【77点】ブライトリング / トランスオーシャン

FEATUREスペックテスト
2012.07.29

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ブライトリングが自社で手を加えたETA2892A2はねじ込み式裏蓋の内側に隠れている。信頼性の高い基幹キャリバーは、自動車で言えばフォルクスワーゲンのゴルフに相当する。

最高クラスのクロノメーターである

この時計をさらに観察すると、ディテールのひとつひとつに対するこだわりが伝わってくる。アワーマーカーの外周には蓄光塗料を塗布したドットが付いており (十字線の先端は例外)、発光ドットはさらに、シルバーカラーのプリントで縁取られている。蓄光塗料が塗布された針もきわめて精巧な作りである。ファセッ トが施された針の外側はポリッシュがかけられており、ヘアライン仕上げの中央部には全体の半分程度まで蓄光塗料が塗布されている。針と同じファセットは、 アワーマーカーにも観察することができるが、ここでは全体的にポリッシュがかけられている。両面に無反射コーティングを施したサファイアクリスタルは、そ のフォルムから、かつてのプレキシガラスを想起させる。風防の側面が上方へ盛り上がっており、文字盤の上になる部分にはわずかにふくらみを持たせてある。

スティール製の針とインデックスは、黒文字盤とのコントラストが明確で、日中は抜群の視認性を発揮する。暗所では時針と分針、そして、文字盤の縁にある蓄光塗料を塗布したドットがわずかながらも発光する。
オリジナルモデルでもそうだったが、ミラネーゼブレスレットはこの時計との相性が良い。スティールワイヤーをメッシュ状に編み込んだミラネーゼブレスレットはとてもしなやかなのだが、長さを短くしたい時にやっかいなのが難点である。ブライトリングの場合は、通常のブレスレットのコマのようにネジを外せる短いエレメントによって、長さを簡単に調節できるように配慮されている。ただ、その結果、バックル付近に小さな隙間が生まれ、ミラネーゼブレスレットの美しい編み込みが途切れてしまうのが残念だが、よく見なければ気が付かない程度のわずかなものだ。それよりも気になるのは、薄いプレートで出来たセーフティーロック付きのバックルがスムーズな動きに欠けることである。ヒンジ部分が無垢材から削り出し加工されているのに対し、バックル部分は部分的にエッジの鋭いプレートで出来ており、フラットなフォルムに貢献しているものの、この価格帯のモデルには本来ふさわしいものではないだろう。とは言え、このバックルは、ブライトリング特有のモダンなデザインによって説得力があり、全体的にポリッシュが施されていることから、同じく全面ポリッシュ仕上げのケースとよく調和している。