【82点】オメガ/スピードマスター マークII

FEATUREスペックテスト
2014.08.03

膨らみを持たせたパイロットライン型ケースは放射状にサテン仕上げが入り、エッジは面取りされている。当時を彷彿とさせる典型的な70年代デザインが効いている。

オリジナルに近い仕上がり

それから45年の時を経た今年、マークⅡの新装版が登場した。その出来は、驚くべきことに誕生当時のものにかなり近い。ラグと一体化したパイロットライン型ケースには放射状のサテン仕上げを施し、ブレスレットは膨らみを持たせたコマを3列つないだスタイル、文字盤はクラシックなスピードマスターと同様に、インダイアルが横目に並ぶレイアウトだ。蛍光オレンジをクロノグラフ秒針と30分および12時間積算計の針、5秒おきのインデックスのカラーに使用した"レーシングダイアル"と呼ばれる文字盤のほかに、黒文字盤に白の印字を施したバージョンもある。
サイズも横幅が約42㎜と、当時のものにかなり迫った仕上がりになっている。リバイバルモデルは、サイズに注意しないと印象にかなり差が出てしまうものだ。
タキメーターはかつてのように風防の内側のすぐ下にリングが置かれている。この目盛りはダメージを受けやすい部分なだけに、これはかなり手の込んだ手法と言えよう。そして、ここには良い変化が確認できる。以前のものとは違って夜光仕様になったのだ。アルミニウム製のリングの下に蓄光塗料のスーパールミノヴァを仕込み、暗がりではリングを透かして数字が光るようになっている。このために、あえて黒地に白抜きのデザインにしているというわけだ。
このほかにも技術的な改良点がある。日付表示がほとんど邪魔にならないようなかたちで、12時間積算計にうまく組み込まれたのだ。そして、もちろん風防も、ミネラルガラスからサファイアクリスタルに変更された。
だが、文字盤にはまったく変わっていないところもある。それは通常の時刻もクロノグラフの計測タイムも、非常に読み取りやすいという点だ。視認性は今やないがしろにされることも少なくないだけに、時計として重要なポイントを押さえているのは喜ばしい限りだ。

ブレスレットもオリジナル発表当時のものより快適なものになっている。バックルの内側にある微調整用の小さな突起を押すと、約1㎝は延長可能なエクステンション機能が備わった。ケース本体は厚く重さがあり、裏蓋にはレリーフが入って凹凸があるにもかかわらず、着用感は向上している。