【80点】ロンジン/コラムホイール クロノグラフ

FEATUREスペックテスト
2012.01.01

spec130116lo67b.jpg

コラムホイール方式を採り入れたロンジン専用キャリバーL688.2は、今までの改良ノウハウがトレンドに生かされた会心の出来だ。外観は装飾的ではないが、この価格帯では満足の仕上がり。

スタート、ストップ、リセットの
メカニズム

ここで、クロノグラフ機能使用時のメカニズムを見てみよう。2時位置のスタートボタンを押すと、作動レバーが押される。たいていのクロノグラフでは長いパーツを使用しているが、このキャリバーではかなり短めに作られており、これがコラムホイールを押し回して正しいポジションに導くことに技術力が現れる。コラムホイール制御レバーがポジションをキープしつつ、コラムホイールが右回りに動くと、発停レバーの片方の先端がコラムホイールの柱と柱の間に入り込み、発停レバー全体が右に傾く。もう片方の端にはスイングピニオンレバーを動かすポストが取り付けられ、ポストは右回りに少し傾く。

すると、スイングピニオンレバーの端が連動して反対方向に傾き、裏蓋側のスイングピニオンのカナが右に寄って、秒クロノグラフ車(クロノグラフランナー)に噛み合い、スイングピニオンによる動力伝達によって文字盤側の4番車の動きとシンクロする。これらの動きと同時に時クロノグラフ車を止めていたブレーキレバーが解除され、クロノグラフの計測が始まる。秒クロノグラフ車と分クロノグラフ車の間には中間車があり、動力がリレーされて分積算計測が成立する。ブレーキレバーが解除されると時クロノグラフ車もゆっくりと動き出す。この歯車は、伝統的に香箱車から直接、動力を得て駆動する設計である。

2時位置のプッシュボタンを再度押してストップをかけると、コラムホイールが再び右へ回る。柱の位置がワンポジション移動することにより、発停レバーの先端が柱の間から押し出され、レバー全体が左側に寄る。すると、スイングピニオンレバーは右に動いて秒クロノグラフ車と噛み合っていたスイングピニオンのカナを引き離し、同時にブレーキレバーが働いて秒クロノグラフ車を止め、クロノグラフ機能は停止する。さらに、プッシュボタンを押さない限り、この状態はキープされ、文字盤上の計測データはそのまま残る。この状態からもう一度、2時位置のプッシュボタンを押すと再スタートし、中断時点からの計測を継続していく。