【77点】ブライトリング / トランスオーシャン

FEATUREスペックテスト
2012.07.29

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1958年発表のトランスオーシャンからインスピレーションを得て、昨年、発表されたマーキュリー・シルバー文字盤の復刻モデル。文字盤を4分割する十字線やミラネーゼブレスレットなど、オリジナルモデルの特徴を受け継ぎつつも、スペックはC.O.S.C.認定クロノメーター仕様に高められている。

時計界の“バウエルンフリューシュトゥック"

フラットなバックルと、手首によくなじむミラネーゼブレスレットは、快適な装着性にも寄与しており、大きなサイズにもかかわらずトランスオーシャンの着用 感はきわめて良好である。この点においては、下方へ長く伸びたラグの貢献度も大きい。時計を横から観察すると、ブレスレットが裏蓋よりも低い位置で固定さ れているのが分かる。
操作性についても、同じように長所ばかりを挙げることができる。大きなリュウズはねじ込み式ではなく、簡単に引き出して回すことができる。ストップセコン ド機能が搭載されており、ムーブメントと秒針が止まるので、時報と同期させるのも容易である。また、一段引き出したポジションでは、日付を早送りすること ができる。

内部で時を刻むのは、よく知られた機構だ。ブライトリング10と呼ばれるキャリバーは、ETA2892A2と同じものだが、仕様は最高クラスのクロノメー ターである。このムーブメントはサイズが小さいことから、幅の広いホルダーリングに周りを囲まれている。ホルダーリングは、ムーブメントの部品やケース バックの内側と同様に、ペルラージュ模様で装飾されている。ポリッシュ仕上げのネジや香箱のサンバースト模様、また、ローターに施されたコート・ド・ジュ ネーブやゴールドカラーのエングレービングは、見応え十分である。これまでに何百万と製造されてきたこのムーブメントは、信頼性が高く、時計界の“バウエ ルンフリューシュトゥック"と言えるのではないだろうか(訳注:“農夫の朝食"という意味で、ドイツの家庭料理。オムレツ風ジャガイモ料理を指す)。