伝統と革新の融合 / オーデマ ピゲ 13年の研究成果が結実した 革新に伝統が息づく唯一無二のミニッツリピーター

2017.08.17

スーパーソヌリは、音響盤と裏蓋の間に設けた空洞によって音を響かせ、さらに増幅させるだけでなく、ミニッツリピーターの打鐘速度を調節するガバナーが発する雑音も低減することを試みた。そのキーパーツが写真の「逆M字型」のブレードを備えたサイレントガバナーである。

ゴングを固定し、ゴングが打鐘されることで発生する振動を外部へ伝える重要な役割を担うのが音響盤だ。当初、銅の合金を用いていたが、銅の酸化を避けるため、試行錯誤の末、現在はチタンと銅の合金を採用する。上は、さまざまな配合の合金で作られた試験用の音響盤。


 創業以来、140年以上の歴史を持つオーデマ ピゲは、ふたつの顔を持つ。ひとつは地元、ル・ブラッシュで代々の時計作りを今に継承する伝統に忠実なブランドとしての一面。もうひとつが、同社きってのフラッグシップモデルであるロイヤル オークに象徴されるように、各時代の革新性や先端技術を積極的に採り入れる進取の気象に富んだアントレプレナーとしての一面だ。実は、このスーパーソヌリの開発においては、このふたつの異なる特質が巧みに活かされて達成されたと言うことができるのだ。

 同社のグローバル ブランド アンバサダーを務めるクローディオ・カヴァリエールはこう解説する。「スーパーソヌリの開発にあたってオーデマ ピゲがまずしたことは、〝音の手本〟を探すことでした」

下は、実際のプロダクトに採用されている音響盤とゴング。オーデマ ピゲは永続的なメンテナンスの観点から、将来的に入手困難になる可能性のある素材には手を出さない。例えば、ゴングの素材には、同社で伝統的に使用されてきたスティールを採用する。この素材なら、たとえ何年経っても、パーツ交換等のメンテナンスに困ることはない。