「タグ・ホイヤー カレラ カーボン」 マテリアルとテクノロジーの融合

FEATUREその他
2018.12.25
キャリバー ホイヤー02

キャリバー ホイヤー02(左が文字盤側、右が裏蓋側)。タグ・ホイヤーの最新自社開発・自社製造クロノグラフムーブメント。自動巻き。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。直径31mm、厚さ6.9mm。垂直クラッチとコラムホイールを搭載する。コラムホイールはレッド、自動巻きローターはブラックという仕上げも精悍でスポーティーだ。このムーブメントは現在、オウタヴィアのほか、GMT機構付きの新作「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 GMT」、また先日発表された限定モデル「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02 by Fragment Hiroshi Fujiwara」にも搭載されている。

3次元CADによる「キャリバー ホイヤー02」のレンダリング。クロノグラフムーブメントを構成する168個のひとつひとつのパーツは非常に精密に作られている。


生産性・汎用性・メンテナンス性に優れるキャリバー ホイヤー02&02Tの真価

 この「カレラ カーボン」コレクションの3モデルに共通する、ひとつめの大きな魅力が、タグ・ホイヤーの完全自社開発・自社製造クロノグラフムーブメント「キャリバー ホイヤー02」でおよび「キャリバー ホイヤー02T」ある。2016年にまずトゥールビヨン機構搭載かつC.O.S.C.認定クロノメーターという高精度仕様の「キャリバー ホイヤー02T」として、さらに2017年には「オウタヴィア キャリバー ホイヤー 02 クロノグラフ」として発表されたこのマニュファクチュールムーブメントは、社内でじっくりと時間をかけて開発されただけあり、最新の技術とメカニズム、時計のプロを唸らせる工夫が数多く盛り込まれている。クロノグラフ機構を起動する際に「針飛び」が起こらない垂直クラッチ、快適な操作感を実現するコラムホイールの採用は、このムーブメントでまず注目したい特徴だが、時計好きを自認する方々にぜひ評価してほしいのは、賢い設計により実現した優れた整備性と拡張性だ。パーツ同士を巧みに面で組み合わせる構造にすることで、構成部品を留めるネジの数は最小限にとどめられている。そのため部品交換などのメンテナンスが、従来よりも簡単かつ確実に行える。これは個々の部品の仕上がり精度が高いから可能なことだ。

 また、トゥールビヨン機構搭載仕様に続いてブランド初となるGMT機構搭載仕様が登場したように、ベースムーブメントは薄型であり、設計段階から付加機能モジュールの追加を考慮した設計になっている。加えて、クロノグラフ機構の複雑なメカニズムとその動きが表裏から目で楽しめるスケルトン構造であること、香箱ひとつというシンプルな設計ながらパワーリザーブ約80時間、つまり週末の金曜日に腕から外しても月曜日の朝まで余裕で動き続けるというロングパワーリザーブも、このムーブメントの優れた特徴であり、大きな魅力である。さらに、これだけ高機能・高性能でありながら、製品価格が他社の同等モデルよりずっと手頃なことも見逃せない。

トゥールビヨン機構を搭載する「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02T」のデザインスケッチ。