デザインとして堪能したい10本のトゥールビヨン

人目を引く複雑さがプロダクトの視覚的魅力を大いに高めるという視点は、時計メーカー各社が近年、トゥールビヨン製造を重視していることに想像できる。もちろんこれには流行も寄与している。近年発表されるモデルの多くがハイテク性を重視してデザインされていることもあり、トゥールビヨンはデザイン全体に調和しやすいのだ。今回はデザインとして堪能したいトゥールビヨンをお届けする。

リシャール・ミル
「RM 50-02 ACJ トゥールビヨン スプリットセコンドクロノグラフ」

　リシャール・ミルは、贅を尽くした機体を製造するエアバス・コーポレート・ジェット（ACJ）とのコラボレーションモデルを発表し、モダンな意匠のトゥールビヨンを6時位置に搭載するデザインを完成させた。ベゼルはACJの機体の窓から着想を得た独特な形状である。ラップタイム計測のためのスプリットセコンドクロノグラフ機構を備える自社製手巻きキャリバーRM50-02を搭載。2時位置にはパワーリザーブインジケーターを備え、4時位置にはリュウズポジションが視認性よく表示されている。ケースはチタンとアルミニウムの合金製だ。

ウブロ
「MP-05 ラ・フェラーリ サファイア」

　11個の香箱を垂直方向に連結することで約50日間（50日であって50時間ではない！）のパワーリザーブを生み出し、その先端にトゥールビヨンを備えた「MP-05 ラ・フェラーリ サファイア」。購入時には、時計の主ゼンマイを巻き上げる専用工具としてF1でタイヤ交換時に使う工具を模した、電池駆動のスクリュードライバーが付属する。

オーデマ ピゲ
「ロイヤル オーク コンセプト・フライング トゥールビヨン GMT」

　9時位置にフライングトゥールビヨン、3時位置に第2時間帯インジケーターを備え、約10日間のパワーリザーブを誇る手巻きキャリバー2954を搭載する「ロイヤル オーク コンセプト・フライング トゥールビヨン GMT」。新デザインによるブリッジやアシメトリックな外観が特徴的な新世代モデルだ。6時位置はリュウズポジションインジケーター（H＝時刻合わせ、N＝通常使用時、R＝巻き上げ）を示す。

ユリス・ナルダン
「マリーン・グランドデッキ・トゥールビヨン」

　トゥールビヨンだけがクラシカルな意匠で構成されるというユニークなデザイン。2枚のディスクを使用したジャンピングアワーや、細いケーブルによるリニア式分針など非常に独特な時間表示方法が採用されている。これらの動きを司るローラーは、ヨットのマストの帆を操るウィンチのようだ。クリストフ・クラーレ製手巻きキャリバーUN630を搭載し、世界限定18本のみが発売された。

カルティエ
「ロトンド ドゥ カルティエ アース＆ムーン」

　ムーンフェイズ表示のためにトゥールビヨンを覆い隠す？　おかしなことに聞こえるかもしれないが、それこそがカルティエが実現したことなのである。4時位置のプッシュピースを押すとメテオライト（隕石）をカットして作られた円形ディスクがトゥールビヨン上にスライドし、トゥールビヨンの見える部分が月の様相を表すようになるのだ。自社製手巻きキャリバー9440MCを搭載し、世界限定わずか15本のみが製造されたモデルである。