MORITZ GROSSMANN すぐに日付を直せる逸品 / モリッツ・グロスマン カレンダーウォッチの本質を考え抜いたジャンピングデイト

2017.08.17

Cal.100.1をベースに開発されたインテグレート・ジャンピングデイト機構

Cal.100.3

❶筒車
❷デイト用伝え車
❸デイト用切り替え車
❹切り替え爪レバー(ジャンパー)
❺リング型ジャンパースプリング
❻解除レバー
❼解除ピン(裏側に設置)
❽星車
❾星車規制バネ
❿ブロックレバー
⓫ブロックレバースプリング
⓬ストップレバー
⓭デイトディスク
⓮ブラケット型マーカー


 初代ベヌームーブメントを熟成改良させた、アトゥム搭載の第2世代ムーブメント「Cal.100.1」。それをベースとしたジャンピングデイト搭載ムーブメントが、アトゥム・デイトが搭載する「Cal.100.3」である。先行する「Cal.100.2」(ベヌー・パワーリザーブ用)と同様にモジュール構造を採用せず、デイト機構のすべてをインテグレートした“一体型”として仕上げられている。特筆すべきは、新設計のデイト機構に盛り込まれた二重三重のセイフティだ。瞬転式ジャンパーを備えるデイト表示には、カムとヨークで動作を制御するロレックス方式や、ジャンパースプリングで制御するETA方式などがあるが、どちらも日送り車の基本的な動作は、筒車によって連続的に行われている。瞬転機構は“最後のひと押し”を手助けするのみ。このため日送り車とデイトディスクが噛み合ったままの状態となる、深夜0時の前後2時間ほどは、カレンダーの操作禁止時間帯となるのが通常だ。デイト機構を破損させる事例は、この時間帯に早送りをすることが主な要因である。対してCal.100.3では、デイトディスク⓭とジャンパー(=切り替え爪レバー❹)の間に星車❽を挟むことで、瞬転機構と日付調整機構を完全に切り離している。両者が物理的に接触するのは、ジャンパーが星車を弾くコンマ数秒のみで、また両者が接触した状態で機構が停止することは絶対に有り得ない。

 デイト用切り替え車❸に備え付けられたジャンパー❹は、正確に21時08分からブロックレバー❿によって同軸回転を規制され、リング型ジャンパースプリング❺にトルクを蓄え始める。深夜0時になると解除レバー❻がジャンパーの規制を解除し、星車❽を弾く。星車の回転量は、規制バネ❾によってコントロールされるため、デイトディスク⓭とブラケット型マーカー⓮の移動量は常に一定となる仕組みだ。また、針合わせ機構とデイト送り(逆戻しも可)は完全に独立しているが、誤操作防止の観点から同時操作はできないようになっており、リュウズが針合わせポジションにある場合は、ストップレバー⓬がデイト送りの動きを規制する。