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オメガ/スピードマスター ムーンウォッチ “ダークサイド・オブ・ザ・ムーン” VS. ブライトリング/クロノマット GMT ブラックスチール(1/1) 2014年03月号(No.51)

OMEGA SPEEDMASTER “DARK SIDE OF THE MOON”
 VS.
BREITLING CHRONOMAT GMT BLACKSTEEL

自社製クロノグラフムーブメント搭載のブラックウォッチという共通項を備えたふたつのモデルが、比較テストに初めて登場する。クロノスドイツ版編集部が、これらの時計の徹底解剖を試みる。

イェンス・コッホ: 文 Text by Jens Koch
マルクス・クリューガー(ハンブルグ): 写真 Photographs by Marcus Krüger (Hamburg)
市川章子: 翻訳 Translation by Akiko Ichikawa

OMEGA / SPEEDMASTER "DARK SIDE OF THE MOON"

point
・秀逸な設計の自社製ムーブメント
・精度が高い
・素晴らしいデザイン
・加工品質が高い

point
・防水性がやや低い
・日付の切り替わりが遅い

遮られた視界。装飾の美麗なオメガのキャリバー9300では、ブリッジがほぼすべてを覆ってしまっている。

BREITLING / CHRONOMAT GMT BLACKSTEEL

point
・極めて堅牢
・加工品質が高い
・精度が高い

point
・バックルを開くと鋭いエッジがある
・大きくて重い

開けた視界。ブライトリングのキャリバーB04では、レバーやコラムホイールの位置がよく分かる。

ブラックメカニズム

いケースが人気だ。自社製クロノグラフも同様である。今回検証するオメガとブライトリングのテストウォッチは、この人気の要素をふたつとも併せ持ったモデルである。セラミックス製ケースを備えたオメガの「スピードマスター ムーンウォッチ 〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟」と、ブライトリングの「クロノマットGMTブラックスチール」は、双方ともに新作である。ふたつの力のあるブランドによるふたつの強力なモデルが、ここに対峙する。

ブライトリングを代表するモデル、クロノマットの歴史は1940年代に遡る。デザインは時代のニーズに合わせて進化し続け、最新鋭のパイロット・クロノグラフとして揺るぎない地位を確立してきた。新作のクロノマットGMTブラックスチールは勇猛果敢な印象を与える。サテン仕上げを施した直径47㎜、厚さ18㎜を超える巨大なブラックスティールケース、4個のライダータブを備えた回転ベゼル、ねじ込み式のプッシュボタン、そして、総重量209gの堂々たる風采は、難攻不落の要塞を思わせる。クロノマットGMTブラックスチールを身に着ければ、特別出動隊の一員になったような気持ちになれるのだ。
ブラックスティールは、どちらかといえばチャコールグレーのような色味である。DLCコーティングはかなり傷に強いが、強い力が加わると薄いコーティングが剥離してスティールカラーの傷が残ってしまう。

スピードマスターは、繰り返し語られてきた有名な歴史を持つ時計である。1957年に発表されたスピードマスターは、1960年代にはアメリカ航空宇宙局、NASAの公式装備品に指定される。クライマックスは、1969年に成功した人類初の有人月面着陸に携行されたことである。宇宙飛行士、バズ・オルドリンはこの時計を宇宙服の上から着用し、月面歩行を行った。以来、この時計は「スピードマスター プロフェッショナル」と呼ばれ、プラスティック風防を備えるなど、当時の面影がほぼそのまま残されている。
〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟では、ケースのフォルム、特徴的なタキメータースケールが、初代ムーンウォッチを踏襲している。スピードマスター プロフェッショナルやスピードマスター コーアクシャル クロノグラフに比べると、〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟は上品な仕上がりだ。当然のことながら、二酸化ジルコニウムで作られたブラックセラミックス製ケースがその理由だが、同じハイテク素材を使用した艶のある文字盤も、エレガンスを演出するのに貢献している。スピードマスターの別バージョンで見られる白い針や蓄光塗料が盛られたプリントインデックスとは異なり、〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟の蓄光塗料を塗布したホワイトゴールド製アプライドインデックスやホワイトゴールドの針には高級感がある。ケースがブラックカラーなので、タキメータースケールを備えた黒いベゼルが他の要素から浮き上がって目立つことはない。セラミックス製ベゼルに刻まれたシルバーグレーの文字には窒化クロム処理が施されており、極めて硬く、凝着力の強い層を形成している。
文字盤に配されたスピードマスターのロゴと、クロノグラフ秒針の先端の赤いカラーアクセントは非常に控えめで、その結果、美しく整ったデザインが生まれている。44㎜を超える巨大サイズの割には、手首に着けてみると見た目にはそれほど大きさを感じさせない。それもそのはずだ。黒はそもそも収縮色だからである。物理的な観点から言えば、黒は光の欠如、つまり闇を表す色である。光沢のある文字盤が採用されているのは、おそらくそのためだろう。文字盤やベゼル、ポリッシュ仕上げの施されたケースのエッジなど、光を反射する面がこの時計に生命感を与えている。

〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟は91gと軽く、この倍以上の重さのクロノマットに比べると、着けていることがほとんど気にならない。ボックス型強化サファイアクリスタル製の風防もあまり厚みを感じさせず、ケースの厚さが15・8㎜ある割にはフラットな印象を与える。
ブライトリングは、チタン製のケースバックを採用するなど、わずかながらも軽量化を試みているが、残念ながら、ブライトリングのほぼすべてのモデル同様、せっかくの自社製クロノグラフムーブメントもそのままでは観察することができない。だが、ヴェンペ時計部門の副工房長、マイスター時計師でクロノグラフのスペシャリストのフロリアン・ピコール氏にとって、ねじ込み式裏蓋は何の障害にもならないらしい。その代わり、〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟のトランスパレントバックにはやや手を焼いたようだ。オメガに問い合わせて、押し込み式裏蓋であることが判明した後は、ひび割れに弱いセラミックスを傷つけることなく取り外すことができた。

徹底的に分解。頑丈な時計といえども、ドライバーとピンセットに勝つすべはない。

ケースの構造

押し込み式裏蓋が採用されていることからも、ステンレススティールケースの構造をそのままセラミックスで再現できないのが分かる。スピードマスター コーアクシャルのステンレススティールモデルに採用されているねじ込み式裏蓋は、セラミックスにねじ山を切ることが困難であることから、セラミックモデルでは採用できないのである。そのため、メタル製のインナーケースを接着あるいは圧着し、ここにメタル製裏蓋をねじ込むブランドは数多い。だが、オメガは、スペーサーやリュウズ用のチューブさえ使わずに裏蓋を直接押し込む方式を採用した。ムーブメントはネジでケース内に固定されており、裏蓋側から取り外すことができる。リュウズを湿気や水の浸入から守っているのはパッキンのみである。そのため、ケースバックのパッキンには薬品に対して高い耐性を持つ緑色のバイトンが使われている。それにもかかわらず、5気圧という防水性は、スピードマスター コーアクシャルのステンレススティールモデルの半分に過ぎない。したがって、〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟はウォータースポーツには向いていない。

クロノマットGMTブラックスチールは、〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟よりもはるかに防水性が高い。50気圧防水は、水深500mの水圧に耐えられることを意味している。クロノマットGMTブラックスチールでは、ケースバック、リュウズ、プッシュボタンに至るまで、すべてねじ込み式で留められており、10mの飛び板から飛び込んでも問題ない。ケースバックを外すとキャリバーB04が姿を現す。ブライトリングが自社開発し、2009年に発表したクロノグラフキャリバーB01のGMTバージョンである。ブライトリングのキャリバーB04の方が、2011年に発表されたオメガのキャリバー9300よりも目視できる範囲が広く、コラムホイールやレバーの数々ばかりか、リセットカムを載せたクロノグラフ積算車も一部、観察することができる。その点、オメガのキャリバー9300では、3つの開口部を通して辛うじてコラムホイールが見えるものの、ブリッジがムーブメントのほぼ全体を覆ってしまっている。それでも、オメガ独自のスパイラル状に広がるアラベスクのコート・ド・ジュネーブや、面取りとポリッシュを施したエッジ、鏡面仕上げのネジ頭を持つ黒くコーティングされたネジなど、極めて高級感あふれる仕上がりとなっている。ブライトリングでもポリッシュ仕上げのネジ頭や模様彫りは見られるが、シートメタルから打ち抜き加工されたレバーなどは、ポリッシュが施されていても、やはり見劣りしてしまう。

今回のテストのために、ヴェンペ時計部門の副工房長、マイスター時計師のフロリアン・ピコール氏がふたつのムーブメントを分解する

ムーブメントの構造

装飾よりもムーブメントの設計が重要なのはもちろんのことである。ムーブメントの設計においては、両方向巻き上げ式のローター、エレガントなコラムホイール、そして、モダンな垂直クラッチなど、数多くの共通点が挙げられる。パワーリザーブもETAの標準である約46時間よりもずっと長く、ブライトリングの香箱は約70時間分のエネルギーを蓄積し、オメガでは直列に接続されたツインバレルが約60時間のパワーを生み出す。ツインバレルは、均等な動力供給を可能にする。
ムーブメントを分解しなくても、ブライトリングが従来型の片持ちのテンプ受けに留まっているのに対して、オメガは頑丈な両持ちのバランスブリッジ(テンプ受け)を採用していることが分かる。また、オメガでは新型のニヴァショック耐震軸受けが搭載されており、腕時計に衝撃が加わった時の天真の復元性に優れ、天真を穴石の中心で安定させるように設計されている。一方、ブライトリングはガンギ車用の耐震軸受けを装備しているので、同様に高い耐衝撃性が期待できる。

緩急調整の方法においても両者は異なっている。ブライトリングのキャリバーB04には偏心ネジで微調整を行う緩急針が装備されており、オメガはテンワに取り付けられた4個のホワイトゴールド製バランスウェイトで緩急調整を行うフリースプラング方式を採用している。そのため、オメガの方がより精密な微調整が可能で、ヒゲゼンマイは自由に抵抗も少なく振動することができる。オメガのテンワに黒のクロムメッキが施されているのは審美的な理由からだが、ムーブメント全体とよく調和しているばかりか、〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟の意匠にもふさわしい。
ローターとローターブリッジを取り外すと、より多くが見えてくる。オメガもブライトリングも、ブリッジの下には装飾が施されていないが、この価格帯の時計なら特別なことではないだろう。ブライトリングは自社製ムーブメントをメンテナンスしやすいような構造で設計し、輪列受けが自動巻き機構とともに取り外せるようになっている。輪列受けにネジ留めされている第2のブリッジを外すと自動巻き機構に手が届く。クロノグラフ積算車も独立したブリッジの下に組み込まれており、このブリッジを取り外すとリセットカムとクロノグラフ積算車を見ることができる。

オメガの場合はブライトリングとは異なり、クロノグラフ積算車とリセットカムにたどり着くには、まずローターブリッジを取り外してから、大きなクロノグラフブリッジを外さなければならない。だが、内部を観察してみると、オメガのパーツはすべて、作りが堅牢なことがよく分かる。ブライトリングの歯車には、ポリッシュ仕上げが施されているとはいえ、一部に薄いものがあるのに対し、オメガの場合は、ひとつひとつのパーツがムーブメント全体により一層の高級感を与えている。また、オメガの方が製造と組み立てがより慎重かつ入念に行われている。その結果、加工の痕跡や傷などはまったく見当たらない。特に、コラムホイールを比較するとその差が顕著で、ブライトリングのコラムホイールはルーペで見ると溝状の痕跡が確認される。ただ、オメガのコラムホイールは、柱状の歯のひとつひとつが独立した伝統的な形状ではなく、柱と柱がつながった星型に設計されている。

ブライトリングは、リセット時にクロノグラフ針を帰零させる機構に、独自の特許技術である自動センタリングハンマー(リセットハンマーの自動位置決め装置)を採用している。したがって、リセット機構の組み立て時には個別の調整が不要である。一方、レバーが作動する際の摩擦について、オメガは賢く解決している。その結果、プッシュボタンを押す力がブライトリングよりもやや少なくて済む。

コラムホイールの比較。ブライトリング(左)は伝統的な柱状の歯を備えているが、加工の痕跡が見られる。オメガ(右)のパーツは極めて堅牢。

垂直クラッチ 

オメガもブライトリングも、クロノグラフ機構への動力の伝達方式には垂直クラッチを採用している。垂直クラッチは、クラシカルな水平クラッチと違って、メカニズムがブリッジの下に隠れてしまい、全貌を見ることができない。だが、クロノグラフ秒針が針飛びなく直ちに作動を開始するため、精度の面では水平クラッチよりも有利である。ペンチのような形をした2本のレバーには、側面をテーパー型にカットしたふたつのクラッチディスクを分離させる役割がある。ペンチのようなレバーが開くと、板バネが押す力でふたつのクラッチディスクが連結される。
オメガの〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟でバランスブリッジを外すと、さらなるハイライト、コーアクシャル脱進機が姿を現す。キャリバー9300では、ガンギ車が2層構造から3層構造に変更されたコーアクシャル脱進機を搭載できるよう、十分なスペースが確保されており、初代コーアクシャル脱進機を積んだETAやフレデリック・ピゲのムーブメントに比べると、動力の伝達効率が格段に向上している。長年、腕時計に搭載されてきたスイスレバー脱進機とは異なり、コーアクシャル脱進機では停止と衝撃の機能が分離されていることから、ガンギ車とアンクルのツメ石が接触して生じる摩擦を最小限に抑えることができる。したがって、エネルギーロスも少なく、注油もごくわずかで済むが、完全にオイルフリーというわけではない。安定した精度には、衝撃と磁気の影響をほとんど受けないシリコン製ヒゲゼンマイも貢献している。オメガは、シリコン製ヒゲゼンマイを量産モデルに搭載することに成功した先駆けである。
ブライトリングは、テンワとヒゲゼンマイの組み合わせを自社で行うことで、高い精度を実現。また、日付は瞬時に切り替わるように設計されている。ムーブメントの文字盤側に取り付けられたバネ式のレバーに時間の経過とともに動力が蓄積されていき、午前零時になると解放され、日付がひとつ先に瞬時に切り替わる仕組みになっている。オメガの場合はこれとは異なり、日付が完全に切り替わるのに22時から約2時間弱かかる。

バランスウェイト付きフリースプラングテンプ、シリコン製ヒゲゼンマイ、コーアクシャル脱進機は、まさにオメガのお家芸である。

独自の解決策

クロノマットGMTブラックスチールの30分積算計は、1分ごとに針がジャンプする。オメガは、クロノマットとは異なる手法でクロノグラフカウンターを設計した。12時間積算計と30分積算計は別々のインダイアルで配置されるのが通例だが、キャリバー9300では3時位置のクロノグラフカウンターに12時間積算計と60分積算計がひとつにまとめられているのだ。
とはいえ、この同軸積算クロノグラフカウンター、視認性にはあまり貢献していない。2本の針は長さがはっきりと違うので、分と時間を読み違えることはないものの、プリントされた数字が時間を示していることから、分を判読する際に一瞬、戸惑ってしまうのだ。計測時間を時刻と同じように読み取ることができるのは便利だが、分については30分積算計が独立したブライトリングの方が、オメガよりも1分を示すスケールの間隔が広いこともあって読み取りやすい。結論としては、30分未満の計時の場合はブライトリングが便利で、数時間単位で計測するならオメガの方が優れていると言えるだろう。
オメガでもブライトリングでも、時刻合わせと日付調整の手順は同じである。リュウズの2段目のポジションでは秒針が止まり、通常と同じように時針と分針を合わせることができる。ブライトリングの場合、ここではGMT針も同時に動く。リュウズを1段引き出すと、時針を1時間刻みで合わせられるため、午前零時を越える時点で日付も合わせることができる。日付表示は、時針を進めても戻しても調整することができる。日付早送り機能のように素早くというわけにはいかないが、別のタイムゾーンに移動する場合や、サマータイムとウィンタータイムを切り替える際に、秒や分を変えることなく時刻を合わせられるのは便利である。なお、ブライトリングのGMT針は、このポジションでは動かない。〝ダークサイド・オブ・ザ・ムーン〟はセカンドタイムゾーン非搭載モデルだが、キャリバー9300は搭載を見据えた設計となっている。
世界限定1000本のクロノマットGMTブラックスチールではさらに、第3のタイムゾーンを表示することもできる。ミニッツスケールを配した逆回転防止ベゼルを備えるクロノマットGMTのスタンダードバージョンとは異なり、両方向回転式の24時間ベゼルを備えているためである。ベゼルは1時間刻みで噛み合い、文字盤にも24時間目盛りが配されているので、この第3タイムゾーンは実際に機能する。

キャリバー9300とキャリバーB04は双方とも、2週間に及ぶクロノメーター検定に合格している。そのため、これらのムーブメントは分解される前に、歩度測定機でその実力を証明してみせなければならなかった。ブライトリングの場合、日差はごくわずかで、平常時はどの姿勢でもマイナス1秒/日からプラス3秒/日の範囲内で、計算上の平均日差はプラス1・2秒/日だった。クロノグラフ作動時も最大姿勢差は6秒で、平均日差はマイナス1・3秒/日と小さい。振り角も力強かった。垂直姿勢でやや振り落ちが見られたものの、それでも優秀な数値である。

ブライトリングとオメガ いずれ劣らぬ精度

オメガも、平常時で最大姿勢差がわずか3秒、平均日差がプラス2・3秒/日という高精度を叩き出し、クロノグラフを作動させても最大姿勢差は4秒、平均日差はプラス2・2秒/日と、精度はあまり落ちなかった。振り角も驚くほど安定しており、クロノグラフを作動させ、水平姿勢から垂直姿勢に変えても、キャリバー9300では平均して10度しか落ちなかった。ブライトリングの振り落ちと比較すると約3分の1という安定感である。
視認性に関しては、両者とも両面に無反射コーティングを施したサファイアクリスタル製風防を備えており、あまり違いはない。オメガの方が、文字盤の構成がシンプルであることからポイントが高いが、文字盤は強く反射する。ブライトリングの場合は、多くの表示要素や目盛りがあるために、必要な情報をピンポイントでとらえるまでに少し時間がかかる。暗所ではオメガの方がやや明るく発光するが、ブライトリングも時刻は十分に読み取りやすい。

左:ブライトリングのキャリバーB04。自動巻き機構を組み込んだ輪列受けを外したムーブメント。歯車が薄く、ブリッジに小さな傷が確認されるが、メンテナンスしやすい構造になっている。右:オメガのキャリバー9300。輪列受けを外したムーブメント。加工品質の高いクロノグラフ積算車は強度も高い。

手首での安定感

オメガは、セラミックス製の限定モデルに新しいストラップを与えた。ストラップは耐久性の高いコーデュラ製ファブリックで出来ており、内側にカーフレザーを使用し、セラミックス製尾錠の幅の広いツク棒を通す穴がある箇所にはラバーのインレイが縫いつけられている。遊革もラバー製である。ラバーは時計の性格によく合う上、テクニカルな印象を演出するのに効果的である。だが、ツク棒をストラップに通し、さらにストラップを遊革に通すのは少し困難だった。
この点、ふたつのセーフティーボタンで行うブライトリングのフォールディングバックルの開閉動作は、オメガよりもずっと簡単である。バックルはケースと同じように暗色でコーティングされ、ヘアライン仕上げが施されている。バックルに内蔵されているエクステンションも実用的で、これを使えば6段階で1㎜ずつ延長することができる。ブライトリングのバックルは、隙間寸法が極めて小さく、非常に精密に作られている。唯一の欠点は、バックルを開くと鋭いエッジがある点だ。セーターを着ている時には、引っかけないように気をつけなければならない。また、着用時は、ブライトリングのバックルの方がオメガの尾錠よりも肌への圧迫感があった。ラバーストラップの表面にはブライトリングの文字が堂々と配されているが、これは好みの分かれるところだろう。

初志貫徹。オメガのセラミックス製尾錠と、DLCコーティングとヘアライン仕上げを施したブライトリングのフォールディングバックル。

価格の点ではオメガもブライトリングも同じ水準で、購入を考える際は約100万円を予算に計上しなければならない。つまり、ブライトリングの場合はDLCコーティングされた黒のケースに約XX万円を追加料金として支払うことになる。オメガではXX万円の追加料金を支払えば、限定のブラックセラミックス製ケースのほか、セラミックス製文字盤、ホワイトゴールド製アプライドインデックス、ホワイトゴールド製の針、そして、セラミックス製の尾錠を備えた時計を手に入れることができる。
オメガで手に入れられるのはこれだけではない。卓越した自社製クロノグラフムーブメントが手に入るのだ。これは、加工品質や装飾だけでなく、特にコーアクシャル脱進機とシリコン製ヒゲゼンマイについて言える点である。ただし、ブライトリングの自社製ムーブメントが劣っているという意味では決してない。コストパフォーマンスにおける両者の違いはあまり大きくないのだ。
オメガとブライトリングは、それぞれのブラックウォッチによってまったく異なる方向へと歩みを進めた。オメガが、名高いプロフェッショナルウォッチにエレガントな要素を加えたのに対し、ブライトリングはそもそもプロユースだった時計を一層マニッシュに仕立てたのである。検証の結果、点数的には全体的にバランスの取れたオメガに軍配が上がったが、腕力に自信のある愛好家なら、ブライトリングもきっと楽しめるに違いない。

控えめさvs.存在感。サイズの上では、ブライトリングはオメガを凌駕する。

技術仕様

製造者: オメガ ブライトリング
Ref.: 311.92.44.51.01.003 MB041310 BC78
機能: 時、分、スモールセコンド(ストップセコンド仕様)、60分・12時間同軸積算クロノグラフ、日付表示 時、分、スモールセコンド(ストップセコンド仕様)、30分・12時間積算計を備えたクロノグラフ、日付表示、セカンドタイムゾーン
ムーブメント: 自社製キャリバー9300、自動巻き、クロノメーター、2万8800 振動/時、54石、直列接続式ツインバレル、耐震軸受け(ニヴァショック使用)、デクラファー製テンワ、バランスウェイト付きフリースプラングテンプ、コーアクシャル脱進機、パワーリザーブ約60時間、直径32.5㎜、厚さ7.6㎜ 自社製キャリバーB04、自動巻き、クロノメーター、2万8800振動/時、47石、耐震軸受け(キフ使用)、グリュシデュール製テンワ、緩急針と調整用偏心ネジによる緩急調整、パワーリザーブ約70時間、直径30㎜、厚さ7.2㎜
ケース: セラミックス(二酸化ジルコニウム)製、両面に無反射処理を施したボックス型強化サファイアクリスタル製風防、押し込み式サファイアクリスタル製トランスパレントバック、5気圧防水 ステンレススティール製(DLC コーティング)、ドーム型サファイアクリスタル製風防(両面無反射コーティング)、チタン製ねじ込み式裏蓋、50気圧防水
ストラップとバックル: コーデュラ製ファブリックストラップおよびセラミックス製尾錠 ラバーストラップおよびステンレススティール製セーフティーフォールディングバックル(DLCコーティング、エクステンション内蔵)
サイズ: 直径44.25㎜、厚さ15.8㎜、総重量91g 直径47㎜、厚さ18.35㎜、総重量209g
世界限定: 1000本
価格: 105万円 103万5000円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 (T24の日差 秒/日、振り角)

オメガ/スピードマスター ムーンウォッチ
“ダークサイド・オブ・ザ・ムーン”
ブライトリング/クロノマット
GMT ブラックスチール
平常時 /クロノグラフ作動時 平常時 /クロノグラフ作動時
文字盤上 +4 +4 +1 0
文字盤下 +2 +2 +2 0
3時上 +2 +3 -1 -5
3時下 +1 0 +3 +1
3時左 +3 +2 +3 0
3時右 +2 +2 -1 -4
最大姿勢差: 3 4 4 6
平均日差: +2.3 +2.2 +1.2 +1.3
平均振り角:
水平姿勢 261° 257° 296° 268°
垂直姿勢 248° 247° 270° 240°

評価

オメガ/スピードマスター ムーンウォッチ “ダークサイド・オブ・ザ・ムーン” ブライトリング/クロノマット GMT
ブラックスチール
ストラップとバックル(最大10pt.) 8pt. 8pt.
操作性(5pt.) 4pt. 5pt.
ケース(10pt.) 9pt. 8pt.
デザイン(15pt.) 14pt. 13pt.
視認性(5pt.) 4pt. 4pt.
装着性(10pt.) 10pt. 6pt.
ムーブメント(20pt.) 18pt. 17pt.
精度安定性(10pt.) 10pt. 9pt.
コストパフォーマンス(15pt.) 12pt. 11pt.
合計 89pt. 81pt.

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