【80点】ヴァシュロン・コンスタンタン/ケ・ド・リル・ デイ/デイト&パワーリザーブ・オートマティック

FEATUREスペックテスト
2011.11.29

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ケースとムーブメントは見事な調和を見せる。モジュール構造のマルチカラーケースと同様、ムーブメントもクラシカルでありながらモダンな印象を与える。

快適な日常のパートナー

このように、ケ・ド・リルは偽造業者を失望させる多くの顔を持っている。では、ケ・ド・リルが具体的にできることは何だろうか? ケ・ド・リルは信頼できる日常のパートナーなのか、それとも人目を引く装飾品に過ぎないのだろうか? テストウォッチは、こうした警戒心を見事に解いてくれた。ケ・ド・リルは、おおよそ高級腕時計に期待される通りの装着感、操作性、視認性を備え、時刻合わせも快適である。作り込みは秀逸で、デザインも素晴らしく、美しく堅牢な設計のマニュファクチュールキャリバーを搭載している。もっとも、すべてが完璧というわけにはいかないのは必然である。順を追って見てみよう。

ケ・ド・リル・デイ/デイト&パワーリザーブ・オートマティックを購入したユーザーは、時計をボックスから取り出した後、まずはじっくりと観察するだろう。そして、購入の決め手となったケースに感嘆するに違いない。ケースは、カスタマイズできる点だけでなく、個々のパーツが豊かなフォルムを持つことも魅力である。ネジ留めされたラグにはステップと明確なエッジが付けられており、ミドルケースからはサテン仕上げのケースサイドの上下の両端が突出している。また、裏蓋側のホルダープレートから張り出すねじ込み式の裏蓋は非常に立体的だ。明確なドーム型をしたサファイアクリスタルの風防は、ふくらみを持たせたケースの魅力的なラインと一体化している。ケースがあまりにも複雑であるため、ポリッシュとサテンのコンビ仕上げを施した美しい表面が、当たり前のように映ってしまうほどである。

ケースを隅々まで眺めた後、満足感に浸ったユーザーは、多層構造で一部にマット仕上げが施された、どこから見ても完璧な加工の文字盤を観察する。アラビックインデックスとバーインデックスは、エッジ部分に面取りとポリッシュ仕上げが施されており、表面には縦方向にサテン仕上げが施されている。細かいサテン仕上げは、蓄光塗料を塗布した時分針に加え、秒針や付加機能用の3本の小さな針にも観察することができる。これらの小さな針は、日付、曜日、そして、パワーリザーブを表示する。ほかの表示要素がすべて、視認性に優れているのに対し、日付はやや読みづらい。細かいポインターデイトは必ずしも読み取りやすい表示方式ではない上、このモデルでは23日を表す数字が欠けているため、ユーザーは21日から25日までの日付を把握するのに戸惑うかもしれない。

日付と曜日は、付属の修正用のペンを使用し、ケース側面にある修正ボタンを押すと設定できる。ケ・ド・リルでは、リュウズを簡単に引き出して回すことができるので、日付と曜日もリュウズで合わせられればもちろん、もっと快適だったかもしれない。だが、付加機能の設定方法が分離されていることで、リュウズの引き出しポジションが1段で済み、誤操作の心配がないのはメリットと言えるだろう。たったひとつのポジションにリュウズを引き出せば、ストップセコンド機能の恩恵も相まって、時刻を正確に合わせることができるのだ。