ハリー・ウィンストン「プロジェクト Z11」の完成度

2017.10.11
ストラップ

手裏剣モチーフをあしらうストラップは、リジットのデニム製のように見えるが、実はカーフの型押し。実に緻密なエフェクト加工だ。サイドまで包み込むようにラバーが裏打ちされ、汗にも強い。

 また大型日付表示のディスクと同じく、表側に姿を見せるムーブメントの地板は、オフセットした時分表示ダイアルから放射状に伸びるストライプ装飾が華やぐ。それは高層ビルに降り注ぐ、光芒のようでもあり、厳かな印象を添えている。
 軽量なザリウム™を素材としたプロジェクト Z11には、実に多様な表現が凝縮される。それは、ニューヨークを象徴する超高層ビルのひとつ、シーグラム・ビルディングの設計を手掛けた20世紀を代表する建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが遺した「神は細部に宿る」という金言の体現そのものだ。プロジェクト Z11もまた、細部にハリー・ウィンストンの美の信念が宿り、高級時計としての完成度を極める。