熟成期を味わい尽くす② 第1特集|クロノス日本版[webChronos]

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高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] TOP > クロノス特集 > 熟成期を味わい尽くす②

クロノス 第1特集

熟成期を味わい尽くす② / 2017年1月号(No.68)

[PATEK PHILIPPE]

パテック フィリップ

パテック フィリップ カラトラバ Ref.5227
自社製自動巻きのCal.324を搭載した定番モデル。ムーブメントもさることながら、自社製のオフィサーケースは圧倒的な完成度を誇る。とりわけ精密に開閉するハンターバックは、このモデルの大きな魅力だ。自動巻き。18KWG(直径39mm)。3気圧防水。379万円。

 

 

30年以上の歳月を経て熟成を重ねた、

現行自動巻きを代表する傑作

パテック フィリップのCal.324は、多くのモデルに使われる同社の基幹ムーブメント。

薄くて高精度なうえに、信頼性もずば抜けているとあれば当然だろう。

その初出は2004年と、現在から10年以上も昔にさかのぼる。

しかしこのムーブメントの基本設計はいっそう古く、おそらくCal.335に由来する。

いかにしてパテック フィリップは、このムーブメントをブラッシュアップし続けてきたのか?


 

 

 パテック フィリップのキャリバー324は、同社を代表する基幹ムーブメントである。初出は2004年。しかしその基本設計は、筆者が思うに1981年にまでさかのぼる。

 1960年代以降、同社の基幹ムーブメントとして名を馳せたのが、自動巻きの名機キャリバー27-460である。その原型は、53年初出の12-600AT。ベースムーブメントが10-200から23-300に変更された結果、27-460は優れた精度と巻き上げ効率、そして高い耐久性を誇った。しかし基本設計は複雑に過ぎ、60年代の賃金高騰にともなって製造コストは高く付くようになった。また出車を載せるスペースがなく、センターセコンド化できない点も弱点となった。

 対してパテック フィリップは、ペリフェラルローターを持つ薄型自動巻き、キャリバー350を70年にリリース。これはローターをムーブメントの外周に置く野心的な設計を持っていたが、巻き上げ効率自体はさほど高くなかった。そのためパテック フィリップは、スイッチングロッカー式の両方向巻き上げから、標準的な片巻き上げへの変更に踏み切った。

 350系での経験を踏まえて開発されたのが、81年にリリースされたキャリバー335である。決して極薄ではなかったが、ムーブメントの厚さはわずか3.45㎜。そしてその設計は、27-460や350に比してかなりオーソドックスだった。生産性と、それ以上に時計師に対して配慮を加えたムーブメントと言えなくもない。また、80年代初頭のムーブメントらしく、2番車をオフセットさせた〝近代的〟な輪列を持っていた。長らく2番車をセンターに置く輪列に固執してきたパテック フィリップ。しかし335やマイクロローターの240以降、同社は2番車のオフセット輪列を採用することになる。あくまで個人的な意見だが、仮にロレックスが3000系で、パテック フィリップが335でオフセット輪列を採用しなかったら、スイスの時計業界にオフセット輪列が普及するのは、もう少し先になったかもしれない。


 

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