ブランドイメージを変える時「第1回 モンブランの場合」

2017.05.08

マキシム・アラール
モンブラン ジャパンCEO。1971年フランス・パリ生まれ。ニース大学で経営の学士号を取得後、オリーブオイルやワイン関連の仕事に就く。2002年にリシュモン グループに参画。ジャガー・ルクルトのマーケティングマネージャー(英国)などを経て、2006年にモンブランのセールスディレクター(フランス)に就任。2014年より現職。

 ここのところ、モンブランの動きがとても精力的だ。私たちに最もなじみ深い腕時計の分野では、先のSIHHで「スターウォーカー」コレクションの全面刷新に着手。モダンでありながらターゲットがあまり明確でない、つまり焦点が定まらない存在だったこのコレクションを、モーターレーシングというテーマに振った。その結果、いくつものコンペティターが即座に浮かぶスポーティなスタイルを獲得。さらに、ミネルバのイメージをそこにうまく忍び込ませ(ミネルバがストップウォッチのメーカーとして知られていた事実を思い出してほしい)、単なるスポーツウォッチにとどまらない、スポーツタイミングの歴史をも包含する重厚なイメージを作ることに成功したのだ。

 さらに、25年前にはすでに展開していたレザーグッズのコレクションを拡充。レオナルド・ダ・ヴィンチが考案した絵画技法をレザーに落とし込んだ「マイスターシュテュック セレクション スフマート」は、最上質のレザーに4層のペイントを行って独特の陰影とグラデーションを表現。レザー工房をイタリア・フィレンツェに置くアドバンテージと相まって、同コレクションは2015年9月の発表以降、ロングセラーが続いている。ブリーフケースやトートといったラージレザーグッズから、ウォレットやビジネスカードホルダーなどのスモールレザーグッズまで商品構成は幅広く、適切な価格設定もあってか、モンブランの新しいイメージ作りに大きく貢献している。

「マイスターシュテュック セレクション スフマート」。イタリアルネサンス期に発明された絵画技法スフマートをレザーに応用したコレクション。(左から時計回りに)トート。24万4000円。ブリーフケース。21万6000円。シングルガゼットブリーフケース。24万4000円。ジップ付きウォレット。6万1000円。パスポートケース。3万1000円。ビジネスカードホルダー。2万8000円。ポケット6cc。2万2000円。ウォレット6cc。4万2000円。価格は全て税別。