BREGUET マリーン エクアシオン マルシャント 5887 / ブレゲと「均時差」かくも永き蜜月

2017.08.22

MARINE ÉQUATION MARC HANTE 5887

初代アブラアン-ルイ・ブレゲの夢を受け継いで生まれた「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」。この時計が搭載する均時差表示は、機構のための機構ではない。
時分針と真太陽時を表示する均時差針を併用すれば、昔のマリンクロノメーターに同じく、現在地の経度を知ることができるのである。
これほど、「マリーン」という名にふさわしい複雑時計があるだろうか。

マリーン エクアシオン マルシャント 5887
スポーティーウォッチ「マリーン」に加わった超複雑時計。トゥールビヨンに加え、永久カレンダーに連動した均時差表示を備える。本作の均時差表示は、極めて珍しいランニングイクエーション。時針に対してプラスマイナスで表示する一般的な均時差表示と異なり、均時差針が直接、真太陽時を示す。写真の時分針が示すのは10時9分。しかし、同軸に置かれた均時差針は10時2分を示す。機構は大がかりになるが、真太陽時と平均太陽時を瞬時に読み取りやすい。自動巻き(Cal.581DPE)。57石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。Pt(直径43.9mm)。10気圧防水。2494万円。

 ブレゲが熱望した完全なマリンクロノメーター。それを具現化したのが、2017年の新作「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」である。現代のブレゲの設計陣は、この時計が実際に使われることを想定して、図面を引いたに違いない。約80時間ものロングパワーリザーブを備えた自動巻きに、永久カレンダーと完全に連動する均時差表示機構を持ち、しかもそれは分針と同軸で回り、常に正確な真太陽時を示すランニングイクエーションなのである。もし、この時計が2世紀前にあったなら、船主たちはこぞって買ったに違いない。

 先述した通り、正しく均時差を表示するには、永久カレンダーと連動させる必要がある。このふたつは理論上、ショックに極めて弱いが、ブレゲの設計陣は均時差レバーを強固なバネで支え、かつ永久カレンダー機構をコンパクトにまとめることで理論上は耐衝撃性を大きく高めた。また、永久カレンダーの心臓部にあたる、閏年をプログラムした12カ月カムも、突起を抑えた形状となっている。これならば永久カレンダーを動かすレバーがカムに食い込んで、カレンダーを止めることはないだろう。

 正直、この時計をマリンクロノメーターとして使うユーザーがいるとは想像し難い。しかし、均時差表示を備えたマリーン エクアシオン マルシャント 5887は、理論上、最も完全に近いマリンクロノメーターと言える。均時差表示をマリンクロノメーターに加えようとした初代ブレゲがこの時計を見たら、彼は一体、どんな感想を述べただろうか?

マリーン エクアシオン マルシャント 5887
上のモデルの素材違い。ちなみに、均時差は、日にちによって大きく変わるが、地域や南半球、北半球などで変わることはない。地域で変わるのは、均時差自体ではなく、太陽の南中時間によって変わる、日の出・日の入り時間のみである。このモデルが地域を示す表示を持たない理由だ。永久カレンダーと連動した均時差表示を持つ本作を使えば、理論上、かなり正確な経度が測定できるはずだ。史上最も完成されたマリンクロノメーター。防水性能も10気圧あるため、実際の航海で使うことも可能だろう。基本スペックは右ページのモデルに同じ。18KRG。2328万円。

「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」取り扱いショップリスト
1: ブレゲ ブティック銀座 03-6254-7211
2: タカシマヤ ウオッチメゾン 東京・日本橋 03-3211-4111(代表)
3: 髙島屋 新宿店 4階 ウオッチサロン 03-5361-1111(代表)
4: BEST新宿本店 03-5360-6800
5: 名古屋栄三越 6階 ウオッチ&ジュエリー ブレゲサロン 052-252-3744(直通)
6: 阪急うめだ本店 7階時計売り場 06-6361-1381(大代表)
7: 大丸心斎橋店 北館12F時計サロン 06-6271-1231(代表)


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