ショパール L.U.Cへの情熱 / [マイクロローター新時代]L.U.Cが史上最良のマイクロローターである理由

2017.07.11

L.U.C XPS
2006年に発表された前身モデルのL.U.C XPはジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリの超薄型時計部門で受賞した傑作。その流れを汲むL.U.C XPSは6時位置にスモールセコンドが追加され、サファイアクリスタル製トランスパレントバックを備える。自動巻き(Cal.96.12-L)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRG(直径39.50mm)。3気圧防水。166万円。

 実は、マイクロローターの採用を決断したのはショイフレ氏自身であった。それは、センターローターのように大きな回転錘が受け全体を覆い隠すことがないため、多大な労力を傾けてせっかく古典的な装飾をムーブメントに施したとしても、その営みが徒労に終わることなく、美観を存分に堪能できるからだ。すでに一般に普及していたセンターローターに比べて開発コストはかかるが、あえて美しさの提供を選んだというわけだ。さらに、マイクロローター搭載ムーブメントは当時、時計産業にあって稀少な存在であったため、時計愛好家や目利きたちの注目を集めることが期待され、発表後には実際に高い評価を得た。

 こうして誕生したL.U.C 1.96は、現在でもまったく色あせることのない仕様と仕上げを誇る。近年、ショパールが広告ビジュアルで両方向巻き上げの自動巻き機構を用いるのも、L.U.C 1.96以前のマイクロローター自動巻きが、基本的に片方向巻き上げで、ショパールが採用したコンパクトなラチェット式がいかに画期的であったかを物語っている。加えて、自動巻きであってもショイフレ氏の好むクラシックで、まるで手巻き時計のように優雅ですっきりしたケース形状を実現できたのも、マイクロローターを採用した大きなメリットである。

 L.U.C 1.96こそ、開発当初から決して妥協することなく完遂された近年稀に見るマニュファクチュールムーブメントであり、その核心機構のひとつに、マイクロローターを採用したショフレ氏の英断は、一流を知る男の慧眼と信念がもたらしたもの、と言っても過言ではあるまい。


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【マイクロローター新時代】
Part.1:[なぜマイクロローターは開発されたのか?]
Part.2:[薄型化と頑強さ、高精度を実現した 常識を覆すパネライ Cal.P.4000]

Part.2:[L.U.Cが史上最良のマイクロローターである理由]