【82点】オメガ/スピードマスター マークII

FEATUREスペックテスト
2014.08.03

ベースムーブメントではスイス・レバー式だった脱進機をコーアクシャル式にチューンナップしたCal.3330。シリコン製ヒゲゼンマイを採用し、緩急針を廃したフリースプラングが確かな性能を導き出す。

価値と釣り合った価格設定

まずまず抑制が利いていると言えるのは、うれしいことに価格も同様だ。スピードマスター マークⅡは税抜き価格が57万円。実のところ、同じムーブメントを搭載したスピードマスター レーシングは十数万円ほどお値打ちで、さらにコストパフォーマンスがいい。とはいえ、コーアクシャル脱進機を使用した自社製クロノグラフムーブメントCal.9300搭載のムーンウォッチが79万円からということを考えると、その隔たりは明らかだ。マークⅡは、価格から受ける印象以上の価値がある。加工の良質さ、現代的なエクステンションブレスレットを組み込みつつレトロにまとめ上げたデザインの決まり具合、そして何と言ってもムーブメントの優秀さ。なにしろコーアクシャル脱進機とシリコン製ヒゲゼンマイを搭載したフリースプラング式テンプ、コラムホイールの採用により、精度は極めて高く、使用感も爽快なのだ。
オメガがスピードマスター マークⅡをよみがえらせた。その本気っぷりはレトロデザインから伝わるが、ムーブメントのラジカルなまでのチューニングを見ても説明がつく。先輩モデルのように、月へ行った栄誉にはあずかっていないが、マークⅡはスピードマスターの中でも、とりわけクールな奴なのだ。

時計師からひと言

マークⅡを新生復活させたオメガのやり方は、全て理にかなっていると言えるでしょう。デザインはほぼ誕生当時のままにして、ムーブメントの精度の良さから信頼性を導き出しており、技術面では今日的な見地にかなっているわけです。価格もまずまずといったところではないでしょうか。エクステンションブレスレットなどのように、特に優れた要素を加えているのも評価できます。今後、ベストセラーモデルになるかもしれませんね。