ブレゲ マリーンの万有引力

2017.06.02

MARINE 5817

1990年に始まる初代「マリーン」は、小ぶりでデザインもクラシカルだった。それを全面的にリデザインしたのが当初「マリーンⅡ」の名で2004年に発表された第2世代モデルだ。
ケースは39mmに拡大され、防水性も100mに向上し、ダイアルと自動巻きムーブメントのローターに波模様のギヨシェをアレンジ。ラバーストラップも初めて導入された。
あらゆるシーンで着けられるスポーティーでモダンなブレゲ・ウォッチとして愛好家を大幅に増やすこととなった。

マリーン 5817
2004年に登場した第2世代の「マリーン」は、100m防水、直径39mmのSSケースを初めて採用し、ブレゲ針、ウェーブ模様の斬新なギヨシェ彫りダイアル、コインエッジ装飾、ラグ、ラバーストラップを新たにデザイン。10年以上も支持されるブレゲの定番モデルのひとつだ。自動巻き(Cal.517GG)。35石。2万8800振動/時。168万円。

 ブレゲが「マリーン」を初めて考案した際に思い描いていたのは、スポーティーではあっても、エレガントかつクラシカルなスタイルを重視したデザインで、女性用のブレスレットウォッチも意識していたという。事実、ケースは小ぶりで控えめ、ダイアルの意匠も通常の「クラシック」コレクションに酷似しており、ブレスレットは装飾過多に見えた。それが現在のようなスタイリッシュなラグジュアリースポーティーウォッチへと変身する契機となったのが「マリーンⅡ」(現行の5817)である。

 ダイアルのギヨシェ彫り、ブレゲ針、ケースのコインエッジ装飾、ベルト固定用のスクリューを配したラグなど、ブレゲに共通するこれらのデザインコードを踏まえながらも、各要素を劇的に変更して「マリーン」特有の個性を確立したのがこのモデルだ。また、名称にふさわしいように、防水性は100mへと強化され、耐水性のラバーストラップも導入されたので、着用シーンは大幅に広がった。日常からリゾートまで、カジュアルな感覚で着けられる第2世代の「マリーン」の登場により、特別な機会に着けるドレスウォッチ、あるいは一部の限られたマニア向けの複雑時計といった、ブレゲのイメージも一変したと言える。

 ブレゲ・ウォッチの着用シーンが広がるといえば、世界を巡る旅に便利なGMT機能が備わった「マリーン 5857」もそうだ。このモデルは、時針の単独運針が可能なので、旅先でローカルタイムに合わせる際にタイムゾーン変更が素早く行え、時針と分針による独立したホームタイム表示も実に見やすい。洒落たスタイリングのみならず、実用性の重視も「マリーン」の開発コンセプトなのだ。


MARINE GMT 5857

現代人のさまざまなニーズに応えるのも「マリーン」のテーマのひとつである。世界を旅する旅行者に便利なGMT機能を加えた2012年発表のモデルはその代表だ。
ローカルタイムとホームタイムをどちらも時針と分針で表示するスタイルは、非常に見やすく実用的。
シンプルだけでは物足りず、プラスアルファのコンプリケーションも欲しいと願うブレゲ愛好家には理想的なチョイスとなるだろう。

マリーン GMT 5857
ローカルとホームタイムの両方を時分針で示す実用的なデュアルタイムGMTウォッチは2012年に発表された。センター時針は1時間単位でタイムゾーン変更が可能。ホームタイムには24時間表示も付属。自動巻き(Cal.517F)。28石。2万8800振動/時。シリコン製脱進機とヒゲゼンマイ搭載。SS(直径42mm)。100m防水。283万円。