【80点】オメガ/スピードマスター コーアクシャル クロノグラフ vs. プロフェッショナル

FEATUREスペックテスト
2012.05.03

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古き良き傑作 vs. 技術の先駆者。カム式のクロノグラフ制御機構を備えた手巻きキャリバー1861(左)と、コラムホイール、コーアクシャル脱進機、シリコン製ヒゲゼンマイを搭載した自動巻きキャリバー9300(右)。

ディテールにおける違い

サテン仕上げのコマを持つステンレススティール製のブレスレットは、外観の上では両者とも大きな差異は認められない。幅広い中央列の左右には、ポリッシュを施して立体感を持たせた細いパーツがあり、ブレスレットの高級感と印象深い仕上がりを演出している。スピードマスター プロフェッショナルではブレスレットのコマがピンで留められているのに対し、コーアクシャル脱進機搭載モデルのブレスレットのコマにはネジが使用され、より高い耐久性が約束されている。

後者のブレスレットはコマとコマとの隙間が均等で、しかもごくわずかしかないため、装着感もより快適である。その点、ピン留めのブレスレットでは毛が挟まれることもあり、常に快適とはいかない。新モデルではサファイアクリスタル製の滑らかなトランスパレントバックも心地よい装着感に寄与している。対して、ソリッドバックの立体的なシーホースのロゴは、防水時計のシンボルとしてオメガの伝統ではあるものの、ユーザーの手首の感覚によっては違和感を誘う要因ともなっている。とは言え、スピードマスター プロフェッショナルの装着感も概して良好である。

また、内側の面が滑らかに仕上げられたバックルも快適な装着感に貢献している。新モデルに“PROFESSIONAL"の文字が入っていないことを除けば、両者のバックルは瓜ふたつである。両側にプッシュボタンを備えた仕上がりの秀逸なフォールディングバックルは、無垢材から削り出して加工されたもので、その機能的なデザインはスピードマスターの特性によくマッチしている。ただ、サテン仕上げを施した大きな面は、傷が付くと目立つかもしれない。
搭載キャリバーが異なるにもかかわらず、両モデルともクロノグラフのプッシュボタンはスムーズに操作できる。同様に、リュウズもそれぞれの設定ポジションに簡単に引き出すことができる。手巻きの古典モデルでは、時刻を合わせる時にやや強い力が必要だが、特に問題にはならないだろう。それよりも、ストップセコンド機能が搭載されていないことのほうが残念である。その点、新しいコーアクシャル・ムーブメントは、時刻を秒単位で正確に合わせることができる。スピードマスター プロフェッショナルには日付表示が搭載されていない。

一方、日付表示のあるコーアクシャル・モデルでは、1段引き出したポジションで時針を1時間刻みで合わせられるため、午前零時を越える時点で日付も合わせることができる。日付表示は、時針を進めても戻しても調整できる。日付早送り機能のように素早くというわけにはいかないが、別のタイムゾーンに移動する場合や、サマータイムとウィンタータイムを切り替える際に、秒や分を変えることなく時刻を合わせられるのは便利である。