場したダ・ヴィンチは、クロノグラフに永久カレンダーを載せた時計史に残る名作だ。モジュールの設計者はクルト・クラウス氏。その7~7時位置には、4桁の数字による西暦表示が備わっていた。以来、IWCは永久カレンダーを得意とし、多様なデジタル表示に挑んできた。「パーペチュアル・カレンダー・デジタル・デイト/マンス」は、その最新型だ。

 これまで月表示を備える時計のほとんどは、日付との混同を避けるために数字ではなく、月名が用いられてきた。それ故、多くは月表示の視認性を犠牲にしてきた。対してIWCは、月表示を数字、つまりはデジタル表示とすることで巨大化したのだ。日付と月の各表示窓の下には、それぞれプレートを置き、数字の混同を防いでいる。ふたつのデジタル表示が居並ぶ様子は、永久カレンダーの外観を一層モダンにする。だからだろうか? ふたつのプレートの存在も、スポーティーな大型ケースに収められているのも、まったく違和感がない。