アーカイブは雑誌『クロノス日本版』に掲載されている記事を抜粋したページです。
2010年の始まりに添えて、急成長が予測されるブランド、シリーズ、各モデル……を自由に挙げていただいた今回のランキング。奇しくも「工業的規模で生産される自社製クロノグラフ・ムーブメント」がワンツー。以下は全体的に票が割れたが、期待値を込めたコメントが多く見られた。

79point/5persons
Photo:「クロノマットB01」/自動巻き/SS/79万8000円
●なんといっても自社開発・製造によるキャリバーB01に期待が大。次のバーゼルでクロノマット以外のモデルに搭載されたバリエーションが出てくるかどうかも楽しみだ。(名畑)
●2009年に最も話題となったモデルが、どんな2年目を迎えるのか。策士ブライトリングだけに期待は高まる。さらなる成長を期待したい。(篠田)
●明確なコンセプトとブレのない商品展開は、2010年も健在だろう。B01を生かした「ナビタイマー」の登場もあるのではないか、と期待は高まる。(菅原)
●もうヒット商品ですね。初の自社製ムーブメント搭載モデル。価格も良心的でコストパフォーマンス高いし、話題でもあるし、来年も売れ続けるでしょう。(髙木)

52point/3persons
Photo:「Cal.1887」/自動巻き
●新作は自社開発の自動巻きクロノグラフCal.1887を搭載。今号が書店に並ぶ頃にはその全容がはっきりしているはず。ブライトリングのB01に続く、量産型自社クロノとして期待したい。(古川)
●どのモデルに搭載されるか現時点では不明ですが、話題になることは間違いなし。注目は価格帯。ミドルレンジに収めてきたら革命的かも。(篠田)
●自社開発の新型クロノグラフ・ムーブメント搭載の新作が2010年バーゼルで発表され、タグ・ホイヤー最大の話題に。おそらく価格も手頃なはずであり、人気沸騰の予感。(山田)

27point/2persons
Photo:「セネタ・クロノメーター」/手巻き/18KRG/338万1000円
●非常に良いものを持っているブランドなのに、製品の方向性がバラバラなので評価が定まらなかった印象がある。今後はコンセプトと個性をより明確に打ち出せばいいのでは?(名畑)
●2009年のセネタ・クロノメーターで“ハイプレシジョン”に舵を切ったセネタシリーズ。ドイツが誇る実力派ブランドが打ち出した新しいイメージが継続することを期待したい。(古川)

26point/2persons
Photo:「BR-03 ファントム」/自動巻き/SS/42万円
●適度な個性があり、視認性に優れ、かつ実用的。プライスもあくまで適性だ。バリエーション展開も上手く、年々質を向上させている点にも好感が持てる。大ヒットは当然だろう。(広田)
●このブランドのポテンシャルに比べ、日本市場はまだブレイク前夜。2010年あたり、ひょっとしたら大化けするかも。(山田)

26point/2persons
Photo:「スリム クラシック」/手巻き/18KWG/162万150円
●発表はセンセーショナルだったが、日本での展開は、まだ助走段階の感あり。本格的にマーケティングがコントロールし始めれば、化ける可能性大。(髙木)
●順調にローンチも始まり、なかなか評判が良いとも聞く。ここからが正念場だが、応援の意味も込めて「成長株」としたい。(篠田)

24point/2persons
Photo:「バロン ブルー ドゥ カルティエ フライング トゥールビヨン」/手巻き/18KPG/1023万7500円
●2009年のマイベストのひとつが「ロトンド ドゥ カルティエ セントラル クロノグラフ」。その続編には否応なしに期待が高まる。大切な2年目として、成長を確認したい。(篠田)
●リアル・マニュファクチュールという新たなステージに躍り出たカルティエが、コンプリケーション分野で静かに、そして確実にシェアを拡大する年になりそう。(山田)

24point/2persons
Photo:「ティー・ブリッジ」/手巻き/Tiケース/168万円
●今、一番気になるブランド。デザインも良くなり、特にチタン使いが巧み。ティー・ブリッジはフルスケルトンモデルが出るとうれしい。(篠田)
●新生コルムが再び日本市場への本格展開の体制を整えたのが2009年。ならば、2010年は力強い躍進の年か。コルムはそれだけの可能性を秘めたブランドだ。(山田)

23point/2persons
Photo:「フリーダム」/手巻き/18KWG/価格未定
●フランク・ミュラー渾身の自社ムーブ・クロノグラフ。なかなか入荷しませんねぇ。みんなが待ってる。故に2010年に入荷の暁には、間違いなく売れるでしょう。(髙木)
●自社製クロノグラフ・ムーブメントの「フリーダム」への期待が一番。これを突破口として、メカニズムと外装の両面で時計としての価値を確立できるか否かが鍵だと思う。(名畑)

21point/2persons
Photo:「Ref.7071」/手巻き/18KRG/価格未定
●ジュネーブ・シール離脱、PPシール導入が、吉と出るか凶と出るか? そして、これによって信頼性を確立することができれば、頂点ブランドの地位を堅持することは可能だろう。(名畑)
●11月5日にパリで発表された新しい手巻きCal.CH29-535 PS。直径29.6 mmというサイズは、当然のことながらメンズモデルへの転用を企図したもの。次のバーゼルワールドで早くもお披露目となるか。(古川)

19point/2persons
Photo:「モナコV4」/自動巻き/Pt/840万円
●ついに「V4」の製品化にこぎ着けたように、開発意欲は非常に強い。東京のブティックの商品構成も興味深く、ブランドとしての存在感を、より強固に確立していくだろう。(名畑)
●このモデル自体は限定だけど、完成させた技術力は、来年発表するであろう自社製ムーブメントに生かされるはず。その完成度如何(プラス価格)で、飛躍が期待。(髙木)
選考委員の選定モデル詳細

篠田哲生(34歳) 嗜好品ライター
「評価されるのは“当たり前の”時計」
2010年はより一層、「普通の時計」が増えそうに思う。適度な大きさ、見やすいデザイン、使いやすい機能。当たり前だが、とても大切な要素をしっかり網羅している時計が評価されるだろう。とはいえ今回の御題は「成長株」なので、デザイン的、機構的に独自性が際立ち、個人的に気になる、“成長してほしい”シリーズも選んだ。
1 カルティエ/自社ムーブメント搭載シリーズ
2 ロジェ・デュブイ/全般
3 コルム/ティー・ブリッジ
4 タグ・ホイヤー/新型クロノグラフ
5 ゼニス/クロノグラフ全般
6 ラルフ ローレン/全般(特にスティラップ)
7 ブライトリング/キャリバーB01搭載モデル
8 ヴァシュロン・コンスタンタン/ケ・ド・リル
9 オリス/全般
10 エドックス/クラスワン

菅原 茂(55歳) 時計ジャーナリスト
「技術の誇示から良きセンスへの転換を!」
誰が心配しなくても、着実に歩んでゆくであろう大御所ブランドや、リアル感から遠いスーパーコンプリは選外とした。クレバーな物作り、発想やデザインの妙が鍵を握るようなブランドに注目したい。
1 ブライトリング/キャリバーB01搭載モデル
2 パネライ/マニファトゥーラシリーズ
3 タグ・ホイヤー/モナコ24 コンセプトクロノグラフ
4 ウブロ/自社製ムーブメント搭載モデル
5 MB&F/HM4(予定)
6 ヴァン クリーフ&アーペル/ポエティック・コンプリケーション
7 カール F. ブヘラ/パトラビ
8 H.モーザー/全般
9 ロンジン/レジェンド、またはフラッグシップ
10 ユンハンス/マックス・ビル・バイ・ユンハンス

髙木教雄(46歳) ライター
「硬い財布の紐をこじ開けるのは…」
きっと来年も財布の紐は硬いでしょう。だから話題性はより重要。一方で、トップメゾンのボトムラインが、費用対効果の高さで引き続き注目される気配あり。まぁ、経済の動きも予測しづらい状況だしね。ヒット予測など、多分当たらないだろうけど……。
1 ブライトリング/クロノマットB01
2 ウブロ/キング・パワー
3 ラルフ ローレン/スリムクラシック・コレクション
4 フレデリック・コンスタント/マキシム マニュファクチュール オートマチック
5 フランク・ミュラー/フリーダム
6 パネライ/ルミノール 1950 3デイズ オートマティック
7 タグ・ホイヤー/モナコV4
8 ピエール・ミッシェル・ゴレイ/ラトラパンテ
9 パテック フィリップ/Ref.5119
10 A.ランゲ&ゾーネ/1815

広田雅将(35歳) 時計ジャーナリスト、webChronosモデレーター
「ここ数年ヒットするのは、危なげない時計」
消去法で選んだところ、危なげない時計ばかりが残った。いずれも、ムーブメントの設計や斬新な機能よりも、時計としてのバランスに優れた物ばかりだ。今後数年は、こういった手堅い時計が、市場に好まれるだろう。個人的には、もちろん歓迎すべき方向である。
1 ベル&ロス/BRシリーズ
2 タグ・ホイヤー/カレラ3
3 ショパール/マークIII
4 ブライトリング/モンブリラン
5 パネライ/ルミノール 1950 3デイズ オートマティック
6 クエルボ・イ・ソブリノス/エスプレンディドス
7 ヴァン クリーフ&アーペル/全般
8 シチズン/シリーズ8
9 ロンジン/ヘリテージコレクション全般
10 ショーメ/ダンディ

古川直昌(40歳)『クロノス日本版』編集長
「動向が少しでも読み取れるものを」
遠い未来に思いを馳せるよりも、1年、2年後の近い将来のビジョンを思い描くほうが難しいのかもしれない。ここにあげた6モデルは、2009年に何らかのアクションがあったものばかり。動向が読み取れない他の新作について根拠もなく推量するのはやめておく。
1 タグ・ホイヤー/カレラ
2 ハリー・ウィンストン/オーパス10
3 グラスヒュッテ・オリジナル/セネタシリーズ全般
4 シャネル/J12
5 A.ランゲ&ゾーネ/ポスト・ツァイトヴェルク
6 パテック フィリップ/新しいメンズのクロノグラフ
7 ──
8 ──
9 ──
10 ──

山田龍雄(不詳)『WATCH LIFE』主筆
「力強い上位グループの躍進力」
躍進には偶然はない。大きく成長するのには必ず理由があります。商品のクォリティと魅力は当然ながら、時代の追い風、そして売るためのマーケティングも不可欠でしょう。そんなことをつらつら考えながら、本命、対抗、大穴よろしく時計業界をざっくり眺めてみました。でも、上位グループの成長力はかなりパワフルですね。
1 ブライトリング/クロノマットB01
2 タグ・ホイヤー/カレラ(自社製クロノグラフ)
3 パネライ/マニファトゥーラ コレクション(P.9000シリーズ)
4 ウブロ/ビッグ・バン
5 オメガ/シーマスター
6 クエルボ・イ・ソブリノス/全般
7 コルム/全般
8 ベル&ロス/全般
9 カルティエ/マニュファクチュール コレクション
10 カシオ/Gショック

名畑政治(47歳)時計ライター
「やっぱり技術力でしょ?」
マニュファクチュール戦争が一段落し、時計としての本当の価値を愛好家にアピールしていく時代になったと思う(思いたい)。だから優れた技術こそ正当に評価されて欲しいという期待を込めた。例によってすべて同列、ABC順。
・ ブライトリング/全般(特にB01)
・ ドゥ ベトゥーン/全般
・ フランク・ミュラー/全般(特にフリーダム)
・ グラスヒュッテ・オリジナル/全般
・ ラング&ハイネ/全般
・ オメガ/全般
・ パネライ/全般
・ パテック フィリップ/全般
・ セイコー/全般
・ タグ・ホイヤー/全般(特にV4)
ランキングの集計ルール
●ルールに則して合計10モデルを選び、1位から10位までの順位をつける。
●それぞれが選んだ10モデルの、1位に20ポイント、2位に18ポイント、3位に16ポイント…‥9位に4ポイント、10位に2ポイントを与える(順位なしの場合は、個人の持ち点110点を10で割り、全てのモデルに11点ずつ加算する。順位ありとなしが混在する場合は、持ち点110点から順位分を引き、残りを割って分配)。その集計により、ランキングを決定する。
●同ポイントとなった場合、そのモデルを選んだ選考委員の数が多いほうを上位とする。
●それでも同位となった場合、最高点が高いほうを上位とする。
●さらに、それでも同位となった場合は、プライス設定の低いほうをバリュー的価値が高いものとして、上位とする。※パネライはディストリビューターの都合により順位には入りません。