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IWC/アクアタイマー・オートマティック2000(1/1) 2010年01月号(No.26)

IWC / AQUATIMER AUTOMATIC 2000

1967年からダイバーズウォッチを作り続けてきたIWC。防水性2000mの最新作には、サファイアガラス製の堅固な回転式ベゼルが装備されている。

+point
・防水性が極めて高い
・ブレスレットのクイック交換システム
・デザインが秀逸

-point
・自社製キャリバーではない
・バックルの一部の角が当たる

クロノス評価
ストラップとバックル(最大10pt.):9pt.
操作性(5pt.):5pt.
ケース(10pt.):9pt.
デザイン(15pt.):14pt.
視認性(5pt.):5pt.
装着性(10pt.):8pt.
ムーブメント(20pt.):13pt.
精度安定性(10pt.):8pt.
コストパフォーマンス(15pt.):13pt.
合計:84pt.

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キャリバー30110は、部品として購入したETA2892がベースになっている。
IWCの社内で厳しい基準に則って組み立てられる。

DRUCK SACHE プリンテッド・マター

アクアタイマー・オートマティック2000は、IWCが今年リニューアルしたダイバーズウォッチ・コレクションに属するモデルである。回転式ダイバーベゼルが外側に配置されていることが、ひと目で分かる特徴だ。
アクアタイマー・オートマティック2000には、このコレクションの中で最もプロ仕様と自負する資格が十分にある。当然のことだが、ダイバーズウォッチと称する時計であれば常に、損傷や停止することなく、水中での使用に耐えられる能力が求められる。しかも、水中では静圧だけではなく、動きによって動圧も発生するため、ダイバーズウォッチは最低でも200mの防水性を備えていなければならない。もちろん、防水性は高いことに越したことはない。IWCはこれらの要求に応えるべく、アクアタイマー・オートマティック2000を200気圧、つまり水深2000mの水圧に耐えられるように設計した。

アクアタイマーの新コレクションの中で、オートマティック2000はまさに最高の深度に到達できる時計である。さらに、クロノグラフ機能や機械式水深計などは備えていない。優秀な計器ならどれもがそうであるように、時刻あるいは潜水時間の表示という、最も重要な機能だけに集中した。とはいえ、陸上で着用されるほうが圧倒的に多いために、日付は省略しなかった。
ダイバーズウォッチで潜水時間を測定するには、回転ベゼルの目盛りを分針に合わせる。回転ベゼルの目盛りを読み取れば、水中での滞在時間を知ることができる仕組みだ。これは、呼吸ガスの残量を把握し、潜水時間によって異なる減圧停止を調整する上で、生命に係わる最も重要な機能である。ダイバーベゼルは安全上の理由から、基本的に反時計回りにしか回せないようになっている。この方式だと、ダイバーベゼルを合わせ間違った場合、読み取った潜水時間が実際の潜水時間よりも長くなることがある。結果として早く上がりすぎることはあっても、水中に長くいすぎることはない。スキューバダイビングでは今日、潜水時間を表示して減圧停止の時間を計算するダイブコンピュータを使用しないダイバーがいないように、ダイバーズウォッチは安全策として携行されることが多い。

IWCが特殊機能を搭載した初代アクアタイマーを発表したのは、1967年のことである。このモデルは、第2のリュウズで設定するダイビング用インナーベゼルを備えていたが、後のモデルではアウターベゼルも採用されるようになった。ポルシェデザインが製作して82年にリリースした伝説のオーシャン2000や、97年に発表されたGSTアクアタイマーも同じようにアウターベゼルを備えている。これとは異なり、最近モデルチェンジされたダイバーズウォッチ・コレクションでは、インナーベゼルが装備されている。インナーベゼルの長所は、設定を誤った場合でも極めて高い安全性が確保されることだ。
今回、再びアウターベゼルが採用された背景には、グローブを着けたまま、内側にあるスケールを第2のリュウズで操作するのが困難だという事実があった。残念ながら、今回のテストウォッチで採用されているのは、向き合うふたつの箇所を押してベゼルを回転させるという、オーシャンやGST アクアタイマーで装備されていたシステムではない。

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回転式アウターベゼルのサファイアガラスは衝撃に強く、傷がつきにくい。

新型アクアタイマーの特徴はダイバーベゼルだ

アウターベゼルの他の利点としては、4mmと幅広く、数字も大きくできることから、視認性が格段に向上することが挙げられる。同時に、傷に強いサファイアガラスをベゼルに採用した。これによって、過酷な環境下で傷がつきやすく、数字がプリントされたアルミプレートがなくなってしまうという、ダイバーベゼル特有の問題も解消した。サファイアガラス製のベゼルには、蓄光塗料のスーパールミノヴァが内側から6層に塗布され、印字されている。ベゼルの最初の15分は背景が黄色で強調されている。この範囲の分数を暗がりで正確に把握することは難しいが、まだ許容範囲と言えよう。20分以降の数字はこれとは逆に、非常に明るく発光する。全体的に見て、大きなサイズと明確なインデックスの恩恵により、時刻の視認性は良好だ。
精度についても、ポジティブな結果を報告することができる。歩度測定器で行ったテストでは、すべての姿勢で0~5秒/日のプラス傾向が見られた。計算上の平均日差はプラス2.7秒/日で、振り角は力強い。

残念ながら、このモデルには自社製キャリバーが載せられていない。Cal.30110のベースは量産キャリバーのETA2892だが、個体差をなくすため、IWCの社内でいくつもの部品に手が加えられている。とはいえ、エボーシュの時点ですでに信頼性と安定した精度で名高く、堅牢なエンジンである。さらに、ETA2892は非常に薄いため、高い防水性にもかかわらず心地良いフラットなケースを実現することができた。ちなみに、インヂュニア・オートマティックに搭載されているIWCの自社製ムーブメントは7.2mmあり、ETA2892の2倍の厚さである。
ねじ込み式のソリッドバックを開けてみよう。ムーブメントにはペルラージュ仕上げ、円模様彫り、サンブラッシュ仕上げなど、さまざまな装飾を見ることができる。ネジ頭にも丁寧にポリッシュ仕上げが施され、エングレーブされた文字にはゴールドが載せられている。
ムーブメントは、日付早送り調整機能とストップセコンド機能を搭載している。リュウズを引き出すとテンプが止まり、針が停止するので、時刻合わせと日付の設定が容易である。扱いやすいリュウズは、ねじ込んで締めるのも、手前に回しながら緩める動作も楽に行うことができ、ふたつのポジションに引き出すのも簡単だ。ベゼルも楽に回すことができる。

ラバーストラップの仕上がりも好印象である。ありがたいことに、プロトタイプのストラップで見られたワッフル模様は、内側だけについており、汗をかきにくいように配慮されている。しかし、まったく汗をかかずにすむというのは無理なようだ。
尾錠には幅の広いツク棒を備えており、ラバーストラップとの相性が抜群である。尾錠はケースと同様に秀逸な作りで、ポリッシュとサテンのコンビ仕上げが美麗である。一部、鋭い角が当たるのが気になった。ラバーストラップの他に、フォールディングバックルを備えたステンレススティール製ブレスレットも用意されており、ナイロン製ベルクロストラップも今秋以降に入手可能になる。ベルクロストラップは 3万5700円と、決して安価ではないが、分厚いドライスーツの上からでも着用できるのが利点である。

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シンプルで素早く操作でき、かつ安全な新型ブレスレット交換システム。サテンとポリッシュのコンビ仕上げの尾錠は、無垢材から削り出し加工した幅の広いツク棒を備えている。

IWCではダイバーズウオッチのデザインがよく変わる

このモデルには、ブレスレット交換システムが装備されている。作りが極めて美麗で、ブレスレットを素早く簡単に交換できるこのシステムは、カルティエの特許技術が進化したものである。ストラップを交換するには、裏側のレバーを押して、ケースから外す。すると、ストラップの接合部は固いメタルパーツもろとも、ラグから下方へと取り外すことができる。この賢い解決策は極めて堅牢で、過酷な環境下での使用に耐え、しかも安全である。
レバーが装着性を損ねることはない。優れた装着感はとりわけ、柔らかいストラップとアーチ型に成形された堅牢な接合部によって実現している。アクアタイマー・オートマティック2000は、防水性が高いわりに薄く仕上がっているため、44mmという堂々たる直径にもかかわらず装着感はとても良い。
IWCのダイバーズウォッチは、パイロットウォッチに比べるとデザインの上で大胆な進化を遂げている。とはいうものの、文字盤のレイアウトは1997年のGSTアクアタイマー以来のものであるし、黄色い分針と回転ベゼルの黄色い15分目盛りというカラー・コンビネーションは、2004年にリリースされた直近の先代モデル、アクアタイマー2000で導入されたものだ。最新モデルでは、とりわけ時針がより幅広く、長くなってモダンな印象を与える反面、IWC特有のキャラクターはやや抑制された感がある。だが、最新作では文字盤の仕上がりが今までよりもずっと丁寧だ。蓄光塗料を塗布したアプライドインデックスはシルバーで縁取られ、文字盤から浮き上がるように君臨しており、黄色いミニッツインデックスも、一段高くなった部分にプリントされている。コストがかかっているばかりか、高級感溢れる外観だ。回転式アウターベゼルの上にある数字のタイポグラフィーは、67年の初代アクアタイマーで採用された数字を当世風に解釈したデザインであり、丸みを帯びたアクアタイマーのロゴと共に、“水”と“ダイビング”というテーマによくマッチしている。ラグは、ポリッシュとサテンでコンビ仕上げを施した面が効果的だ。

47万2500円という価格は妥当な設定である。この価格を支払えば、高いクラフツマンシップ、傷に強い回転式ダイバーベゼル、卓越したブレスレット交換システム、そして高い防水性を手に入れることができるのだ。これらはすべて、生産コストを惜しんでは実現しない要素である。
アクアタイマー・オートマティック2000は、シャフハウゼン産の他のモデルのように、IWCらしさをひと目で認識できるモデルとは言い難い。その代わり、ふたつの先代モデルがここでは融合している。つまり、1000m防水のブラックとホワイトのエレガントなステンレススティールモデル、そして防水性が倍でプロ仕様のイエローとブラックのチタンモデルという、ふたつの時計の要素が1本に凝縮されているのである。結論を言えば、新作アクアタイマーは水中でも陸上でも、スタイリッシュに着けこなすことができる時計なのだ。

■スペック
製造者:IWC
Ref.:IW356802
機能:時、分、秒 (ストップセコンド仕様)、日付
ムーブメント:Cal.30110(ETA2892ベース)、自動巻き、2万8800振動/時、21石、耐震軸受(インカブロック使用)、エタクロン式緩急調整装置、グリュシデュール製テンプ、パワーリザーブ約40時間、直径25.6mm、厚さ3.6mm
ケース:SS製、両面無反射コーティングのサファイアガラス、サファイアガラス製回転式アウターベゼル、SS製ねじ込み式裏蓋、200気圧防水
ストラップとバックル:ラバーストラップおよびSS製尾錠、ブレスレットクイック交換システム
サイズ:直径44mm、厚さ14mm、総重量147g
バリエーション:ステンレススティール製ブレスレット
価格:47万2500円
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

■精度安定試験 (日差 秒/日、振り角)
文字盤上 +5
文字盤下 +1
3時上 +3
3時下 +3
3時左 0
3時右 +4
最大日差: 5
平均日差: +2.7
平均振り角:
水平姿勢 298°
垂直姿勢 275°

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