レディスモデルは原点回帰 / ブランドイメージを変える時「IWCの場合」

2017.07.24

「ダ・ヴィンチ・オートマティック36」。自動巻き(Cal.35111)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ42時間。18KRG(直径36㎜)。ダイヤモンドベゼル。421万円(税別)。

 実際、市場からのニーズはあったという。例えば、ポルトギーゼ・クロノやパイロット・ウォッチをマニッシュにつけこなしている女性はいたし、「ダイヤモンドがセッティングされた時計」や「カラーストラップが付いている時計」、つまりフェミニンな時計に対する需要は潜在的にあったのだそうだ。

「男性からのペアウォッチの需要も数多くありましたね。そうしたニーズを満たすために、ブランドの知名度が高くなった段階でポートフィノ・オートマティック 37を投入したのです。私も含めたIWCに携わる人間は、IWCのDNAに嘘はないと確信しています」

 では、IWCが定義するレディスモデルの約束事とはなんだろうか? ブランデラ氏は少し考えながら「IWCの歴史から逸脱しない正しい商品」「自動巻き搭載」「メンズモデルとの統一性」などといった要素をあげてくれた。

 ポートフィノ・オートマティック 37のリリースから2年後の今年、IWCは再びレディスのコレクションを発表した。「ダ・ヴィンチ・オートマティック 36」と「ダ・ヴィンチ・オートマティック・ムーンフェイズ 36」である。1980年代のダ・ヴィンチのケースデザインに範を取ったというラウンドケースと可動式のラグ、半円形のリュウズなど、ポートフィノ・オートマティック 37よりも明らかにデザインで語るべき要素が多い。もちろん、可動式のラグは腕へのフィット感をより高めるための方策であるし、半円形のリュウズは確かな操作性を約束するなど、華やかながら実質性を失わないのは、さすがIWCといったところだろう。アラビア数字のインデックスも力強く、メンズモデルとの親和性も高い。もちろん、視認性が高いことがいうまでもない。

「IWCの時計の定義は『可愛い』ではありません。ですので、ご愛用いただく女性は、インテリジェンスを持っている方が理想ですね。あるいは時計に存在感があるので、同じく存在感の強い女性の方々です」

 マーケティングもスーパーモデルや日本の著名人などを起用、あるいは雑誌などとパートナーシップを結んで、より多くの潜在需要に届くよう活発に活動している。「それぞれの国のセレブリティというローカルのスパイスを加えた、軸のぶれないワールドワイドなマーケティング戦略」は、プリントメディア、ウェブ、SNSと幅広く多彩だ。

「ダ・ヴィンチ・オートマティック・ムーンフェイズ36」。自動巻き(Cal.35800)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ42時間。SS(直径36㎜)。ダイヤモンドベゼル。144万5000円(税別)。