超絶技術の集大成!オメガ シーマスター 華やかで強靭なサマーブルー コレクション

FEATURE本誌記事
2023.08.05

サマーブルー指定のドレスコードに応じて祝宴に集った紳士淑女のように、シーマスター誕生75周年を記念して7モデル11本の新作が華やかにデビューを飾った。それぞれの防水性能を表現した濃淡の異なるグラデーションをまといながらその爽やかな表情の奥には強靭なダイバーズモデルの血統を受け継ぐ。近年、オメガが培ってきた高度な仕上げ技術に注目しつつ、各モデルの素性を明らかにしていく。

シーマスター

星武志:写真 Photographs by Takeshi Hoshi (estrellas)
大野高広:取材・文 Edited & Text by Takahiro Ohno (Office Peropaw)
[クロノス日本版 2023年9月号掲載記事]


150m~6000mの防水性をグラデーションで表現

 おそろいのサマーブルーでコーディネートしたコレクション8型を、防水性能の順に整理した。海底に向かうほど水圧は増し、ブルーの色彩が深くなるグラデーションの妙が俯瞰できる。

共通SPEC項目
①素材 ②直径 ③厚さ ④ラグ間 ⑤おおよその総重量 ⑥キャリバーナンバー ⑦石数 ⑧振動数 ⑨パワーリザーブ ⑩ヘリウムエスケープバルブの有無

シーマスター アクアテラ 38mm、シーマスター アクアテラ 41mm、シーマスター アクアテラ ワールドタイマー

❶シーマスター アクアテラ 38mm
ラテン語の“アクア”(海)と“テラ”(大地)の意味を持つ、シンプルな150m防水モデル。38mmバージョンはサンブラッシュ仕上げの文字盤に、アクアテラ シェードの34mmを彷彿とさせる丸みを帯びた優美なベゼル、ボート形状のインデックス、円形デイト窓を組み合わせたエレガントな表情が魅力。パートナーとのシェアにも適した小ぶりなサイズは日常的な使い勝手も良好だ。100万1000円。①ステンレススティール ②38mm ③12.3mm ④19mm ⑤138g ⑥Cal.8800(自動巻き) ⑦35石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約55時間 ⑩無
❷シーマスター アクアテラ 41mm
豪華ヨットのウッドデッキを思わせる横ストライプの“チークコンセプト”にサンブラッシュ仕上げを施した、41mmバージョン。レギュラーモデルの最大サイズをベースにした爽やかなグラデーションと端正な顔立ちは、ビジネスシーンにもよく映える。よりカジュアルに手元を装いたいならラバーストラップ仕様も選択可能だ。94万6000円(ブレスレット)。91万3000円(ラバーストラップ)。①ステンレススティール ②41mm ③13.2mm④20mm ⑤154g(ブレスレット)、114g(ラバーストラップ) ⑥Cal.8900(自動巻き) ⑦39石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約60時間 ⑩無
❸シーマスター アクアテラ ワールドタイマー
北極上空から見た地球の姿がダイアル中央に描かれた人気モデルがベース。地球の周囲にヘサライトガラスリングを装着した24時間表示が配され、ライトブルー(昼)とダークブルー(夜)に見やすく色分け。その外周に世界の都市名がシルバーで印字されている。ダイアルとの色彩的な連続性が美しいラバーストラップも選べる。146万3000円(ブレスレット)。143万円(ラバーストラップ)。①ステンレススティール ②43mm ③14.3mm④21mm ⑤167g(ブレスレット)、126g(ラバーストラップ) ⑥Cal.8938(自動巻き) ⑦38石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約60時間 ⑩無

 現存するオメガの基幹コレクションで最も長い歴史を持つ「シーマスター」だが、創業100周年にあたる1948年に誕生した初代モデルは日常生活防水ほどの性能で、ドレスウォッチのような趣だった。その16年前に「マリーン」を発売し、防水時計の先駆者となったオメガが満を持してシーマスターを本格防水時計に改めたのは、1957年の「シーマスター300」からとなる。ねじ込み式のリュウズと裏蓋、回転ベゼル、夜光付きの時分針&インデックスなど、現在のダイバーズに必須となる要素を網羅していた。

 軍用や海洋冒険家の時計として名を馳せたシーマスターはその後も進化を続け、革新的な技術やデザイン、より高い防水性を備えた多彩なモデルを次々と発表。深海探査の公式装備品に採用され、伝説的なヨットレースやダイバーたちをサポートし、スパイ映画「007」シリーズではジェームズ・ボンドの秘密兵器という重大任務を担って大人気を博した。

シーマスター 300、シーマスター ダイバー 300M

❹シーマスター 300
1957年に“プロフェッショナル三部作”として、スピードマスター、レイルマスターとともに発表された初代シーマスター 300のレトロモダンなルックスを継承しながら、2021年、マスター クロノメーターにアップデート。そのレギュラーモデルはアルマイト処理による硬質なアルミニウムベゼルを採用しているが、本作はセラミックベゼルとサマーブルーカラーのエナメルでスペシャル感を演出している。106万7000円。①ステンレススティール ②41mm ③13.9mm ④21mm ⑤156g ⑥Cal.8912(自動巻き) ⑦38石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約60時間 ⑩無
❺シーマスター ダイバー 300M
1993年初出の定番モデルは25周年の2018年にマスター クロノメーター認定に。傷の付きにくいセラミックベゼルに加え、ダイアルも紫外線や湿気にも劣化しないセラミックス製となり、ウェーブ模様はレーザー刻印される。300mの防水性を表現したサマーブルーのグラデーションはレギュラーモデルより、ややマットな印象だ。90万2000円(ブレスレット)。84万7000円(ラバーストラップ)。①ステンレススティール ②42mm ③13.6mm④20mm ⑤201g(ブレスレット)、119g(ラバーストラップ) ⑥Cal.8800(自動巻き) ⑦35石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約55時間 ⑩有

 そんな輝かしい75周年を祝する今回の記念コレクションは、150m防水から6000m防水まで実に華やかな顔ぶれだ。これらに共通するのは“サマーブルー”。オメガいわく「無限に広がる海の上で過ごす完璧な1日をイメージした」という。降り注ぐ太陽をサンブラッシュで表した「アクアテラ」から、暗黒の世界を思わせる「ウルトラディープ」まで、防水性をグラデーションの濃淡で表現している。もちろん、超耐磁性を含むマスター クロノメーターも共通しているが、その一方でヘリウムを使う飽和潜水には対応が分かれた。「シーマスター 300」までの4作は、そもそも飽和潜水に非対応で、「ダイバー300M」「プラネットオーシャン」「プロプロフ」は、ヘリウムエスケープバルブで飽和潜水に対応。そして「ウルトラディープ」は内外圧に耐える強靭な外装により、エスケープバルブなしで飽和潜水が可能だ。

シーマスター プラネットオーシャン、シーマスター プロプロフ

❻シーマスター プラネットオーシャン
ヘリウムエスケープバルブを装備した2005年初出のプロスペックモデルは、その名の通り大海でこそ本領を発揮するが、39.5mm径ゆえにデイリーユースにも使いやすい。ベゼルとダイアルはともにセラミックス製で、さすがに600m防水となるとグラデーションはかなり濃い深海のイメージに。ブルーの針とインデックスにはライトブルーのスーパールミノバが塗布される。106万7000円。①ステンレススティール ②39.5mm ③14.2mm④19mm ⑤194g ⑥Cal.8900(自動巻き) ⑦39石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約60時間 ⑩有
❼シーマスター プロプロフ
1970年の深海探査「ヤヌス計画」で名を馳せ、「PLOngeur PROFessionnel」(プロダイバー)から命名された個性派。本作はオリジナルモデル同様のモノブロックケースが復活し、プロプロフ初のO-MEGAスティールを採用。ブルーセラミックリングを備えたボタンを押すとベゼルが操作でき、離すとロックがかかる。4時位置のヘリウムエスケープバルブで飽和潜水に対応。204万6000円。①O-MEGAスティール ②55×45mm ③15.5mm④24mm ⑥Cal.8912(自動巻き) ⑦38石 ⑧2万5200振動/時 ⑨約60時間 ⑩有

 ムーブメント、ケース、ブレスレットはレギュラーモデルの仕様を踏襲しながら、機能性に連動したデザイン的なバリエーションは、コレクションに奥行きをもたらした。そして何より、このサマーブルーの色彩には、ひと目で見る者を魅了する強い力がある。

シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ

❽シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ
2019年にマリアナ海溝で深度1万935mの潜水新記録を達成したコンセプトウォッチの「ウルトラディープ」を、3年後に6000m防水の市販モデルにリメイク。接地面積が広い円錐型サファイアクリスタル、耐食性や強度の優れたO-MEGAスティールなどの新技術により、飽和潜水でもエスケープバルブを必要としない強靭さを獲得した。ダイアルには精緻な海淵マップが描かれている。187万円。①O-MEGAスティール ②45.5mm ③18.1mm ④22mm ⑤254g ⑥Cal.8912(自動巻き) ⑦38石⑧2万5200振動/時 ⑨約60時間 ⑩無


サマーブルー コレクションに見る超絶技巧の集積度

 数々の伝説に裏付けられた防水性や堅牢性はもちろん、マスター クロノメーター認定の超耐磁性や高精度を誇るシーマスター。すぐにでも南の島へ連れ出したくなるサマーブルー コレクションだが、ここでは徹底的に外装技術を深掘りする。

シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ

SEAMASTER PLANET OCEAN ULTRA DEEP
五大洋最深部に挑む有人探査プロジェクト「ファイブ・ディープス」チームが、約100万個のソナーでマッピングしたマリアナ海溝最深部のチャレンジャー海淵を文字盤に再現。ブラックセラミックベゼルとサマーブルーのスケールが、神秘的で重厚なダイアルと見事に呼応する。飽和潜水用時計のISO 6425:2018規格に適合した6000m防水を誇る、スイス連邦計量・認定局(METAS)認定モデルだ。

シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ

(右)アラビア数字は18KWGベースにラッカー塗装したもの。バーインデックスに塗布したスーパールミノバのサマーブルーとは素材が異なるものの、色味は見事に統一されている。暗所で分針と逆回転防止ベゼルの基準マーカーのみグリーン、その他の夜光はブルーに光る。
(左)2022年初出時にウルトラディープに採用されたO-MEGAスティールは、耐食性や耐磁性、強度に優れ、通常のSSより少し白っぽい光沢が特徴。本作もケースやブレスレットに使用されており、バックルには特許取得の伸縮可能な折り畳み式ラック&プッシャーを備える。

シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ

(右)通常は暗所でも見えないが、ダイアルにUVライトを当てるとチャレンジャー海淵にある西、中央、東の3つのプールと、「OMEGA WAS HERE!(オメガはここに到達)」という文字が浮かび上がるギミック付き。もちろんHEREとは、世界記録の深度1万935m地点のこと。
(左)記念ケースバックは、三叉槍を持つポセイドンと、1956年のオリジナル(左側)と現在のふたつのシーホースが描かれたスペシャルデザイン。プロプロフとウルトラディープは大深度防水を妨げないよう、高熱で変色させるブラックレーザーによるエッチングで作られている。

 サマーブルー コレクションで最強の防水性を誇る「ウルトラディープ」は、グラデーションが最も濃く重厚だ。しかも、オメガが潜水世界記録を持つマリアナ海溝が文字盤に描かれている。驚くべきは、その視覚的な奥行き感が、深海の神秘を見事に表現していること。この特殊な製法は、まず真鍮ベースに海底の地形を1回だけプレスで残すことから始まる。その表面にマイクロブラスト加工を施し、ブルーPVD加工を行い、ラッカー塗装で外周部からセンターへのグラデーションを与える。次にUVインクでシークレットサインを転写し、大量のラッカーを流し込む。ダイアル中央に穴を開け、時間をかけて乾燥させ、ポリッシュで完全にフラットに磨き上げる。そしてプリントでサマーブルーの防水表記やロゴを転写。12個のインデックスにはブラックPVD、アラビア数字は18KWGベースにマットラッカー仕上げ、最後にサマーブルーのスーパールミノバを手作業で入れる。

シーマスター アクアテラ 38MM

SEAMASTER AQUA TERRA 38MM
高速回転しているダイアルに、ピストル型装置でラッカーを吹き付けることにより、明るい中心部から外周へ青みを深めていくグラデーション表現は全モデル共通。これは従来からある技術だが、ピストル部を上下にどのくらい動かすか、あるいはラッカー噴射の時間、量、色の深みなど、このグラデーションを実現するためのマシーンのセットアップにはオメガならではのノウハウが生かされたという。それにしても150m防水のアクアテラは、サンブラッシュ仕上げと明るいサマーブルーがよく似合う。

 聞けば、大量に流し込んだラッカーの厚みは0.8mm(!)に達するという。

〝ラッカーの海〞と製作現場が表現するのも納得である。ただ、これほど手の込んだ工程はスペシャルエディションだから実践できること。あまりに難度もコストも高いため、通常モデルに用いるのは無理だろうし、新しい手法のため、まだ工業化もされていない。

シーマスター アクアテラ 41MM

SEAMASTER AQUA TERRA 41MM
手つかずの海をイメージさせる自然な色合いが美しいサマーブルーは、今回のコレクションのために新規開発された従来にはなかった色。ロジウム仕上げの楔形インデックスと針に塗布されたライトブルーのスーパールミノバもオメガ独自の新色だが、ブルーの発光色は既存カラーとなる。41mm径のアクアテラはチークコンセプトにサンブラッシュ仕上げとPVD加工を施し、光沢のあるグラデーションが高級感ある佇まいを演出。サマーブルーに色を整えた日付ディスクなど、丁寧な仕事ぶりも好印象だ。

シーマスター アクアテラ GMT ワールドタイマー 43MM

SEAMASTER AQUA TERRA GMT WORLDTIMER 43MM
グレード5チタンのプレートに描き出された地球のトポグラフィーは、レーザー光を物質に照射し表面を蒸発させることで、形状や模様を作り出すレーザーアブレーション加工によるもの。これはレーザー光の強度や時間によって海や陸の色、質感を変えられる最先端の技術だ。レギュラーモデルのこの手法を踏襲しつつ、150m防水モデル共通となるサマーブルーの明るいグラデーションをまとった。存在感ある43mm径のため、腕が細い人には着け心地のよいラバーストラップもおすすめしたい。

 近年の時計界でダイアルの品質アップを牽引してきたのは、間違いなくオメガだ。PVDやCVDで発色を向上させ、ラッカーを重ねて高級感を出し、セラミックスやチタンへのレーザー加工など他ブランドに先行する手法も多い。サマーブルー コレクションは、そんな先進技術の集大成とも言える。

シーマスター 300M

SEAMASTER 300M
レギュラーモデルのアルミニウムベゼルはセラミックスに変更され、トランスパレントバックは75周年記念バージョンの特別なポセイドンのメタルバックに。一方、スーパールミノバを塗ったプレートに、インデックスとアラビア数字をくり抜いたダイアルを重ねるサンドイッチ構造は踏襲され、美しい梨地には300m防水に応じたブルーのグラデーションが施された。ヴィンテージに寄せたレギュラーモデルに対して、アロー針とロリポップ秒針の先端やベゼルスケールのサマーブルーがモダンな印象を強めている。

シーマスター ダイバー 300M

SEAMASTER DIVER 300M
ラバーストラップがアクアテラより濃いブルーとなり、グラン・フーエナメルのスケールが入ったセラミックベゼルやダイアルのブルーと、見事なコーディネートぶりをアピールする。基本的には2018年のアップデートで飛躍的に向上したディテールを踏襲しているが、サンブラッシュ加工を行ったセラミックダイアルは光沢感が強いため、中央部はラッカー塗装を行わずに光沢を生かし、周囲のグラデーション部はラッカーを重ねて光沢を抑えてある。そこまでしないと、オメガの望む色が得られなかったわけだ。

シーマスター プラネット オーシャン 600M

SEAMASTER PLANET OCEAN 600M
縦方向のブラッシュ仕上げが印象的なセラミックダイアルは、PVDコーティングを施したあと、1枚ずつラッカー塗料を吹き付けて600mの深海をグラデーションで表現。ブルーセラミックベゼルにあしらったライトブルーのダイビングスケールとも色彩的な親和性は高く、スーパールミノバを塗布した針やインデックスのライトブルーと相まって、神秘的な表情を見せてくれる。こうした異なる素材をサマーブルーの統一感あるトーンにそろえるのは極めて難易度が高く、オメガの仕事ぶりは感嘆に値する。

SEAMASTER PLOPROF 1200M
サンブラッシュ仕上げのサマーブルーダイアルは、オリジナルモデルのデザインからインスピレーションを得たもの。その発売初期に使用されていた強化モノシリッククリスタルを模して、両方向回転ベゼルのリングにはサファイアクリスタルを採用した。その背面に深いブルーラッカーを施し、下部のライトブルーがスケールとして浮かび上がって見える仕掛けだ。スーパールミノバを混ぜ込んだセラミックス製インデックスの無骨なカットや、パンチング入りラバーストラップなど、1970年代テイストを取り入れた。

他社が真似できないレベルに到達した高度な外装仕上げ

SEAMASTER SINCE 1948

記念ケースバック。上部の「SEAMASTER SINCE 1948」をルーペで観察すると、虹のように滲んで見える。つまり、安易なプレスではなく、CNCマシンで彫り込んでいるのだ。

 1950年代、オメガはシーマスターのアイコンを作ろうと考えていた。その条件は、海の伝統、洗練されたスタイル、そして強靭な精神が表現されていること。担当デザイナーはヴェネチア旅行の際にその着想を得ることになる。それがヴェネチアのシンボルでもあるゴンドラの両側にいるネプチューンのシーホースであった。

 サマーブルー コレクションに共通するケースバックのモチーフは、年代の異なるふたつのシーホースを従えて、海の神ポセイドンが大海原を進むドラマチックなシーン。これはオメガのデザイナーが鉛筆で絵を描くところから始めたという全く新しいデザインだ。「プロプロフ」と「ウルトラディープ」は深海での耐圧性を考慮してフラットなレーザー加工としたが、それ以外は同じ絵柄ながらスタンピングツールを用いたメダリオンとなった。プレスのあとにポリッシュを施し、絵柄の際まで磨き上げた仕上がりは見ごたえ十分。手作業も多い工程だが、メダリオンの作り手がスイスでも減っており、そのノウハウと技術を後世に伝えるという意味でも、今回のようなレベルの高い作品は価値がある。ちなみに絵柄の傾きは、ねじ込み後に左右45度までの許容範囲に収める必要があるという。

アクアテラのラバーストラップ、プラネットオーシャンのダイアル

(右)アクアテラのラバーストラップ内側。通気性とホールド感が両立する波状になっている。
(左)サマーブルーで統一された「プラネットオーシャン」のスーパールミノバ。分針とベゼルの基準マーカーのみグリーンに発光させて瞬時の視認性を確保している。

 2010年代以降、オメガの外装はダイアルを含めて飛躍的にクォリティを高めてきた。毎年のように新しい技術を積み上げ、いまやダイアルのバリエーションと仕上がりは、スイス時計界でも頭ひとつ抜き出た感がある。

 その業界屈指の技術が、今回のサマーブルー コレクションでも存分に発揮された。インデックスの側面まで鏡面を施したり、カレンダーディスクの色を文字盤にそろえたりと、手間を惜しまない真摯な姿勢も見て取れる。75周年のアニバーサリーにふさわしい、なんとも贅沢な超絶技巧の競演である。



Contact info: オメガお客様センター Tel.03-5952-4400


オメガ、エーゲ海でシーマスターの誕生75周年を記念するスペシャルイベントを開催
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オメガ シーマスターとは? 誕生の歴史・歴代モデルについても紹介

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もはや死角なしの高機能ダイバーズ! オメガ「シーマスター プラネットオーシャン ディープブラック」を着用レビュー

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