【92点】ロレックス/オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ

FEATUREスペックテスト
2014.04.03

ケースとブレスレットの品質と表面加工には非の打ちどころがなく、輝きの美しさが際立つ。

簡単な操作

オイスターブレスレットに備えられた質の高いオイスターロッククラスプは、加工の点でも操作性においても、ほぼ完璧な仕上がりである。クラスプが閉じている状態では、セーフティキャッチのメカニズムをほとんど見ることができない。ロレックスの王冠を持ち上げてセーフティキャッチを開くと、その下にあるレバーが見えてくる。クラスプを開くには、このレバーを持ち上げるだけでよい。
サイズの大きなリュウズも、快適な操作に貢献している。手前に回して緩めれば、巻き上げ動作を楽に行うことができる。リュウズを1段引き出したポジションでは、別のタイムゾーンに移動した時などに、通常の時針のみを1時間刻みで前後に動かして合わせることができる。ここでは、日付表示も時針の動きとシンクロして前後に瞬時に切り替わる。リュウズを2段引き出すと、分針を動かしながらGMT針と通常の時針も修正することができる。通常の時針をローカルタイムに合わせ、GMT針はホームタイム、あるいは、パイロットにとって重要なグリニッジ標準時に合わせて使用すれば、非常に有益なトラベルウォッチとして機能する。
さらに、1時間刻みでしっかりと噛み合うベゼルも、別のタイムゾーンの時刻を一時的に表示するのに使用することができる。例えば、ドイツにいてアメリカの会社と共同プロジェクトを行う際などに便利な機能である。ベゼルを任意のタイムゾーンに設定しておけば、ビジネスパートナーに連絡できる時間帯を常に把握することができる。このように、GMTマスターⅡは、この上なく実用的なセカンドタイムゾーン機能を提供してくれる時計なのだ。

マニュファクチュールムーブメント

この時計を駆動するのは、ロレックスの自社製自動巻きキャリバー3186である。ロレックス製スポーツウォッチのご多分に漏れず、重厚なねじ込み式裏蓋の内側に隠されたキャリバー3186には、ロレックスが自社開発したパラフレックス ショック・アブソーバを除き、赤いアルマイト処理を施した両方向巻き上げローターのためのアルミニウム製リバーサー(切り替え車)や、片側で支えるこれまでのバランスブリッジに代わって搭載された頑丈な両持ちのバランスブリッジ、また、常磁性のあるニオブとジルコニウムの合金で出来た自由に振動する巻き上げ式ヘアスプリングなど、ロレックスが提供できるすべてのイノベーションが詰まっている。テンプには温度補正機能が備わっているので、テンプの振動数が温度変化に左右されることはない。ヘアスプリングとテンワは温度が上昇すると熱膨張するので、振動数が下がってしまうのが普通なのだが、ロレックスの新型ヘアスプリングは、温度が上昇しても振動数が変わらないように弾性が調整されているのだ。
また、テンワに配されたマイクロステラナットで緩急の調整を行うフリースプラング方式なので、専用ツールを使用すればムーブメントを分解しなくても非常に繊細な微調整が可能である。ロレックスの他の時計と同様に、スイスの公式クロノメーター検定所であるスイスクロノメーター検定協会(C.O.S.C.)が公式に発行したクロノメーター証書によって、温度や姿勢が変わってもムーブメントが最高の精度を提供することが約束されている。
ロレックスは徹底して、安定した精度、耐久性、そして、堅牢性が確保されるようにムーブメントを設計している。それだけではなく、ペルラージュなどの模様彫りもきちんと施している。ただし、ハンドエングレービングやそれに類するレベルの装飾は、ここで期待すべきではない。