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本田雅一、ウェアラブルデバイスを語る/第1回『ウェブクロノスでスマートウォッチ?』(1/3)

本田雅一:文
Text by Masakazu Honda

 テクノロジーの分野で、知らぬ人はいないほどのジャーナリストが、本田雅一(ほんだ・まさかず)氏だ。その本田氏が、腕に着ける装置「ウェアラブルデバイス」を語る。第1回目は、ウェアラブルデバイスとスマートウォッチの違い、そして本田氏をアンチスマートウォッチ派から“改心”させた、「Apple Watch 3」の話である。

2015年に発売されたApple Watchには、18Kゴールド製ケースの「Edition」もラインナップされ、話題を呼んだ。18KYG(縦40.2×横35.9mm)。188万円(税別)。参考商品。

いまだカタチの定まらないスマートウォッチ

「ウェブクロノスでスマートウォッチだぁ?」
 思わず心の中ですっとんきょうな声を上げた。いたずらっぽい少年のような表情を浮かべるクロノス日本版編集長……広田くんから連載の誘いを受けたとき、果たしてそれが本気なのか冗談なのか、すぐには確信できなかった。
 テクノロジー製品の領域ではオーディオからパソコン、スマートフォンまで幅広く評価記事を書いてきた僕だが、スマートウォッチに関しては“否定派”である。その上、腕時計のことなんて、これっぽっちも知らないのだから、ウェブとはいえ高級腕時計専門誌での連載は務まらないだろう。
 なんてことを書いていながら、ここにコラムを始めようというのだから、僕も相当な物好きということなのだが。物好きと物好きが並べば、何か生まれるのかもしれない。改めて広田くんからのメールを読み返すと、そこには「スマートウォッチとウェアラブルデバイスについて、クロノスとしても無視できない状況にあると考えている」とあった。
 “無理だよ!”と心が叫びつつも僕がこの仕事を引き受けたのは、スマートウォッチではなく“ウェアラブルデバイス”について考えてほしいと書かれていたからだ。スマートウォッチという、よく分からないカタチの定まらぬ製品ではなく、身にまとうべき最新デバイスのトレンドを追いかけるのであれば、そこには興味深い広がりも生まれるかもしれない。
 なぜなら、かつては腕時計こそが最新技術が詰め込まれた最新のウェアラブル装置だったのだから。ウェアラブルデバイスの未来とは、まさにクロノスの未来でもあるだろう。そのスタート地点として“スマートウォッチ”の勃興から始めるのは悪くない。とはいえ、一括りにスマートウォッチといってもどんな製品なのか分かっているようで分からない。そのカタチはいまだ定まっていないからだ。
 まずは“スマートウォッチとはどんな製品なのか”を考えるところから始めよう。

スマートウォッチor コネクテッドウォッチ?

  だがApple Watch……いや、スマートウォッチというジャンルは生まれたてほやほや。あっという間に内蔵するデバイスの能力・機能が同時に進化し続ける。こだわりの磨きが施された、時代を超越した価値を持つ18Kゴールド製ケースを所有していたとしても、肝心の中身が時代遅れになれば意味を成さない。

「18Kゴールドの筐体に包まれた8ビットパソコンを使うやつなんていないよ!」

そう僕の心の声が叫んだのはテクノロジージャーナリストだからではないはずだ。デジタルデバイスの世界に少しでも接しているならば、誰もが漠然と疑問に思っていたことではなかろうか。実際、僕はアップルに「この18Kゴールド製ケースのApple Watch、将来、臓物(電子基板やバッテリー)のアップグレード、やらないんですかね?」と質問した記憶がある。猛烈な進化の端緒に立ったばかりのスマートウォッチというジャンルにおいて“タイムレス”な価値観を求めるなんて、なんというナンセンスなのだろうか?!?

 Apple Watchが世の中に投入された当時、テクノロジー業界は腕時計の世界を本質的に理解できず、腕時計業界も“新しい何か”を模索している状況の中、スマートウォッチとは何かという基本的な共通認識さえ危うかった。

 いや、今でもそこは危ういままかもしれない。スマートウォッチとはどんな製品なのか。さまざまなメーカーがそのカタチを模索している真っ最中だからだ。

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