ダイバーズウォッチ第3回「 ダイバーズウォッチの定義」

FEATURE時計機構論
2017.08.22

カルティエ「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー」
自社製自動巻きムーブメントを搭載し、スポーティで精悍かつ力強いイメージを打ち出す「カリブル ドゥ カルティエ」にダイバーズウォッチが登場したのが2014年。カルティエならではの洗練されたデザインを主張しつつ、ISO6425に準拠する本格仕様のダイバーズだ。SSケースは直径42mmで、厚みを抑えた約11mmながら300m防水を確保。逆回転防水ベゼルはADLC加工SS製。

ビクトリノックス・スイスアーミー「I.N.O.X.プロフェッショナルダイバー」
過酷な条件のもとで機能する時計をコンセプトにして開発された、2016年発表のこのモデルは、ダイバーズウォッチ規格のISO6425に準拠しているだけでなく、同社が独自に規定した極めて過酷なテストを含む計130種の厳しいテストをクリア。頑強に設計されたSSケースは直径45mmで200m防水。時計を保護する取り外し可能なレンズ付きバンパーも付属する。クォーツ。


 本格ダイバーズウォッチとは、現行ISO 6425(1996年改定)で以下のように規定されている(JIS B7023もほぼ同じ)。ダイバーズウォッチ=潜水用防水時計とは「最低100mの潜水に耐え、時間を管理するシステム(逆回転防止ベゼル)が備わる時計」、「加圧ではその125%に耐える防水性能を有する」と定義される。

 水中で正しく機能し、安全に使用できることが前提であるから、ダイバーズウォッチは、以下11項目の要件を満たし、各項目の試験にパスしなくてはならない。余談だが、ブランパンが1953年に発表した「フィフティ ファゾムス」の要件がこのISO 6425にほぼ該当する。

1.タイムプリセレクティング装置(事前に時間設定が可能な装置・逆回転防止ベゼル)
2.視認性(暗所25cmの距離から目視で判読可能)
3.耐磁性(磁界4,800A/mに曝して日差30秒以内を維持)
4.耐衝撃性(3kgのハンマーで打撃を加え日差60秒以内を維持)
5.耐塩性(濃度3%の塩水中に24時間放置してサビや異常が生じない)
6.水中での信頼性(水深30cmで回転ベゼル等が正常に作動)
7.耐外力性(バンド引っ張り強度、リュウズの加圧耐性)
8.耐熱衝撃性(40℃と5℃の水中での温度変化への耐性)
9.耐浸漬性(水深30mに50時間浸漬後の風防内の曇り)
10.水中加圧(表示圧の1.25倍の圧力を水中で加圧)
11.耐ヘリウムガス性(飽和潜水時計、ヘリウム混合ガス加圧)

 今ではインターネットなどで詳細を知ることができるので、一度調べてみることをお勧めする。