ハリー・ウィンストン「プロジェクト Z11」の完成度

2017.10.11
ハリー・ウィンストンプロジェクト Z11

ハリー・ウィンストンプロジェクト Z11
「プロジェクト Z」シリーズの第11作目。ケース素材に使用したザリウム™のグレーを基調とし、ダイアルにはブラックを効かせつつ、ブルーを差し色とした同シリーズらしいカラーリングも巧みだ。限定300本。自動巻き(Cal.HW3206)。35 石。2 万8800 振動/ 時。パワーリザーブ約72時間。ザリウム™(直径42.2mm)。10気圧防水。250万円。
奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okayama
髙木教雄:文 Text by Norio Takagi

ハリー・ウィンストン「プロジェクト Z11」の完成度
「信念」は細部に宿る

 シリーズ名に冠する「Z」は、ケース素材に用いられた「ザリウム™」の頭文字。「プロジェクト Z」シリーズは、主に宇宙工学の世界で使われてきたこの特殊合金に、ハリー・ウィンストンが挑んだ“プロジェクト”と名乗るにふさわしい限定モデルだ。
その最新作は、難加工材を高度な技術で入念に設え、これまでになく薄く仕立て上げた。さらに、大型日付表示を備えるダイアルは、本店を置くニューヨークの建造物をモチーフとし、丁寧な装飾仕上げと相まって、構造的な機能美を際立たせている。隅々にまで気配りが行き届いた繊細なディテールの積層で、荘厳なる外観を創出した新作だ。

プロジェクト Z11

大型日付表示の窓枠は、鉄骨をつなげた橋梁のようなデザインで両側から支えられる。拡大すると1の位のディスクの数字の下が直線的に切り取られているのが分かる。

 初見であっても、多くの時計ファンは、このモデルが「プロジェクトZ」シリーズだと気付くであろう。2004年にスタートした限定モデルのコレクションの最新作は、これまでと同様に軽量で耐蝕性に優れる特殊合金ザリウム™をケースに用いている。その素材本来が持つ深みのあるグレーの色調は、これまで以上に繊細なサテン仕上げが施され、重厚感を増した。象徴的なケース素材の質感こそが、ひと目で同シリーズの新作だと判別できるゆえんだ。
さらにわずかな段差を持つ幅広のベゼルとラグ、そしてニューヨークの本店のファサードに設置されるアイアンゲートに範を取るリュウズガードをシリーズ共通のデザインコードとし、また過去、ハリー・ウィンストンが多用してきたオフセットのダイアルを採用したことで、「プロジェクトZ11」は、よりアイコニックになった。見であっても、多くの時計ファンは、このモデルが「プロジェクトZ」シリーズだと気付くであろう。2004年にスタートした限定モデルのコレクションの最新作は、これまでと同様に軽量で耐蝕性に優れる特殊合金ザリウム™をケースに用いている。その素材本来が持つ深みのあるグレーの色調は、これまで以上に繊細なサテン仕上げが施され、重厚感を増した。象徴的なケース素材の質感こそが、ひと目で同シリーズの新作だと判別できるゆえんだ。
さらにわずかな段差を持つ幅広のベゼルとラグ、そしてニューヨークの本店のファサードに設置されるアイアンゲートに範を取るリュウズガードをシリーズ共通のデザインコードとし、また過去、ハリー・ウィンストンが多用してきたオフセットのダイアルを採用したことで、「プロジェクトZ11」は、よりアイコニックになった。