【80点】オリス/ビッグクラウン プロパイロット アルティメーター

FEATUREスペックテスト
2015.06.03

高度3200mの世界。アルプス山脈は夏よりも冬の方が美しい。

この時、かなりの高度を飛行していたにもかかわらず、オリスの高度計はセスナの高度計と同じ数値を示した。ただ、スケールが小さいことから、100フィート単位でしか高度を知ることができない。これは、メートルにすると約30mに相当する。
その点、コックピットに装備された高度計は、時針と分針を備えた時計のように2本の針を備えており、高度を20フィート(約6m)単位で正確に読み取ることができる。したがって、不測の事態が発生した際に、ビッグクラウン プロパイロット アルティメーターが航空機に備え付けられた高度計の代役を務めることは、残念ながら不可能である。だが、航空機の高度計は実際、めったに故障しないし、計器飛行方式による飛行が許されている航空機の場合はいずれにしても、予備として高度計を2個、搭載しなければならないことになっている。そのため、機体備え付けの高度計ほどの精度を期待できないとしても、バックアップ的存在としてビッグ クラウン プロパイロット アルティメーターを携行するのは決して無駄ではない。
それに、ビッグクラウン プロパイロット アルティメーターの測定レンジが広範囲に及ぶのは心強い。針が文字盤外周をひと回りすると表示高度は1万フィートに達し、白い目盛りはここで終わる。これ以降、高度1万5000フィート(約4570m)までは黄色い目盛りで高度を読み取ることができる。これ以上の高度表示は必要ない。なぜなら、与圧室を持たないほとんどのプロペラ機は高度1万5000フィートを超えて航行できないからである。
そろそろギュンツブルクの飛行場に引き返す時間になった。コックピットでは時折、操縦桿の周囲が手狭に感じられることがある。有視界飛行方式に切り替え、飛行時に地図等を挟んだニーパッドを使う時には特に狭く感じられる。だからこそ、47㎜という大型ケースであるにもかかわらず、ビッグクラウン プロパイロット アルティメーターが操縦の邪魔にならないのはありがたかった。また、厚さが17・7㎜もある時計だが、装着感も快適で、スリムな手首に着けても仰々しい印象を与えたり、不格好に見えたりしない。とりわけ、レザーの内張りが施されたテキスタイルストラップは、厚みがかなりあるものの非常にしなやかで、良好な装着感に貢献している。クラスプには、ストラップの余った部分を折りたたんで留められるクランプ機構が装備されている。そのため、手首の太さに合わせ、ストラップの長さを素早く無段階で調節することができる。クラスプが、丈夫なストラップを傷める危険はなく、精巧な作りにもかかわらず薄く仕上がっているので、使い心地がよい。ストラップとフォールディングクラスプは航空機のシートベルトを想起させる外観で、時計のコンセプトにもマッチしている。実際、フォールディングクラスプはシートベルトのバックルと同じように機能し、「LIFT」と刻印された部分を持ち上げるだけで簡単に開くことができる。