【82点】パネライ/ルミノール マリーナ エイトデイズ アッチャイオ-44mm

FEATUREスペックテスト
2015.02.03

2枚仕立ての文字盤の上には2本の針のみ。必要最低限にまで表示は削ぎ落とされている。

おおむね称賛すべき出来

つまり、批判のポイントをまとめると、ロングパワーリザーブにもかかわらず、パワーリザーブインジケーターが装備されていない点とストップセコンド仕様になっていない点に絞られる。せっかくの8日巻きモデルといえども、これには少なくともパネライ愛好家は躊躇するかもしれない。しかしそれ以外の点では、このモデルの魅力は輝かんばかりだ。手間の掛かった設計や加工技術の高さ、優れた視認性と操作性、そして着け心地のよさ、さらに、ものに見合った価格と、かなりの好印象だ(詳細は評価欄を参照)。今回、テスト用に借りた時計はプロトタイプだったのだが、それでもその良さが存分に味わえた。これらの長所を考慮すると、パネライが強く押し出したいのは、実用に際して、秒やパワーリザーブの表示というものは、なにがなんでも必要というわけではないということなのだろう。
カルト的とも言えるパネライのデザインは、技術とクォリティの高さと同様にブランドの成功に大いに貢献した要素だが、それには引き算の美がものを言っているところが大きい。ルミノール マリーナ エイトデイズ アッチャイオの表情は、2針の時計として完璧なまでにシンプルだ。とはいえ、筋金入りのパネライ愛好家には、このケースのフォルムには物足りなさを感じるかもしれない。現行のルミノールのケースは、歴史的な1950年代のルミノールケースをシンプルに仕立て直した1993年のデザインに基づいているが、原型デザインはルミノール 1950に今も踏襲されている。弧を描いたサイドが印象的なクッション型に、段差をどんと出したベゼル、そして、そこにはまっているのは高く盛り上がった風防である。
ルミノール 1950と他のルミノールモデルのデザインの違いは、着用上は感じないが、サイドを見ると区別がつく。ルミノール 1950はリュウズガードに「REG.T.M.」とエングレービングが入っているが、他のルミノールモデルには入っていない。