今、セイコー アストロンを選ぶ理由

FEATUREその他
2021.01.19

<セイコー アストロン進化の系譜>
――GPSソーラーウォッチとは?

地球上のどこにいてもGPS衛星電波を捉え、“10万年に1秒”という圧倒的に高精度な時刻情報を表示すると同時に、簡単な操作で経度・緯度・高度情報を取得し、現在地のタイムゾーンに修正するのがGPS機能である。従来、多くのエネルギーを要していたGPS機能にソーラー発電機能を盛り込み、時刻修正に加えて電池交換の手間まで省いたGPSソーラーウォッチを世界で初めて完成させたのが「セイコー アストロン」だ。その進化はケースサイズの小型化に大きく表れており、その要となるのが受信アンテナの高性能化・省電力化、そして小型化である。2012年発表の初代7Xシリーズに搭載されていたのは直径38mmのリングアンテナ(左)。これが2014年の8Xシリーズでは直径35.5mmとなり(中左)、2018年の5Xシリーズでは10×10mmの小さなパッチアンテナとなった(中右)。2019年の3Xシリーズにおいてはアンテナ自体が受けと一体化され、さらなる小型化・薄型化を可能にしたのだ(右)。

2012 <7Xシリーズ>

アストロン ブライトチタンモデル

セイコー アストロン ブライトチタンモデル
SAST003

“新生アストロン”の原点となる、2012年3月にリリースされた7Xシリーズのファーストモデル。6時位置に24時間制デュアルタイム表示、10時位置にパワーリザーブ表示を搭載。GPSソーラー(Cal.7X52)。セラミックベゼル×チタンケース(直径47mm、厚さ16.5mm)。10気圧防水。チタンブレスレット。生産終了(発売時の税別価格19万円)。
鎌田淳一

7Xシリーズ搭載モデルの担当デザイナーに抜擢された鎌田淳一氏。「初めてキャリバー7Xを目にしたとき、こんなに小さなもので宇宙から来るGPS衛星の電波を受信できるのかと衝撃を受けたと同時に、新しい技術の先進性を表現しなければもったいないと高揚したことを覚えています」と当初の想いを語る。大きなケースを活かして鎌田氏が導入した“立体感”の要素は、以降すべてのセイコー アストロンのDNAとして受け継がれていくこととなる。

世界初のGPSソーラーウォッチ登場

「クオーツ アストロン 35SQ」の誕生から30年以上を経た2000年初頭。クォーツウォッチのコモディティ化を見届けたセイコーは、グローバル化、ボーダレス化の加速する時代を見据えて、新世代型腕時計の開発への機運を漲らせていた。それがGPSソーラーウォッチである。

鎌田淳一氏による「コンセプチュアルデザインモデル」のデッサン画。ケースの大きさ、厚さを活かすため、パーツひとつひとつの存在感が強調され、立体感が追求されている。都市名を含め、インデックス全体に蓄光塗料が施され、さらに都市名をダイアルリングの外側に配することで、カーブしたサファイアクリスタル風防を通して側面からも読み取れるようにデザインされている点にも注目。

 2006年、プロジェクトが本格始動。その開発には当時すでに独自のGPSモジュールを有しており、ハンディータイプのモバイルGPS端末の量産を成功させていたセイコーエプソンの協力を仰いだ。苦戦を強いられたのが受信アンテナの開発。既存のパッチ型アンテナが金属と干渉して受信感度を劣化させる性質のため、配置箇所を模索していた彼らは、やがてこれをセラミックス製のベゼルの内側に収める方法へとたどり着く。約5年後の2011年に直径38mmのリングアンテナを完成させ、新しいムーブメント、キャリバー7Xが誕生したのだ。

SBXA033

コンセプチュアルデザインモデル
SBXA033

コンセプチュアルデザインモデルの文字盤には地球の中心部から見上げた北半球が描かれている。通常の地図とは反転となるこの視点を用いたのは、地球の自転を時計回りに表現するための粋なはからいだ。ポリカーボネイト文字盤の白色の濃淡は、内部にあるソーラーパネルの配置を考慮しつつ、光の透過率が最適となるよう巧みに計算されたもの。GPSソーラー(Cal.7X52)。ステンレススティールケース(直径48.2mm、厚さ18.1mm)。10気圧防水。強化シリコンバンド。生産終了(発売時の税別価格22万5000円)。2014年2月発売。

 だが、新たな課題も生まれた。このキャリバー7Xを内蔵するケースは、実用品としての許容範囲の限界に迫る大径となる。またリングアンテナをベゼルの内側に埋め込むため、どうしても風防と文字盤の間隔が広く開いてしまうのだ。「装飾品としての腕時計の魅力を上げる」という課題を託されたのがデザイン部の鎌田淳一氏である。鎌田氏はこの制約を逆手に取り、通常の腕時計には発生しない風防と文字盤の隙間を立体的に活用することで、技術の先進性を表現する空間へと見事に昇華させた。それを最も大きく反映したのがインデックスである。「宇宙から降り注ぐ電波や光をイメージして逆アール型を採用した」というインデックスの立体感によって多層構造が強調され、文字盤全体にまるで小さな宇宙空間のような表情が生まれた。奇しくもこの“大きさ”と向き合ったゆえの産物は、アストロンのアイデンティティーとして、小型化していく後継機にも引き継がれていく。

(左)一部を肉抜きして軽量化し、存在感を出した時分針。
(右)見返しの上から被せるように配した逆アールのインデックスは、文字盤に向かって落ち込むように奥行きを持たせつつ、文字盤から浮かして視覚的なインパクトを高めている。

 いずれ世界の新たなスタンダードとなるだろう最先端テクノロジーと、斬新なデザインの融合。輝かしい「アストロン」の名を継承したまったく新しいこの腕時計は、2012年9月27日、“第二の革命”を起こすべく世界へと一斉に送り出された。

 7Xシリーズの立体感を存分に味わえるユニークなモデルが、ファーストモデルの1年半後に発表されたコンセプチュアルデザインモデル、愛称「ストラトス」だ。その名が示す通り、デザインモチーフは「成層圏」。前面全体を覆う巨大なドーム型風防が特徴だ。ポリカーボネイト文字盤には地球が描かれ、逆アール型のインデックスは宇宙に浮かぶ人工物の趣であり、さながら宇宙から地球を見下ろす世界観を持つ。ドーム型風防の素材は、単結晶で硬く、成形が困難なサファイアクリスタル。「1枚を仕上げるのにかかる時間は10時間以上。設計チームと折衝し、何度か頭を下げてお願いしました」と鎌田氏は笑う。扱いの難しい素材ながら、10気圧の防水性が当たり前にある点や、サファイアクリスタルの屈折を考慮して視認性が担保された点も特筆したい。ここにも大胆に取り組み、堅実に仕上げるセイコー品質を感じ取ることができる。

(左)大径ながら細い手首にもフィットするようケースは垂直型にし、またストラップはラグからほぼ垂直に落とされた。
(右)刮目に値するのが文字盤外周部の都市表示部。大きくカーブするサファイアクリスタル製風防は都市名を歪めずに表示するよう最適な屈折率が求められた。

2014/2015 <8Xシリーズ>

セイコー アストロン 8Xシリーズ 2014レギュラーモデル

セイコー アストロン 8Xシリーズ 2014レギュラーモデル
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省エネルギー化によりクロノグラフの搭載が可能となったキャリバー8X搭載の第2世代モデル。金属製インデックスの採用により質感も向上した。GPSソーラー(Cal.8X82)。セラミックベゼル×チタンケース(直径44.6mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。チタンブレスレット。生産終了(発売時の税別価格24万円)。
セイコー アストロン 8Xシリーズ 2015レギュラーモデル

セイコー アストロン 8Xシリーズ 2015レギュラーモデル
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デュアルタイム機能搭載モデル。省エネルギー化により、6時位置のスモールダイアル内に12時間制のデュアルタイムの搭載が可能となった。GPSソーラー(Cal.8X53)。セラミックベゼル×チタンケース(直径45mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。チタンブレスレット。生産終了(発売時の税別価格23万円)。

8Xシリーズ搭載モデル担当デザイナーの松本卓也氏。ビジネスパーソンがスーツを着るオンの日のみならず、オフのラフな休日スタイルで過ごす日にも映えるデザインを考案した。「開発の根底に、コンフォータブル(=快適さ)を重要な要素として置きました」と言う。

省エネルギー化と、大幅なダウンサイジングの達成で広がるバリエーション

 高機能時計らしい大ぶりのケースを備えた新生アストロンは、2014年の8Xシリーズで大幅に小型化することになる。ムーブメントの新開発によって、ウォッチヘッドの体積では約30%もの大幅なダウンサイジングが達成されたのだ。また受信性能、充電効率も向上。これによってクロノグラフなど新たな機能を盛り込み、文字盤もカラーバリエーションやインダイアルの装飾追加など、表情豊かに展開することが可能になった。しかし、それによって小型化しても大径時代の個性は維持せねばならないという、新たな課題も生まれた。

松本卓也氏による、ダイバーズウォッチの要素を取り込んだ限定モデルのデッサン画。リュウズガードやケースサイドと一体化したラグ、太い時分針やインデックスにより、実際のサイズ以上に大きな存在感がある。シリコンストラップを採用し、快適な着け心地にも意識が置かれた。

「略字が浮き上がって見えるデザインなど“立体感”が7Xシリーズで好評だったため、これを踏襲し、量感をたっぷりと表現できるデザインを意識しました」と話すのは、8Xシリーズ搭載モデル担当デザイナーの松本卓也氏だ。松本氏はユーザー層の広がりを意識し、キーワードに“オフシーンにも似合う”テイストを盛り込む方向性を打ち出した。「開発スタートの段階はスーツに似合い、ビジネスシーンで映えるグローバリスト向けの腕時計がコンセプトでした。新たに彼らの休日を想定し、昼は海辺やドライブ、夜はバーといったシーンにも合うよう、質感を上げ、スポーツテイストを盛り込みました」。

セイコー アストロン 2014限定モデル

セイコー アストロン 2014限定モデル
SBXB001

クロノグラフ機能を搭載したセイコー アストロン初の白文字盤モデル。充電効率の向上により、従来に比べて光の透過率が約50%の文字盤を採用することが可能になり、反射率の高い白文字盤が実現した。GPSソーラー(Cal.8X82)。セラミックベゼル×チタンケース(直径45.0mm、厚さ13.3mm)。10気圧防水。チタンブレスレット。世界限定7000本。生産終了(発売時の税別価格30万円)。

 8Xシリーズの進化を最も象徴するのがSBXB001だろう。着目すべきが白文字盤だ。ソーラー充電機能が向上したことで光の透過率を従来の約半分まで下げることができ、これにより内部のソーラーパネルが透けないように文字盤の色の濃度を上げられたため、白単色を採用できるようになったのだ。リュウズガードや金属製インデックスと相まって、ラグジュアリースポーツウォッチ然たる佇まいを得るに至った要因と言える。ルミブライトのボリュームが格段に上がった時分針も、省電力化によりトルクを上げられたキャリバー8X系の産物である。

(左)充電効率の向上と省電力化により、肉抜きなしのルミブライト入りという従来より重い針が採用できるようになった。またメタリックなインダイアルフレームの採用も可能となった。
(右)光沢ある金属製インデックスに多面カットを施し、高級感と立体感を両立。

 7Xシリーズの築いたアイデンティティーを強化しつつ、より広いユーザー層に新生アストロンを届けられる起点となったのがこの8Xシリーズなのだ。

(左)ケースはザラツ研磨仕上げによる曲面や、セイコー独自の硬化処理ダイヤシールドが取り入れられている。
(右)SBXB001の12面カットのセラミックベゼルは真横から見ても都市名が判別でき、世界のどこにいても瞬時にその地の時刻を表示できることを主張する。